【公認心理師法①】公認心理師資格試験対策:目的、定義、欠格事由、登録、登録の取り消し

【公認心理師法①】公認心理師資格試験対策:目的、定義、欠格事由、登録、登録の取り消し

公認心理師法(平成27年法律第68号)とは、公認心理師資格の基盤となる法律であり、公認心理師有資格者や公認心理師資格試験受験者は本来すべてを頭に入れておくべき法律です。

 

とはいえ、法律は難解な表現が多いですし、すべての内容を即座に頭に入れるのは困難ですよね。

 

そこでこの記事では、公認心理師法のなかでも、「公認心理師の概要」についての部分をまとめました。

 

この記事で説明するのは、以下の内容です。

  • 第一条 目的
  • 第二条 定義
  • 第三条 欠格事由
  • 第二十八条 登録
  • 第三十二条 登録の取り消し

 

実際に、試験の過去問でも毎年数題は公認心理師法の内容が出ています。

 

公認心理師試験勉強についてはこちら💁‍♂️

 

公認心理師の義務に関してはこちら💁‍♂️

【公認心理師法②】公認心理師資格試験対策:公認心理師の義務(重要!)

 

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公認心理師法とは?

公認心理師法は、平成27年(2015年)9月9日に議員立法により成立し、同年9月16日に公布された法案です。

 

公認心理師の定義やその業務内容、義務などが法律によって定められているため、公認心理師法の内容はすべて重要にはなるのですが、ここでは最低限覚えておくべき部分のみ抜粋してまとめていきます。

 

公認心理師法の目的について(第一条 目的)

公認心理師法がつくられた目的については、同法第一条に記載されています。

この法律は、公認心理師の資格を定めて、その業務の適正を図り、もって国民の心の健康の保持増進に寄与することを目的とする。

出典:公認心理師法 第一条 目的

 

国民みなさまの「心の健康」を維持したり高めるために、公認心理師の資格と業務を法律で定義しましたよ、という意味です。

 

第一条 キーワード目的=「国民の心の健康の保持増進に寄与する」こと

 

公認心理師の定義・業務・欠格事由について

 

公認心理師の定義と業務内容について(第二条、第二十八条)

公認心理師の定義についての文言をみていきましょう。

 

この法律において「公認心理師」とは、第二十八条の登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業する者をいう。

一 心理に関する支援を要する者の心理状態の観察、その結果を分析すること。
二 心理に関する支援を要する者に対する、その心理に関する相談及び助言、指導その他の援助を行うこと。
三 心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談及び助言、指導その他の援助を行うこと。
四 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと。

出典:公認心理師法 第二条 定義

 

まず前半の「公認心理師とは〜」という部分を読むと、“第二十八条の登録を受け”とあります。

以下に登録についての記載も載せました。

公認心理師となる資格を有する者が公認心理師となるには、公認心理師登録簿に、氏名、生年月日その他文部科学省令・厚生労働省令で定める事項の登録受けなければならない。

出典:公認心理師法 第二十八条 登録

 

つまり、公認心理師資格試験に合格するだけでは公認心理師ではなく、公認心理師登録簿に登録されてはじめて「公認心理師」と名乗ることが可能になります。

 

次に後半の“心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業する者をいう”をみましょう。

 

“心理状態の観察・結果の分析”とは、いわゆる心理的アセスメントのことで、要支援者(支援を受ける人)の生育歴や家族含めた関係者から情報を得たり、心理検査を実施してその結果を解釈することを通して、要支援者の心理状態を適切に見立てることをさします。

 

“当事者本人への心理的支援”、“関係者への心理的支援”とは、要支援者やその関係者(家族など)に対して、カウンセリング、心理療法やコンサルテーションなどの心理的支援を行うことをさします。

 

“知識の普及と情報の提供”とは、要支援者やその関係者にとどまらず、広く一般に対して「心理状態」や「心理的な支援」に関する適切な知識や情報を伝えていくことをさします。いわゆる研究結果の公表や予防的な観点からのプログラム作成などがこの領域に含まれます。

 

この4つの行為はとても重要なので、すべて覚えておく必要があります。

第二条 キーワード

  • 「公認心理師は公認心理師登録簿への登録が必要(第二十八条)」
  • 業務=「心理状態の観察・結果の分析」「当事者本人への心理的支援」「関係者への心理的支援」「知識の普及と情報の提供」

 

名称使用制限(第四十四条)

公認心理師は名称独占資格であるため、有資格者以外は「公認心理師」あるいは「心理師」と名乗ってはいけません

こちらは公認心理師法第四十四条に記載されています。

 

公認心理師でない者は、公認心理師という名称を使用してはならない。

2 前項に規定するもののほか、公認心理師でない者は、その名称中に心理師という文字を用いてはならない。

出典:公認心理師法 第四十四条 名称使用の制限

 

さきほど説明した登録の話も含めると、公認心理師試験に合格したけどまだ登録を済ませていない場合に「公認心理師」と身分を語ることは違反になると考えられます。

 

また、資格の停止期間中も同様に名乗ってはならないことになっています。

 

違反した場合は、30万円以下の罰金と定められています(公認心理師法 第四十七条)。

 

キーワード名称使用の制限(第四十四条)に違反した場合は30万円以下の罰金(第四十七条)と定められている

 

公認心理師になれない者について(第三条 欠格事由)

 

次の各号のいずれかに該当する者は、公認心理師となることができない。

一 心身の故障により公認心理師の業務を適正に行うことができない者として文部科学省令・厚生労働省令で定めるもの

二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者

三 この法律の規定その他保健医療、福祉又は教育に関する法律の規定であって政令で定めるものにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者

四 第三十二条第一項第二号又は第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者

(令元法三七・一部改正)

出典:公認心理師法 第三条 欠格事由

 

欠格事由とは、簡単に説明してしまえば、資格を失うあるいは資格に必要な要件をみたさない理由のようなものです。

 

欠格事由に該当した場合は、公認心理師の資格登録が取り消されることとなります。

 

この欠格事由は2019年12月14日に一部改正されています。

改正前 改正後
一 成年後見人または被保佐人 一 心身の故障により公認心理師の業務を適正に行うことができない者として文部科学省令・厚生労働省令で定めるもの

 

公認心理師法第三条第一号の文部科学省令・厚生労働省令で定める者は、精神の機能の障害により公認心理師の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者とする。

出典:文部科学省令・厚生労働省令(公認心理師法第三条第一号の文部科学省令・厚生労働省令で定める者)

 

“成年後見人または被保佐人”から“精神の機能の障害により公認心理師の業務を適性に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者”に変更となっています。

 

また、公認心理師に関係する法律(医療・福祉・教育)に対する違反罰金刑以上その他の法律に関する違反禁固刑以上で欠格事由に該当することもポイントです。

 

以下に欠格事由を簡単にまとめます。

  • 文部科学省・厚生労働省によって、精神疾患などの理由により公認心理師としての業務を適切に行うことができないと判断されること
  • 禁固(刑務所に入る刑罰)以上の刑に処された場合、執行後から2年以内であること
  • 公認心理師法やその他関連する法律に違反することで罰金の刑に処された場合、執行後から2年以内であること
  • 公認心理師の資格登録が取り消されてから、2年以内であること

 

第3条 キーワード

  • 欠格事由は、「精神の機能の障害により業務が適切に行えないと判断される」「公認心理師関連法:罰金刑以上」「その他法律:禁固以上」「資格登録の取り消し」
  • 刑の執行や処分後より「2年以内」

 

公認心理師資格登録の取り消しについて(第三十二条 登録の取り消し等)

 

文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師が次の各号のいずれかに該当する場合には、その登録を取り消さなければならない。

一 第三条各号(第四号を除く。)のいずれかに該当するに至った場合

二 虚偽又は不正の事実に基づいて登録を受けた場合

2 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師が第四十条、第四十一条又は第四十二条第二項の規定に違反したときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて公認心理師の名称及びその名称中における心理師という文字の使用の停止を命ずることができる。

出典:公認心理師法 第三十二条 登録の取り消し

 

簡単に説明すると、

  • ①欠格事由に該当した場合
  • ②嘘もしくは不正な事実で登録を行った場合

のいずれかに該当した場合は、公認心理師の登録が取り消されることとなります。

 

また、

  • ③信用失墜行為の禁止(第四十条)、秘密保持義務(第四十一条)、主治医の指示に従う(第四十二条第二項)のいずれかに違反した場合

のいわゆる義務違反に関しては、ケースバイケースで、登録の取り消しあるいは名称の使用停止のどちらかとなります。

 

このケースバイケースというのが難しいところなのですが、こちらの義務違反に関しては、違反に対して課される罰則の種類によっては第三条の欠格事由に該当して登録の取り消しとなることもあるため、「違反の罰則が罰金刑以上であるか否か」が1つの判断基準となるかもしれません。

 

キーワード

  • 確実に登録の取り消しとなる:①欠格事由に該当する場合、②虚偽・不正な内容での登録
  • 登録の取り消しor名称の使用停止:「信用失墜行為の禁止」、「秘密保持義務」、「主治医の指示に従う」の違反

 

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まとめ

この記事では、公認心理師法のなかから確実におさえておくべき「公認心理師の概要」に関係する部分を抜粋して紹介しました!

公認心理師法の条文が確認できるサイトのリンクです。公認心理師の資格をもったあとでも頭に入れておくべき重要な内容ですので、是非ご確認ください。

公認心理師法|条文|法令リード

 

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この記事のまとめ

  • 公認心理師法の目的は、“国民の心の健康の保持増進に寄与すること”である
  • 公認心理師とは、“公認心理師登録簿”に登録され、“公認心理師の名称”を冠し、“保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって”、“心理状態の観察・結果の分析”“当事者本人への心理的支援”“関係者への心理的支援”“知識の普及と情報の提供”といった業務を行う者である
  • 欠格事由として、「精神の機能の障害により業務が適切に行えないと判断される」「公認心理師関連法:罰金刑以上」「その他法律:禁固以上」「資格登録の取り消し」が挙げられる
  • 確実に登録の取り消しとなるのは、①欠格事由に該当する場合、②虚偽・不正な内容での登録であり、登録の取り消し、もしくは、名称の使用停止となるのは“信用失墜行為の禁止”、“秘密保持義務”、「主治医の指示に従う」の違反である