第3回公認心理師資格試験 過去問解説 問1 要支援者と公認心理師の関係

第3回公認心理師資格試験 過去問解説 問1 要支援者と公認心理師の関係

第3回公認心理師資格試験の合格発表が終わりましたので、過去問の解説をしていきます!

 

過去問や正答は以下のサイトで入手可能です。

第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

 

公認心理師資格試験の過去問をしっかりと振り返ることで「自分に必要な知識は何か」を知るための手がかりとしてくださいね!

 

公認心理師試験の勉強方法はこちら💁‍♀️

【公認心理資格試験】試験勉強の仕方。ブループリントに記載されている出題割合で勉強の範囲を狭めない方がいい理由について解説します!

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【問1】要支援者と公認心理師の関係

問1 要支援者と公認心理師の関係について、適切なものを1つ選べ。

① 心理療法の面接時間は、要支援者のニーズに合わせてその都度変えるのが良い。

② 投薬が必要となり、精神科に紹介したケースも、必要であれば心理的支援を継続する。

③ 知らない人に対して気後して話ができないという友人の母親のカウンセリングを引き受ける。

④ 大学附属の心理相談室で新規ケースのインテーク面接を行う場合、受理するかどうかは自分一人で決める。

⑤ 学校内で自殺者が出た場合の緊急介入時には、事実を伝えるのは亡くなった生徒と親しかった少数のみに限定するのが原則である。

出典:第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)午前問題

 

問1は「要支援者と公認心理師の関係」についての問題になります。

 

正答は 

 

投薬が必要となり、精神科に紹介したケースも、必要であれば心理的支援を継続する。

 

となります。

 

この問題は感覚的に答えれば正答することも可能です。

 

留意点としては、要支援者が医療機関(精神科)に受診した場合には、当然主治医が存在することになり、「公認心理師が必要と判断する」ことよりも、「紹介した医療機関(精神科)の主治の医師が心理的支援が必要と判断する」ことが求められることでしょうか。

 

公認心理師法 第四十二条 連携等』の『主治の医師の指示』についてはこちらをどうぞ💁🏻

 



 

選択肢の解説

続いて、それぞれの選択肢を細かく見ていきましょう!

 

制限

① 心理療法の面接時間は、要支援者のニーズに合わせてその都度変えるのが良い。

 

キーワード「制限」

 

この選択肢の正誤を判断するためには、心理的支援の枠組みや制限(limitation)など面接構造に関する理解が必要です。

 

枠組みや制限のなかで代表的なものには、時間・場所・料金が挙げられます。

 

心理的支援の技法や所属する機関によって具体的な面接時間は異なりますが、一般的には予約した時間から50分とされています。

 

心理的支援のなかでは、この制限は非常に意味あるものと考えられているため、原則として延長することはありません

 

制限に対する基本的な考えは以下の通りです。

時間と場所を特定化することで、面接の時間と場所が患者にとって安全で保護された空間、時間となりうる。そのような時間と空間があってこそ患者は初めて自分の問題に取り組めるのである。

培風館|心理臨床大事典[改訂版]|第3部 心理療法|制限

 

そのため①の「要支援者のニーズに合わせてその都度変えるのが良い」は、公認心理師側が「制限を破る」ことに該当し不適当となります。

 

多重関係

③ 知らない人に対して気後して話ができないという友人の母親のカウンセリングを引き受ける。

 

キーワード「多重関係」

 

この選択肢の正誤を判断するためには「多重関係」に関する知識が必要です。

 

多重関係とは、「支援者と要支援者の間で専門家としての役割以外の役割を同時にもつ」ことを意味しています。

 

要支援者との間での恋愛関係、性的関係、上司と部下の関係、先生と学生の関係、友人関係など、さまざまな関係性が該当します。

 

参考として、一般社団法人日本臨床心理士会倫理綱領の記載をみてみましょう。

会員は、原則として、対象者との間で、「対象者-専門家」という専門的契約関係以外の関係を持ってはならない。そのために、対象者との関係については以下のことに留意しなければならない。

1  対象者等に対して、個人的関係に発展する期待を抱かせるような言動(個人的会食、業務以外の金品の授受、贈答及び交換並びに自らの個人的情報についての過度の開示等)を慎むこと。

2  近隣地域に自分以外の臨床心理業務を提供する専門家がおらず、既に知人である人に対して、やむを得ず必要な臨床心理業務を提供せざるを得ない場合には、他の関連する専門家・専門機関に紹介を行うことに加えて、既に社会的関係を有している臨床心理士が臨床心理業務を提供することの問題点についても十分な説明を行った上で、対象者の自己決定を尊重すること。

出典:第3条 対象者との関係|一般社団法人日本臨床心理士会倫理綱領

 

倫理綱領には「多重関係」に関して明瞭な記載がされており、これ以上の解説は必要ないかもしれません。

 

つまり、実際の関係性のみでなく関係性を発展させるような期待を抱かせる言動に関しても注意を払う必要があるということですね。

 

③の「友人の母親のカウンセリングを引き受ける」のは、友人の母親という個人的な関係性が既に存在している要支援者に対して支援を行うことを意味しており、多重関係の問題が生じるため不適当となります。

 

インテーク面接

④ 大学附属の心理相談室で新規ケースのインテーク面接を行う場合、受理するかどうかは自分一人で決める。

 

キーワード「インテーク面接(受理面接)」

この選択肢の正誤を判断するためには、心理的支援が開始される際のプロセスを理解していることが必要になります。

 

一般的な心理療法が開始されるまでのプロセスを概観していきましょう。

こちらのプロセスはどの機関であっても概ね共通しているものです。

 

心理的支援(心理療法)が開始されるまでのプロセスの第一歩は、「相談申込の受付」から始まり、「インテーク面接」、「受理会議」を経て、心理的支援が開始されるか否かが判断されます。

 

インテーク面接(Intake interview)

インテーク面接とは、受理面接あるいは初回面接ともよばれ、クライエントに対して行われる最初の面接であり、クライエントがどのような問題を抱えているかを把握して、それに対してどのような援助が最適であるかを判断するために行う面接をいう。

培風館|心理臨床大事典[改訂版]|第3部 心理療法|インテーク面接

つまり、インテーク面接は、治療契約を結んだ心理的支援が開始される前段階での最初の面接のことをいいます。

 

インテーク面接の目的
  • カウンセリングが適用かどうか
  • 当該機関で引き受けることができるかどうか
  • 他の機関を紹介する方が良いか
  • 担当者を誰にするか

 

などを判断していくことがインテーク面接の目的となります。

 

公認心理師法の文脈で説明するのであれば、“心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること”という心理的なアセスメントも含まれます。

 

そのため、必要に応じて心理検査を実施するなど、最初の1回に留まらず数回に渡って行われることもあります。

 

インテーク面接で得た要支援者の情報をもとに「受理会議」が行われ、当該機関で支援を担当するかどうかが決定されることになります。

 

したがって、③の「受理するかどうかは1人で決める」が間違いで、「受理するかどうかは受理会議を経て決まる」が正答となります。

 

学校場面での緊急対応

⑤ 学校内で自殺者が出た場合の緊急介入時には、事実を伝えるのは亡くなった生徒と親しかった少数のみに限定するのが原則である。

 

キーワード「スクールカウンセラー」「緊急対応」

 

この選択肢の正誤を判断するためには、学校場面における緊急対応を理解していることが必要になります。

 

以下の資料が参考になります💁🏻

 

資料を参考にして要点のみまとめると、

  •  原則的には、遺族の了解を得た上で、全児童・生徒・保護者・マスコミに対して「事実」を伝える
  • 文書でお知らせする場合は、事前に遺族に文面を見せて了解を得た上で行う(自殺の事実に関しては文書には記載せず口頭のみに留める)。
  • 遺族から「事故死」として扱ってほしいという意向があれば尊重し、「家族からは〇〇と聞いています」など表現の工夫をする。

となります。

 

したがって、⑤の「事実を伝えるのは亡くなった生徒と親しかった少数のみに限定するのが原則」という文言は不適当で、「事実を伝えるのであれば全生徒に対して齟齬がないように伝えることが原則」が適当でしょう。

 



まとめ

第3回公認心理師資格試験の問1は「要支援者と公認心理師の関係」が問われる問題でした。

 

  • 面接構造・制限
  • 多重関係
  • インテーク面接
  • 緊急対応

がキーワードとなります。

 

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