公認心理師資格試験 過去問解説 第5回 午前 問37|うつ病に対する認知行動療法

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第5回公認心理師試験の午前問37は、うつ病に対する認知行動療法〈CBT〉の主な技法を問う問題です。

正答はです。ポイントは、「CBTで使われる技法かどうか」だけでなく、うつ病のCBTで主に用いられる技法かという疾患別の位置づけまで読むことです。

問題

うつ病に対する認知行動療法の主な技法として、不適切なものを1つ選べ。

  1. 認知再構成法
  2. 問題解決技法
  3. 活動スケジュール
  4. 持続エクスポージャー法
  5. ソーシャル・スキルズ・トレーニング〈SST〉

正答:④

この問題のポイント

④の持続エクスポージャー療法〈Prolonged Exposure Therapy:PE〉は、代表的にはPTSDに対するトラウマ焦点化認知行動療法として位置づけられる治療法です。そのため、「うつ病に対する認知行動療法の主な技法」として挙げるのは不適切です。

ここで重要なのは、エクスポージャーという考え方自体はCBTで広く用いられることと、持続エクスポージャー療法〈PE〉という特定の治療プロトコルを区別することです。

うつ病の認知行動療法をどう整理するか

うつ病のCBTでは、気分、行動、認知、生活上の問題が相互に影響するという観点から、症例概念化に応じて複数の技法を組み合わせます。

代表的には、活動量や達成・楽しみの経験を調整する活動スケジュール/行動活性化、否定的な自動思考を検討する認知再構成、現実の問題に対処する問題解決などが挙げられます。

「うつ病CBT=考え方を変えるだけ」と覚えるのは不十分です。行動面の調整、問題解決、対人関係や社会技能への介入なども、個々のケースに応じて用いられます。

選択肢ごとの解説

① 認知再構成法

これは適切です。

認知再構成法では、気分が落ち込む状況で生じる自動思考を把握し、その根拠や別の見方を検討します。単純に「ポジティブに考える」のではなく、現実に即した柔軟な捉え方を検討することが中心です。

うつ病では、自己・世界・将来に対する否定的な捉え方が持続しやすいため、認知的技法は重要な構成要素になります。

② 問題解決技法

これは適切です。

抑うつ状態では、仕事、家事、人間関係などの問題が複雑に感じられ、考えても解決に至らない状態になりやすいことがあります。問題解決技法では、問題を具体化し、複数の解決案を出し、実行可能な方法を選び、結果を振り返るという手続きを用います。

「症状の原因を完全に理解してから動く」のではなく、扱える問題を分解して行動につなげる点が重要です。

③ 活動スケジュール

これは適切です。

活動スケジュールは、日々の活動を記録・計画し、回避や不活動が強くなっているパターンを把握するために用いられます。達成感や楽しさにつながる活動を段階的に増やすことは、行動活性化の考え方とも密接に関連します。

うつ病では「気分が良くなったら動く」という順序だけでは活動が回復しにくいことがあります。行動から環境との接点を取り戻す視点が重要です。

④ 持続エクスポージャー法

不適切であり、本問の正答です。

持続エクスポージャー療法〈PE〉は、代表的にはPTSDに対するトラウマ焦点化認知行動療法です。厚生労働省の認知行動療法資料でも、うつ病の認知療法・認知行動療法と、PTSDに対する持続エクスポージャー療法は別の治療資料として位置づけられています。

試験では「エクスポージャーもCBTの一種だから④も正しい」と一般化しないことが重要です。設問はうつ病に対するCBTの主な技法を聞いています。

⑤ ソーシャル・スキルズ・トレーニング〈SST〉

これは適切です。

うつ病のCBTでは、対人関係上の困難や社会的な行動の不足が問題維持に関係している場合、コミュニケーションや対人技能を扱うことがあります。SSTは、そのような社会技能を具体的に練習する技法として位置づけられます。

すべてのうつ病患者に同じ技法を一律に実施するという意味ではありません。ケースの問題構造に応じて必要な技法を選択します。

「CBTの技法」と「疾患別プロトコル」を分ける

この問題は、CBTを大きな箱として覚えるだけでは解きにくい問題です。

  • 認知再構成:自動思考や認知の検討。
  • 活動スケジュール/行動活性化:活動と環境から得られる強化の回復。
  • 問題解決:具体的な問題を分解し、解決行動へつなげる。
  • 対人・社会技能:必要に応じてコミュニケーション行動などを扱う。
  • 持続エクスポージャー〈PE〉:PTSDに対する代表的なトラウマ焦点化治療。

同じCBTという理論的系譜に属していても、どの疾患・問題に対する代表的技法なのかは区別して覚えます。

関連知識:認知行動療法の導入

認知行動療法では、技法だけを突然実施するのではなく、問題をどのように理解し、治療の枠組みをどのように共有するかも重要です。認知行動療法の導入については、第3回問138「認知行動療法の導入」も合わせて確認すると、技法と治療構造をつなげて理解できます。

関連知識:治療の前提としてのうつ病評価

過去問では、治療技法だけでなく、症状からうつ病の可能性を評価する問題も出題されています。第3回問92「うつ病の可能性を評価する」も確認しておくと、「評価」と「介入」を分けて整理できます。

実際の臨床では、診断、重症度、併存症、自殺リスク、身体状態などの評価を踏まえて治療方針を検討します。本記事は試験問題の概念整理を目的とするもので、個別の治療選択や実施手順を指示するものではありません。

試験での見分け方

  1. まず設問の対象疾患を確認する。
  2. 選択肢が「CBT一般の技法」なのか「特定疾患向けの代表的プロトコル」なのかを分ける。
  3. うつ病CBTでは、認知・行動・問題解決・対人行動を扱う代表技法を思い出す。
  4. 「持続エクスポージャー〈PE〉」が出たらPTSDとの結びつきを確認する。

まとめ

  • 正答は
  • 認知再構成法は、うつ病CBTの代表的な認知的技法。
  • 問題解決技法は、現実の問題を具体化して対処行動へつなげる。
  • 活動スケジュールは、行動活性化と密接に関係する。
  • 持続エクスポージャー療法〈PE〉は、代表的にはPTSDに対するトラウマ焦点化治療。
  • SSTなど対人・社会技能への介入も、症例概念化に応じて用いられる。
  • CBTという大分類と、疾患別に代表となる治療プロトコルを区別する。

参考資料

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