公認理師資格試験 過去問解説 問108 労働基準法に基づく年次有給休暇

公認理師資格試験 過去問解説 問108 労働基準法に基づく年次有給休暇

第3回公認心理師試験の過去問や正答は以下のサイトで入手可能です。

第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

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問108 労働基準法に基づく年次有給休暇について、正しいものを1つ選べ。

① 雇入れの日から3か月間継続勤務した労働者に対して付与される。

② 原則として、法定休日を除き連続して4日間以上の年次有給休暇の取得は認められていない。

③ 週所定労働日数及び週所定労働時間によって、付与される年次有給休暇の日数が異なる場合がある。

④ パートタイム労働者への年次有給休暇の付与は、法による定めはなく、各事業者の方針によって決定される。

⑤ 事業の正常な運営が妨げられる場合においても、労働者は希望した日に年次有給休暇を取得することができる。

出典:第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
正答は ③ 週所定労働日数及び週所定労働時間によって、付与される年次有給休暇の日数が異なる場合がある 

となります。

選択肢の解説

①雇入れの日から3か月間継続勤務した労働者に対して付与される

労働基準法における年次有給休暇に関しては、厚生労働省の以下の資料が詳しいのでご参照ください。

年次有給休暇の付与日数|厚生労働省

年次有給休暇が付与される条件としては、

  • 半年間継続して雇われていること
  • 全労働日の8割以上を出勤していること

と法律上で定められています(労働基準法39条)。

そのため、選択肢①は「3か月」の部分が不適切で、正しくは「半年間(6か月)」となりますね。

ちなみに、通常の労働者の年次有給休暇の付与日数は、最初の半年から1年ごとに継続勤務年数によって増加していきます。

継続勤務年数0.51.52.53.54.55.56.5以上
付与日数10111214161820
出典:年次有給休暇の付与日数|厚生労働省

②原則として、法定休日を除き連続して4日間以上の年次有給休暇の取得は認められていない

年次有給休暇は労働者の権利であり、法律的には何日連続で取得しても問題ではないことになっています。

ただし、事業所によっては「計画的付与制度」を適用している場合もあります。

計画的付与制度とは、年次有給休暇の付与日数のうち5日を除いた残りの日数について、労使協定を締結する等により、計画的に休暇取得日を割り振ることができる制度

出典:年次有給休暇の付与日数|厚生労働省

となっています。

このように計画的付与制度が適用されている場合では、有給休暇の取得がすべて自由になるわけではありませんが、計画的付与制度を設けていても5日間は自由に取得することができることになります。

よって選択肢②は不適切といえます。

③週所定労働日数及び週所定労働時間によって、付与される年次有給休暇の日数が異なる場合がある

年次有給休暇は、週所定労働日数や週所定労働時間によって付与される日数に差があります。

ひとつの基準は、週労働日数が4日以下・週所定労働時間が30時間未満となっています。

よって、選択肢③は問題の正答となりますね。

④パートタイム労働者への年次有給休暇の付与は、法による定めはなく、各事業者の方針によって決定される

年次有給休暇の付与については、勤務形態に関わらず、

  • 半年間継続して雇われていること
  • 全労働日の8割以上を出勤していること

が法律上で定められています。

そのためパートタイム労働者であっても、上の条件を満たしていれば法律上付与されることとなります。

しかし、勤務日数や勤務時数によって、付与される日数に差があることには留意する必要があります。

⑤事業の正常な運営が妨げられる場合においても、労働者は希望した日に年次有給休暇を取得することができる

選択肢⑤の問題文については、労働基準法第39条の5に記載があります。

使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

出典:労働基準法|e-Gov法令検索

以上のことから、労働基準法上では、使用者側が「事業の正常な運営を妨げる場合」に有給休暇の取得を別の時期に移すように要請できるということになります。

よって、選択肢⑤「事業の正常な運営が妨げられる場合においても、労働者は希望した日に年次有給休暇を取得することができる」は正しい記述とはいえず、解答として不適当なものになります。

まとめ

  • 労働基準法第39条によると、年次有給休暇は「①半年間継続して雇われていること」「②全労働日の8割以上を出勤していること」の条件を満たす労働者に付与されることとなっている。
  • 事業所の方針や、勤務日数・勤務時数によって、付与される日数は異なる。その大きな基準は、「週労働日数が4日以上、週所定労働時間が30時間以上」である。
  • 計画的付与制度とは、年次有給休暇の付与日数のうち5日を除いた残りの日数について、労使協定を締結する等により、計画的に休暇取得日を割り振ることができる制度である。