公認心理師資格試験 過去問解説 問82 心理学統計 クロス集計表

公認心理師資格試験 過去問解説 問82 心理学統計 クロス集計表

第3回公認心理師試験の過去問や正答は以下のサイトで入手可能です。

第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

 

公認心理師資格試験の過去問をしっかりと振り返ることで「自分に必要な知識は何か」を知るための手がかりとしてくださいね!

 

 

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【問82】クロス集計表

問82 2×2のクロス集計表における2変数間の関連性を示す指標として、最も適切なものを1つ選べ。

① 偏相関係数

② 順位相関係数

③ 積率相関係数

④ 部分相関係数

⑤ 四分点相関係数

出典:第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

 

正答は ⑤

 

⑤ 四分点相関係数

 

となります。

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クロス集計表

クロス集計表とは、2つのカテゴリーに当てはまるデータをそれぞれのカテゴリーごとに分類して、その度数(出現する頻度)をまとめた表のことをいいます。

 

例えば、男女各5人(合計10人)の得意な教科(国語・英語・数学の3つから)をデータとして得たとしましょう。

図の左側がデータだとすると、クロス集計表で整理すると上の図のようになります。

 

この時、性別(男子・女子)と教科(国語・英語・数学)という2つのカテゴリーに分類して、男女別の各教科の出現頻度を表にしてまとめてありますね。

 

ちなみに、上の例だと2×3のクロス集計表になってしまいますが、例えば教科を文系・理系とわければ2×2のクロス集計表が出来上がります。

 



 

代表的な統計学的手法はχ2検定

クロス集計表を用いて行われる統計学的手法の代表例は、Pearsonのχ2検定(カイ二乗検定)となります。

 

カイ二乗検定では、「カテゴリー間に差がない」という帰無仮説のもと、各データの割合の差を比べます。

 

実際に測定されたデータ(観測度数)算出した値である期待度数の間に差があるか否かを統計学的に判断する方法になります。

 

ここでは細かい算出方法などは省略しますが、先ほどの2×3のクロス集計表の例で計算してみるとこんな感じになります。

あとは自由度やカイ二乗分布で判断していくわけですが、今回の場合だと帰無仮説は棄却されず、「カテゴリー間に差がない」という結論になりそうです。

 

このカイ二乗検定ですが、全てのクロス集計表に対応しているというわけではありません。

 

以下の場合は、カイ二乗検定ではなく、Fisherの正確確率検定(Fisher’s Exact Test)を用いることが好ましいとされています。

  • 期待度数が5未満のセルが20%以上含まれているとき
  • 期待度数が1未満のセルが1つでも存在しているとき
  • 2×2のクロス集計表の場合

 



 

四分点相関係数

先程解説したPearsonのカイ二乗検定もFisherの正確確率検定も、「2つのカテゴリー間」に統計学的に有意な差があるかどうかを判断する検定でした。

 

それに対して、四分点相関係数は、2つのカテゴリー(変数)の間の関係性の強さを見るための相関係数です。

 

 

クロス集計表の行と列の関係性の強さを示す指標のことをφ係数(ファイ係数)と呼びます。

ファイ係数(φ係数)|統計用語集|統計WEB

 

特に、2×2のクロス集計表にPearsonの積率相関係数を適用したものを四分点相関係数(four-fold point correlation coefficient)というようです。

 

φの値は積率相関係数と同様にー1から+1までの数値を取ります!

 

四分点相関係数 = 2×2のクロス表(四分表)にPearsonの相関係数を拡張させて適用した数値

 

 



 

まとめ

第3回公認心理師資格試験の問82は、心理学統計:クロス集計表に関する問題でした❗️

 

キーワード・クロス集計表
・χ2(カイ二乗)検定
・Fisherの正確確率検定・・・2×2のクロス集計表
・四分点相関係数≒ファイ係数

 

以下の場合は、カイ二乗検定ではなく、Fisherの正確確率検定(Fisher’s Exact Test)を用いることが好ましいとされています。

  • 期待度数が5未満のセルが20%以上含まれているとき
  • 期待度数が1未満のセルが1つでも存在しているとき
  • 2×2のクロス集計表の場合