第6回公認心理師試験の午前問11は、迷走神経反射によって起こる現象を問う問題です。
正答は①です。迷走神経反射、特に血管迷走神経性失神〈vasovagal syncope〉では、反射的な血圧低下と、しばしば心拍数の低下が起こり、脳への血流が一時的に不足することで意識消失が生じます。
問題
迷走神経反射によって起こる現象として、最も適切なものを1つ選べ。
- 意識の喪失
- 顔面の紅潮
- 血圧の上昇
- 脈拍の増加
- 脳血流の増加
正答:①
この問題のポイント
この問題では、迷走神経反射が起きたときの循環動態の方向を理解しているかが重要です。
典型的な血管迷走神経性失神では、末梢血管の拡張による血圧低下と、迷走神経活動の増加などに伴う相対的な徐脈が生じます。その結果、脳灌流が低下し、一過性に意識を失うことがあります。
したがって、選択肢を「上がる/下がる」で対比すると整理しやすくなります。
- 血圧:上昇ではなく低下方向
- 脈拍:増加ではなく低下方向になり得る
- 脳血流:増加ではなく低下方向
- 顔色:紅潮より蒼白が典型的
- 意識:脳低灌流が強くなると一過性意識消失
迷走神経反射と血管迷走神経性失神
失神〈syncope〉は、一過性の脳低灌流によって生じる、急速に発症して短時間で回復する一過性意識消失として整理されます。
血管迷走神経性失神は、反射性失神の代表的なタイプです。長時間の立位、痛み、恐怖、採血などが誘因になることがあります。
発症前には、吐き気、冷汗、熱感、視野が暗くなる感じ、めまいなどの前駆症状がみられることがあります。その後、血圧が低下し、脳灌流が十分に保てなくなると意識消失に至ります。
なぜ血圧と脈拍が下がるのか
血管迷走神経反射では、自律神経系の反射によって循環調節が変化します。
末梢血管が拡張すると血管抵抗が下がり、血圧が低下します。また、迷走神経活動が強くなると心拍数が低下することがあります。
この2つが重なると心拍出量や動脈圧が低下し、脳への灌流が不足します。その結果として失神が生じます。
ただし、実際の血管迷走神経性失神では血圧低下と心拍数低下の程度には個人差があり、すべてのケースで同じ変化が同程度に起こるわけではありません。試験では、代表的な機序を押さえます。
選択肢ごとの解説
① 意識の喪失
適切であり、本問の正答です。
血管迷走神経性失神では、血圧低下などによって脳灌流が低下し、一過性の意識消失が起こります。「迷走神経反射」と「失神」を結びつけることが、この問題の中心です。
② 顔面の紅潮
これは不適切です。
典型的には、顔面紅潮よりも蒼白がみられます。発汗や悪心などを伴うこともあります。
③ 血圧の上昇
これは不適切です。
血管迷走神経性失神では、末梢血管拡張などによって低血圧が生じます。血圧が上がる方向ではなく、下がる方向で理解します。
④ 脈拍の増加
これは不適切です。
迷走神経活動の増加により、心拍数が低下することがあります。典型的な機序としては、脈拍増加よりも相対的徐脈・心拍数低下を押さえます。
⑤ 脳血流の増加
これは不適切です。
失神の直接的な機序は、一過性の脳低灌流です。したがって、脳血流が増加するのではなく、十分に保てなくなることが問題です。
「失神」と「意識消失」をどう整理するか
意識消失を起こす状態は、血管迷走神経性失神だけではありません。心原性失神、起立性低血圧、けいれん発作、代謝異常など、別の原因でも意識を失うことがあります。
そのため、実際の臨床では「意識を失った=迷走神経反射」と決めつけることはできません。本記事は公認心理師試験の選択肢を理解するために、典型的な血管迷走神経性失神の機序を整理するものです。
試験での見分け方
- 迷走神経反射から低血圧を連想する。
- 迷走神経活動の増加から心拍数低下を連想する。
- 循環低下から脳低灌流をつなげる。
- 脳低灌流から一過性意識消失を導く。
- 顔面紅潮ではなく蒼白が典型的と覚える。
まとめ
第6回午前問11の正答は①です。
迷走神経反射による血管迷走神経性失神では、血圧低下と、しばしば心拍数低下が起こり、脳灌流が低下して一過性の意識消失に至ります。
試験では、血圧↓ → 脳灌流↓ → 意識消失という流れを中心に、脈拍や顔色の変化も合わせて整理すると判断しやすくなります。


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