公認理師資格試験 過去問解説 問4 ゲシュタルト心理学

公認理師資格試験 過去問解説 問4 ゲシュタルト心理学

第4回公認心理師試験の過去問や正答は以下のサイトで入手可能です。

【令和3年10月29日14時】第4回公認心理師試験(令和3年9月19日実施)合格発表|講習・試験・登録|一般財団法人 日本心理研修センター 公認心理試験

 

公認心理師資格試験の過去問をしっかりと振り返ることで「自分に必要な知識は何か」を知るための手がかりとしてくださいね!

 

 

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【問4】ゲシュタルト心理学

問4 心的過程の「全体」や「場」を重んじ、集団力学誕生の契機となった心理学の考え方として、最も適切なものを1つ選べ。

① 構成心理学

② 比較心理学

③ 行動主義心理学

④ 新行動主義心理学

⑤ ゲシュタルト心理学

出典:第4回公認心理師試験(令和3年9月19日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

 

正答は ⑤

 

⑤ ゲシュタルト心理学

 

となります。

 

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ゲシュタルト心理学

 

ゲシュタルト心理学 Gestalt Psychology とは❓
  • ヴントに代表される要素主義「心的現象=要素から全体が構成される」の考え方を否定
  • ゲシュタルト性質:1つの全体は構成する部分や要素が変わっても、あるまとまりとしての性質をもつこと
  • 1912年、ウェルトハイマー Wertheimer が仮現運動の研究でゲシュタルトの考え方を実証したのがはじまり
  • 視知覚の領域から発展し、記憶・思考・要求と行動・集団特性など広く適用されるようになった。
  • 洞察学習のケーラー、場理論やグループダイナミクスのレヴィンが代表的

 

ゲシュタルト心理学を簡単に説明すると、「知覚や認知に関して、部分や要素のみでなく、構造や全体として捉える」という心理学の学派のひとつになります。

 

ケーラーの洞察学習についてはこちらの記事を👇

 

レヴィン の「場理論」についてはこちらの記事を👇

 

上でも簡単に説明した通り、ゲシュタルト心理学は「知覚」領域がメインの学派ですが、「構造や全体として捉える」という考え方は、レヴィン に代表される集団力学の考え方に大きな影響を与えています。

 

よって、本問題の正答は、選択肢⑤「ゲシュタルト心理学」となるわけですね。

 



 

選択肢の解説

ここからは、残りの選択肢にある用語を簡単にまとめていきます。

 

① 構成心理学

 

構成心理学 structural psychology とは❓
  • ヴントに代表される要素主義(要素心理学)・内容心理学と同義で用いられることが多く、「心的現象=要素から全体が構成される」という考え方に基づいた学派
  • ティチェナー Titchener に代表的される
  • 複雑な心的現象を内観によって要素(ティチェナーの場合は、感覚、イメージ、感情体験)に分解し、要素を再構成することで心的結合の法則を明らかにする

 

② 比較心理学

 

比較心理学 comparative psychology とは❓
  • 心理学における動物行動の系統的発生・変容・獲得・発達など、特にヒト以外の動物の行動や精神的なプロセスの研究をする分野
  • 生物の行動の類似点・相違点を比較して研究する
  • 狭義には動物心理学とほとんど同義、広義には動物・植物心理学、発達心理学、民族心理学、差異心理学などが含まれる

 

③ 行動主義心理学

 

行動主義 behaviorism とは❓

  • ヴントのいう客観的測定のできない意識ではなく、直接観察可能な行動を対象として、刺激-反応の関係によって法則性を解明しようとする学派
  • 創始者はワトソン Watson 
  • 古典的条件づけで有名なパヴロフ、試行錯誤学習で有名なソーンダイクなどの影響を受けている
  • 心理学の研究とは、「測定可能な行動の観察」としているため、方法論的行動主義 methodological behaviorism ともいう

 

④ 新行動主義心理学

 

新行動主義 neo-behaviorism とは❓
  • 行動主義の創始者であるワトソンから発展した行動主義者の諸理論
  • ハル Hullトールマン Tolmanスキナー Skinner らが代表的
  • 直接観察可能な行動を対象とする」「刺激-反応の関係によって行動を記述するという行動主義の原則は共通しているが、それに加えてそれぞれの学者が独自の媒介要因や考え方を設定している
  • 行動主義との大きな違いは、観察できないような心的過程を媒介として設定していること

 

 

 

 



 

まとめ

第4回公認心理師資格試験の問4は、ゲシュタルト心理学に関する問題でした❗️

 

心理学史の問題になっているため、それぞれの学派やその学派がうまれてきた流れを押さえておくといいでしょう。

 

キーワードゲシュタルト心理学 ー ウェルトハイマー Wertheimer、ケーラー、レヴィン
・構成心理学(≒要素心理学、内容心理学)ー ヴント
・比較心理学(≒動物心理学)
・行動主義心理学 ー ワトソン Watsonソーンダイク
・新行動主義心理学 ー ハル Hullトールマン Tolmanスキナー Skinner

 
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