公認心理師資格試験 過去問解説 問32 保健医療分野に関する法律・制度「医療法」

公認心理師資格試験 過去問解説 問32 保健医療分野に関する法律・制度「医療法」

第3回公認心理師試験の過去問や正答は以下のサイトで入手可能です。

第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

 

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【問32】保健医療分野に関する法律・制度「医療法」

問32 医療法で、「高度の医療技術の開発及び評価を行う能力を有すること」が要件として定められている病院として、正しいものを1つ選べ。

① 救急病院

② 精神科病院

③ 特定機能病院

④ 地域医療支援病院

⑤ 臨床研究中核病院

出典:第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

 

正答は ③

 

③ 特定機能病院

となります。

 

医療法

 

医療法とは❓
医療法=国民の健康を保持するために、医療を受ける人利益を守り、適切な医療を効率的に提供できるような体制の整備を目的とした法律

 

医療法では、適切な医療の提供のためのさまざまな規定がされています。

  • 医療計画
  • 医療提供施設の基準
  • 病床機能

 

医療法で規定されている医療施設について簡単にまとめると以下の通りです。

 

医療機関で行われるカウンセリングについて💁🏻

 



 

選択肢の解説

病院で白衣を着ている人のイラスト

救急病院

救急病院に関しては、医療法ではなく、救急病院等を定める省令により規定されています。

第一条(医療機関)

消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第二条第九項に規定する救急隊により搬送される傷病者に関する医療を担当する医療機関は、次の基準に該当する病院又は診療所であつて、その開設者から都道府県知事に対して救急業務に関し協力する旨の申出のあつたもののうち、都道府県知事が、医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第三十条の四第一項に規定する医療計画の内容(以下「医療計画の内容」という。)、当該病院又は診療所の所在する地域における救急業務の対象となる傷病者の発生状況等を勘案して必要と認定したもの(以下「救急病院」又は「救急診療所」という。)とする。
(中略)

一 救急医療について相当の知識及び経験を有する医師が常時診療に従事していること。
二 エツクス線装置、心電計、輸血及び輸液のための設備その他救急医療を行うために必要な施設及び設備を有すること。
三 救急隊による傷病者の搬送に容易な場所に所在し、かつ、傷病者の搬入に適した構造設備を有すること。
四 救急医療を要する傷病者のための専用病床又は当該傷病者のために優先的に使用される病床を有すること。

 

つまり救急病院とは、「救急医療についての知識・経験を有する常勤医師がいる」「救急医療に必要な施設・設備がある」「救急搬送が可能な立地や構造」「救急医療用に確保可能な病床がある」という条件を満たす病院が都道府県に申請して認定された病院となります。

 

特定機能病院

特定機能病院とは高度な医療の提供や医療技術の開発・研修などが実施可能」と厚生労働大臣に認可された病院医療法により規定されています。

令和2年12月時点では、87の病院が指定を受けているようです。

 

以下のリンク先に特定機能病院の一覧があります。

 

本問題では「高度の医療技術の開発及び評価を行う能力を有すること」という文言と「医療法で」という文言があることから、この特定機能病院が正答となります。

 

地域医療支援病院

地域医療支援病院とは地域医療の担い手であるかかりつけ医を支援する能力を備えている」と都道府県に認可された病院医療法により規定されています。

 

認可されるための要件として、紹介率が80%以上*」「病床が200床以上」「救急医療が提供可能」「研修の実施」などの条件があります。
*紹介率に関しては必ずしも80%以上でなくとも、その他の要件があります。

 

厚生労働省の地域医療支援病院についてを見ると、地域医療支援病院の役割は以下の通りとされています。

 

【役割と機能】

  • 紹介患者に対する医療の提供
  • 医療機器の共同利用
  • 救急医療の提供
  • 地域の医療従事者に対する研修の実施
  • 在宅医療の支援

 

臨床研究中核病院

臨床研究中核病院とは医薬品・医療機器の開発のための質の高い臨床研究を推進するため、臨床研究や医師主導治験などの中心的な役割を担う病院」と厚生労働大臣に認可された病院医療法により規定されています。

「医療法の一部改正(臨床研究中核病院関係)の施行等について」の改正について|厚生労働省

 

認可されるための要件としては、「能力(新しい特定臨床研究の実施件数)」「施設(診療科10以上、病床400以上)」「人員(臨床研究管理部門の人員規定)」などがあります。

 

詳細はこちらの資料をご覧ください。

 

精神科病院

精神科病院とは、精神病症のみ(厳密には全病床の80%以上が精神病症)を有する病院とされています。

 

医療法第7条第2項第1号から第5号では、病床の区分が決められています。

  • 精神病床
  • 感染症病床
  • 結核病床
  • 療養病床
  • 一般病床

 

精神病床は、医療法第7条第2項第1号により

精神病床(病院の病床のうち、精神疾患を有する者を入院させるためのものをいう。以下同じ。)

と定義されています。

 

こちらの資料が参考になります。

 



 

まとめ

第3回公認心理師資格試験の問32は、保健医療分野に関する法律・制度「医療法」から、病院の役割や機能に関する問題でした。

 

  • 「病院=病床が20以上」「診療所=病床が0〜19床」
  • 特定機能病院=高度の医療(医療法)
  • 地域医療支援病院=地域医療を担うかかりつけ医の支援など(医療法)
  • 臨床研究中核病院=質の高い研究を担う(医療法)
  • 精神科病院=精神病床が80%以上ある病院(医療法)
  • 救急病院=救急医療を担う病院(救急病院等を定める省令)

 

医療法では病院の役割機能以外にも医療体制に関する項目や医療計画などの重要な項目が含まれていますので、これを機会として内容をおさえておく必要があるでしょう。

 

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