公認理師資格試験 過去問解説 問101 少年による刑法犯犯罪(平成28年から平成30年)

公認理師資格試験 過去問解説 問101 少年による刑法犯犯罪(平成28年から平成30年)

第3回公認心理師試験の過去問や正答は以下のサイトで入手可能です。

第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

公認心理師資格試験の過去問をしっかりと振り返ることで「自分に必要な知識は何か」を知るための手がかりとしてくださいね!

【公認心理資格試験】試験勉強の仕方。ブループリントに記載されている出題割合で勉強の範囲を狭めない方がいい理由について解説します!

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【問101】刑法犯犯罪(平成28年から平成30年)

問101 2016年(平成28年)から 2018 年平成30年までの少年による刑法犯犯罪について、正しいものを1つ選べ。

① 検挙人員は減少している。

② 共犯者がいるものは 60 % 以上である。

③ 検挙されたもののうち、学生・生徒は 30 % 以下である。

④ 14 歳から 15 歳の検挙人員は、16 歳から 17 歳の検挙人員よりも多い。

⑤ 殺人・強盗・放火・強制性交等強姦 の凶悪事件は 10 % 程度である。

出典:第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

正答は ① 検挙人員は減少している

となります。

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選択肢の解説

① 検挙人員は減少している

まずは用語の整理から始めましょう。

刑法犯 = 刑法に触れる行為をしたか、もしくは、刑法を犯した

という意味となります。

たとえば、「殺人」「強盗」「放火」「強姦」「凶器・準備集合」「暴行」「傷害」「脅迫」などが含まれます。

では、少年による刑法犯罪の検挙人員に関する記述を見てみましょう。

平成期における少年による刑法犯の検挙人員は,一時的な増加があったものの,成人より早く減少傾向に転じ,平成16年以降減少し続けており,30年は3万458人(前年比13.2%減)であった

令和元年版 犯罪白書 第2編 第2章 第1節 1

本問題の答えがこちらの記述に書かれていますね。

平成30年までの期間では、基本的には少年による刑法犯の検挙人員は減少を続けていることがわかります。

よって、選択肢①「検挙人員は減少している」は、正答といえます。

② 共犯者がいるものは 60 % 以上である

犯罪白書には、少年のみの共犯率(つまり、共犯者に大人を含まない)が算出されています。

該当箇所の記述を見てみると、

総数では,少年のみによる事件での共犯率は22.5%であり,成人のみによる事件(成人の単独犯又は成人のみの共犯による事件)での共犯率(10.2%)と比べて高い

平成30年版 犯罪白書 第3編 第1章 第1節 4

とあります。

少年による刑法犯の総数をみると、「共犯率=22.5%」ということがわかりますね。

本問題はこの知識で解答可能なのですが、プラスアルファの知識として、罪名種別で共犯率が異なるという部分は押さえておきましょう。

ちなみに、罪名種別で考えると、

  • 強盗:46.7%
  • 恐喝:38.2%
  • 住居侵入:34.7%
  • 器物破損:32.5%
  • 詐欺:30.2%
  • 窃盗:27.2%
  • 傷害:18.4%

となります。

いずれにせよ共犯率は60%を越えませんので、選択肢②「共犯者がいるものは 60 % 以上である」は不適切な記述となりますね。

③ 検挙されたもののうち、学生・生徒は 30 % 以下である

少年による刑法犯のうち検挙された者の就学状況に関する問題となります。

犯罪白書の「就学・就労状況」に該当する記述を見てみましょう。

元年及び15年では,学生・生徒の割合は,それぞれ78.0%,77.1%であったところ,30年では67.8%(前年比2.2pt低下)であった

令和元年版 犯罪白書 第2編 第2章 第1節 2

とあります。

ちなみに、平成30年では、58.7%が中・高生となっていますね。

よって、選択肢③「検挙されたもののうち、学生・生徒は30%以下である」は誤った記述といえますね。

④ 14 歳から 15 歳の検挙人員は、16 歳から 17 歳の検挙人員よりも多い

この問題を回答するためには、以下の用語を理解している必要があります。

  • 年少少年:14-15歳
  • 中間少年:16-17歳
  • 年長少年:18-19歳

こちらは統計上の分類で、年齢別に分けている用語となります。

選択肢に関係する犯罪白書ですが、平成30年版の犯罪白書に以下のようなグラフがあります。

上のグラフをみると、年齢別の検挙人員数が以下のように記載されていますね。

  • 年少少年(14-15歳)  8951人
  • 中間少年(16-17歳) 10020人
  • 年長少年(18-19歳)  7826人

つまり、検挙人員数は、年長少年(18-19) < 年少少年(14-15) < 中間少年(16-17) という順で多いことになります。

よって、選択肢④「14 歳から 15 歳の検挙人員は、16 歳から 17 歳の検挙人員よりも多い」は、正確には「16歳から17歳(中間少年)の検挙人数の方が多い」となり、問題の回答としては不適切となります。

⑤ 殺人・強盗・放火・強制性交等強姦 の凶悪事件は 10 % 程度である

こちらの選択肢では、少年による刑法犯の検挙人員数のなかから、凶悪事件(殺人・強盗・放火・強制性交等強姦)の割合が何%かを見出すことができれば回答可能です。

では、該当する犯罪白書のグラフをみていきましょう。

出典:平成30年版 犯罪白書 第3編 第1章 第1節 3  

この問題で定義されている凶悪事件の割合を合計すると、1.6%となりますね。

よって、選択肢⑤「殺人・強盗・放火・強制性交等強姦 の凶悪事件は 10 % 程度である」は2%未満であるため、不適切な記述となりますね。

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まとめ

第3回公認心理師資格試験の問101は、少年による刑法犯犯罪(平成28〜30年)について問題でした!

公認心理師試験には少年法や犯罪に関しての問題が出てくることがありますが、選択肢自体はそこまで複雑ではなく、基本的には「犯罪白書」に目を通していると解答可能となります。

試験を受ける年度での最新版の「犯罪白書」には目を通しておきましょう。