公認理師資格試験 過去問解説 問28 「Ⅰ型糖尿病」について

公認理師資格試験 過去問解説 問28 「Ⅰ型糖尿病」について

第4回公認心理師試験の過去問や正答は以下のサイトで入手可能です。

【令和3年10月29日14時】第4回公認心理師試験(令和3年9月19日実施)合格発表|講習・試験・登録|一般財団法人 日本心理研修センター 公認心理試験

公認心理師資格試験の過去問をしっかりと振り返ることで「自分に必要な知識は何か」を知るための手がかりとしてくださいね!

【公認心理資格試験】試験勉強の仕方。ブループリントに記載されている出題割合で勉強の範囲を狭めない方がいい理由について解説します!

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【問28】「Ⅰ型糖尿病」について

問28 1型糖尿病の高校生の治療における留意点として、最も適切なものを1つ選べ。
① 運動は禁止である。

② 食事療法により治癒できる。

③ 2型糖尿病に将来移行するリスクが高い。

④ 治療を受けていることを担任教師に伝える必要はない。

⑤ やせる目的でインスリン量を減らすことは、危険である。

出典:第4回公認心理師試験(令和3年9月19日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

正答は ⑤

⑤ やせる目的でインスリン量を減らすことは、危険である

糖尿病とは?

問題の解説に移る前に、「糖尿病」について確認をしておきましょう。

糖尿病は簡単に説明すると、膵臓のβ細胞から産出されるインスリンがうまく作用せずに、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が高くなることで、身体にさまざまな影響を及ぼす疾患です。

具体的には、動脈硬化・脳卒中・心筋梗塞のリスクが高まるほか、神経性障害・網膜症・腎症などの合併症を引き起こします。

糖尿病には、生活習慣と無関係に生じる「Ⅰ型糖尿病」と生活習慣が大きく影響する「Ⅱ型糖尿病」があります。

糖尿病に関する詳細は以下の記事をご参照ください!

選択肢の解説

今回の問題文にあるように、「Ⅰ型糖尿病」は生活習慣とは関係ない自己免疫性の疾患ともいわれ、若年発症が多い疾患発症のピークが思春期とされています)です。

そのため、基本的に生活習慣の問題とは別の観点の知識が必要となってきます。

それでは選択肢の解説に移りましょう。

①運動は禁止である

Ⅰ型糖尿病は約90%の方が自己免疫性とされるなど、生活習慣とは無関係に発症します。

膵臓にあるβ細胞からインスリンがまったく産出できない状態となるため、インスリン療法が必須となってきます。

そのため、食生活などの生活習慣が主な要因であるⅡ型糖尿病のように運動による疾患の改善はあまり見込めませんが、運動することによってインスリンの働き以外の部分で血中のブドウ糖濃度(血糖値)を下げる効果が見込まれます。

以上のことから、基本的には運動は禁止ではなく、推奨される事項になります。

一方で、Ⅰ型・Ⅱ型に関わらず、合併症がある場合は運動療法が禁止される場合があります。

特にⅠ型糖尿病では、重篤な合併症として、糖尿病性ケトアシドーシス(吐き気、嘔吐、腹痛)が起こりやすく、このような合併症がみられるときは運動は禁忌となります。

よって、選択肢①「運動は禁止である」は正しくは「基本的には運動は推奨される。ただし、合併症がみられる場合は禁止となることが多い」となり、不適切な選択肢となります。

②食事療法により治癒できる

繰り返しになりますが、Ⅰ型糖尿病は生活習慣とは関係のない部分で生じる自己免疫性の疾患とされています。

そのため、食事療法は血糖値のコントロールには有効であっても、食事療法により根本的な部分が治癒できるということにはなりません

生活習慣が主な要因となるⅡ型糖尿病では食事療法により治癒できる可能性があります。

以上のことから、選択肢②「食事療法により治癒できる」は適切な選択肢とはいえません。

③2型糖尿病に将来移行するリスクが高い

Ⅰ型糖尿病とⅡ型糖尿病ではその発症メカニズムが異なるため、基本的にⅠ型糖尿病からⅡ型糖尿病に移行するリスクはないと考えてよいでしょう。

しかし、Ⅱ型糖尿病の治療中にⅠ型糖尿病へと移行したという症例報告が散見されているため、逆のパターンは可能性としてあり得ると思われます。

よって、選択肢③「2型糖尿病に将来移行するリスクが高い」は不適切な選択肢といえます。

④治療を受けていることを担任教師に伝える必要はない

Ⅰ型・Ⅱ型の糖尿病ではインスリン療法が行われます。

特にⅠ型糖尿病ではインスリン療法が必須となってきます。

このインスリン療法では、不足しているインスリンを注射で補給しますが、注射は当然病院外でも行われます。

学校生活内でもインスリン注射をする必要性があることから、学校としては関係する職員全員に適切な情報共有がなされていることが重要です。

また、インスリン注射の量や食事の時間帯によっては、低血糖を起こす可能性も考えられるため、緊急時の早期発見と対応のためにも一番身近にいる担任教師には情報が伝わっているべきでしょう。

具体的には以下の情報共有や話し合いが本人・家族・関係職員間で行われていることが望ましいといえます。

  • インスリンを注射する場所と時間
  • 低血糖時の症状や対処方法
  • 補食の必要性(補食する場所と内容)
  • 体育時の低血糖への対応

以上のことから、選択肢④「治療を受けていることを担任教師に伝える必要はない」は不適切といえます。

⑤やせる目的でインスリン量を減らすことは、危険である

インスリン療法によるインスリン量は個人差があります。

マラソンやランニングなどの血糖値を下げるような有酸素運動を行う場合には、事前に主治医と相談してインスリン量を調整することがあるようですが、自己判断で行うことは危険といえます。

特に、Ⅰ型糖尿病ではインスリンが産出されない状況のため、ダイエット目的でインスリン量を減らすということはかなり危険と考えられます。

よって、選択肢⑤「やせる目的でインスリン量を減らすことは、危険である」は正しい選択肢といえますね。