公認心理師資格試験 過去問解説 問6 認知心理学①「奥行き知覚」
- 2021.02.27
- 資格試験
- 第3回公認心理師試験, 認知心理学
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第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
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【問6】認知心理学①「奥行き知覚」
問6 奥行きの知覚における両眼性の手がかりとして、正しいものを1つ選べ。
① 陰影
② 輻輳
③ 重なり
④ 線遠近法
⑤ きめの勾配
問6は「奥行き知覚」についての問題になります。基礎心理学の領域のひとつである認知心理学の知識が必要となりますね。
② 輻輳
となります。
奥行き知覚
奥行き知覚(depth perception)とは、
知覚空間において事物が三次元的に定位すること。
出典:心理学辞典|有斐閣
とされています。
ざっくりとした理解としては、「対象となるものの位置を空間的な広がりとして捉える」ことといえます。
人間は視覚・聴覚・触覚にこの奥行き知覚の能力が備わっていますが、そのなかでも視覚が最も安定して「奥行き」を認識することができるとされています。
対象までの空間的な広がり=「距離」
対象同士の空間的な広がり=「奥行き」
そして「奥行きの手がかり」とは、奥行き(つまり、空間的・三次元的なものの位置)を認識するように導いている刺激のことをいいます。
奥行き知覚の有名な実験として、Gibson, E. J.(ギブソン)による視覚的断崖(visual cliff)という実験もありますね!
奥行きの手がかり(視覚)
視覚の場合、刺激は網膜において二次元的に受容されるが、知覚的世界は奥行き方向に広がっている。
出典:心理学辞典|有斐閣
つまり、人間は何か対象を見たときに、網膜に二次元の画像が映り、その画像にある手がかりを利用して脳内で三次元の立体的な画像に変換することで奥行きを認識しています。
この手がかりには、人間の目が両眼あるという生理的な要因が大きい両眼性の手がかりと、対象の位置や形などを経験的に理解するという単眼性の手がかりの2つがあります。
明確な定義は各文献によって違いますが、奥行きの手がかりには以下のようなものがあります。
【参考文献、参考図書】
・塩入・渡辺(2009). 奥行運動知覚と二つの手掛かり. 視覚の科学, 30(3), 65-74.
・心理学辞典|有斐閣
今回の問題では、両眼性の手がかりがこの選択肢②「輻輳」以外が全て単眼性の手がかりである「絵画的手がかり」となっています。そのため、正答はこの選択肢②「輻輳」となります。
輻輳
輻輳(ふくそう:convergence)は、両眼性の手がかりのなかでも眼球運動の手がかりの1つです。
見ている対象が移動したときにおきる水平方向の眼球運動のことをいいます。
- 遠くから近くに移動:両眼は内側に回転する
- 近くから遠くに移動:両眼は外側に回転する
まとめ
第3回公認心理師資格試験の問6は「認知心理学① 〜奥行き知覚〜」とに関する知識が問われる問題でした。
以下の図を押さえておくといいでしょう。
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