【公認心理資格試験】ブループリントに記載されている出題割合で勉強の範囲を狭めない方がいい理由を解説!
- 2021.01.03
- 公認心理師(第3回) 臨床心理士 / 公認心理師
- 公認心理師, 資格試験
令和2年(2020年)12月20日に第3回の公認心理師資格試験が終了しましたね。
第4回公認心理師資格試験は、令和3年(2021)年の9月21日となっています。
詳しい今後の試験スケジュールに関しては厚生労働省のホームページにあるスケジュールを確認してみてください。
この記事では公認心理師試験勉強をする前に頭に入れておいた方が良い知識として、「ブループリント 」について説明します!
また、ブループリントの話をするために、第2回公認心理試験の問65の解説もしましたので参考にしてください。
公認心理師資格試験のために勉強を始めようとしている方
第2回公認心理師資格試験問題 問65の解説を知りたい方
ブループリントとは何か理解して使う
まず始めに、ブループリント とは何か?という点について説明していきます。
ブループリント(公認心理師試験設計表)は,公認心理師試験出題基準の各大項目の出題割合を示したものです。
利用方法
なお、各項目は、公認心理師試験出題基準という観点から配列されているため、必ずしも学問的な分類体系と一致しない点があるほか、各項目間で内容が重複することがある。 また、医学用語については、日本医学会医学用語辞典 Web 版の内容を考慮して定めており、 心理学に関する用語については、複数の用語辞典で共通していることを考慮して定めてい る。
1 大・中・小項目
(1) 大項目は、「公認心理師カリキュラム等検討会」の報告書(平成 29 年5月 31 日)記載の到達目標の項目である。ただし、一部については、内容を明確にする観点から改変している。(2) 中項目は、同様に、「公認心理師カリキュラム等検討会」の報告書記載の到達目標の下位項目である。ただし、一部については、内容を明確にする観点から改変している。
(3) 小項目は、中項目の内容に属する概念及び用語の例を具体的に記載し、可能な限り出題テーマを明確化している。他方、出題は、この出題基準に記載された事項に限定されるものではなく、法律、政省令等に規定される事項、厚生労働白書などの公刊物に記載されている事項などからも出題される。
出典:ブループリントとは|公認心理師試験|一般財団法人日本心理研修センター
つまり、ブループリントは、試験問題を作成する際の出題範囲であり、一般のテストでいう試験範囲に相当します。
大項目、中項目、小項目とわけられており、小項目では具体的な語句が記載されている場合も多いです。
そのため、ブループリントを注意深く見ることで、試験に出てくる問題や何を勉強するべきかという点がある程度明確になります。
また、ブループリント では大項目ごとの出題割合が記載されています。
大項目 | 出題割合 |
---|---|
①公認心理師としての職責の自覚 | 約9% |
②問題解決能力と生涯学習 | |
③多職種連携・地域連携 | |
以下省略 | 以下省略 |
出題の割合を見て、どこから優先的に取り組めば良いかを検討するのも効率的な勉強に繋がるかもしれません。
ブループリント は日本心理研修センターホームページのサイト内で手に入れることが可能です。
*第4回目用のブループリントはまだ公表されていないので、以下は第3回目試験用のものとなります。
ブループリントとは|公認心理師試験|一般財団法人日本心理研修センター
しかし、ブループリントも万能というわけではありません。
ブループリントについてしっかりと理解したうえで、試験勉強に役立てるようにしていきましょう。
ブループリントを利用する際に気をつけること
さてここからが本題です。
出題範囲が決まっているなら、試験勉強もヤマをはればいいね!!
と思われる方も多いかもしれません。
実際、Yamashunは第1回公認心理師試験の際に、ブループリントの範囲のみを勉強していて痛い目をみました。
そこで、ブループリントを使用して勉強していて感じた以下の疑問についてまとめていきます。
- ブループリントの出題割合は正しいの?
- 1つの問題のなかに項目を超えた範囲の知識が必要なのでは?
ブループリントの出題割合は正しいが、項目がいくつか複合されている可能性がある
この疑問について、一般財団法人日本心理研修センターが出している公認心理師試験出題範囲(令和元年度版)と、第2回目の試験問題を見ながら、検証してみました。
過去の問題および解答は、日本心理研修センターホームページの以下のページで手に入れることが可能です。
【令和元年9月13日14時】第2回公認心理師試験(令和元年8月4日実施)合格発表|日本心理研修センター
大項目 | 出題割合 |
---|---|
①公認心理師としての職責の自覚 | 約9% |
②問題解決能力と生涯学習 | |
③多職種連携・地域連携 | |
以下省略 | 以下省略 |
出題割合を見ると、①〜③までの大項目が問題全体の約9%にあたると記載されています。
第2回の試験問題は総数が154問だったため、そのうちの約9%は「13-14問程度」となります。
Yamashunがぱっと見て確認できた①〜③に該当する問題は9問でした。
(公認心理師法に関する知識を問う問題は4問でした)
その他に、①〜③の領域とも、別の領域ともとれるような問題が5問題程度ありました。
合計すると14問該当するため、割合的には約9%となり、出題割合は正しいといえます。
しかし、検証したように、他の領域とも取れそうな問題がいくつか混ざっているため、その点は注意が必要だと思われます。
問題1つを解くためには、複数の小項目に該当する知識が必要な場合がある
この疑問に答えるために第2回公認心理師試験問題の問65を例に挙げて、1つの事例問題を解答するためにどれほどの知識が必要かを確認してみましょう。
問65は、「ひきこもり」「地域支援センター」「精神保健福祉法」がキーワードの事例問題です。
正答は、
となります。
ブループリント の該当する項目としては、
大項目 | 中項目 |
小項目 |
---|---|---|
健康・医療に関する心理学 | 保健活動における心理的支援 | ひきこもり |
が該当し、厚生労働省の「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」と行政におけるひきこもり支援の概要が頭に入っていればいいように思います。
一方で、他の選択肢を見ると「地域支援センター」「地域包括支援センター」「精神保健福祉法」「相談支援事業所」などのキーワードが組み込まれています。
これらのキーワードをブループリント に当てはめると、
大項目 | 中項目 | 小項目 |
---|---|---|
心理に関する支援(相談、助言、指導その他の援助) | 訪問による支援や地域支援の意義 | 地域包括ケアシステム |
公認心理師に関する制度 | 保健医療分野に関する法律、制度 | 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法) |
福祉分野に関する法律、制度 | 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法) | |
配偶者暴力相談センター、児童相談所、福祉事務所、地域包括支援センター |
という知識が必要になってきます。
このように、1つの問題を丁寧に解くためには、複数の項目にまたがった知識が必要となってきます。
1つの問題を解くためには、複数の項目にまたがる知識が必要となる場合がある!
具体的な問題の解き方
この問題は、先ほど挙げたように行政におけるひきこもり支援の概要とガイドラインが頭に入っていれば解くことが可能ですが、その他の知識があると確信を持って回答することができるようになります。
この状況だと、家族に対する支援がファーストラインになるだろうから、①が正答だよね。
確かにそうなんだろうけど、その解き方は経験則も必要だよね。
その他の知識を使ったらどうやって解くのかな??
針山くんのご要望にお応えして解説します!
問題文の中で気づいてほしい重要なキーワードは、
- インターネットを介して知人と交流しているが、長時間の使用はない
- 独語や空笑は観察されず、会話や行動にも不自然さはない
の2つです。
この2つの文言から、選択肢をいくつか除外することができます。
②インターネットの解約を助言する
②に関しては、インターネットの使用を制限するほど依存している状態ではないことが推測されるため、適当とは言い難いでしょう。
④精神保健福祉法に基づく移送制度の利用を助言する
④に関しては、現状ではAさんが明らかな精神障害に該当するような状態であると確定はできず、移送制度を利用することはできません。
詳しい説明は割愛しますが、移送制度の利用には、「直ちに入院させなければ医療及び保護を図るうえで著しく支障がある」ことが条件として挙げられています。もっというと「医療保護入院や応急入院が必要な状態」であり、かつ、「本人が医療受診を拒否していること」が前提になります。
⑤精神障害者相談支援事業所の利用について情報を提供する
⑤に関しても④と同様、Aさんが精神疾患等の障害を持っていることは問題文からは読み取れないため、Aの両親から得られた現段階での情報では相談支援事業所の利用は勧めることが現実的ではなく除外されます。
③地域包括支援センターを紹介する
③に関しては、本人に対する支援としては不適当ではないですが、まずは両親のみ相談に来ている段階なので、一般的には本人に対する直接的な支援ではなく家族の支援を第一目標とするのが妥当と考えられ、除外されます。
結果、残った①が正答になります。
1つの問題を解くためにも、幅広い知識があった方が、確信を持って回答ができる!
まとめ
この記事ではブループリントについてまとめてきました。
具体的な例をあげて説明してきたように、ブループリントは便利ですが、ブループリントの範囲のみを盲信して勉強していると思わぬ落とし穴にはまることがありますので注意してください。
【公認心理師法①】公認心理師資格試験対策:目的、定義、欠格事由、登録、登録の取り消し
【公認心理師法②】公認心理師資格試験対策:公認心理師の義務(重要!)
ブループリントの出題範囲や出題割合を把握したうえで、出題範囲のみの知識ではなく幅広い範囲にわたって勉強した方が確信を持って回答することができるようになります。
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