公式問題
犯罪被害者等基本法に関する記述として、誤っているものを1つ選べ。
- 犯罪被害者等のための施策は、犯罪被害者等が被害を受けたときから3年間までの間に講ぜられる。
- 犯罪被害者等が心理的外傷から回復できるよう、適切な保健医療サービスや福祉サービスを提供する。
- 犯罪被害者等のための施策は、国、地方公共団体、その他の関係機関、民間の団体等との連携の下、実施する。
- 刑事事件の捜査や公判等の過程における犯罪被害者等の負担が軽減されるよう、専門的知識や技能を有する職員を配置する。
- 教育・広報活動を通じて、犯罪被害者等が置かれている状況や、犯罪被害者等の名誉や生活の平穏への配慮について国民の理解を深める。
正答:①
この問題のポイント
第4回午前問45は、犯罪被害者等基本法の基本理念と基本的施策を問う問題です。
最も重要なのは、犯罪被害者等への支援に「3年間まで」のような一律の期限が定められているわけではないことです。
犯罪被害者等基本法第3条第3項では、犯罪被害者等が被害を受けたときから、再び平穏な生活を営むことができるようになるまで、必要な支援等を途切れることなく受けられるよう施策を講ずることが示されています。
したがって、「被害を受けたときから3年間まで」と期間を限定する①が誤りです。
犯罪被害者支援制度全体の整理には、以下の記事も関連します。
犯罪被害者等基本法とは
犯罪被害者等基本法は、犯罪被害者等の権利利益を保護し、被害からの回復や生活再建、刑事手続への適切な関与などを支えるための基本理念と施策の方向を定めた法律です。
法律上の「犯罪被害者等」には、犯罪等によって直接被害を受けた本人だけでなく、その家族や遺族も含まれます。
また、犯罪被害者支援は単に一時的な相談を行うだけではありません。
- 心身への影響からの回復
- 経済的負担の軽減
- 安全の確保
- 居住や雇用の安定
- 刑事手続への関与
- 心理的外傷への支援
- 関係機関・民間団体との連携
など、生活全体を視野に入れた支援が想定されています。
最重要ポイント|「3年間」という期限はない
犯罪被害者等基本法第3条は、犯罪被害者等のための施策に関する基本理念を定めています。
特に第3項では、支援について、
被害を受けたときから、再び平穏な生活を営むことができるようになるまで
必要な支援等を途切れることなく受けられるようにすることが示されています。
ここでは「1年」「3年」「5年」のような一律の年数は定められていません。
被害の影響や回復までに必要な期間は、被害の内容、心身の状態、家族状況、生活状況などによって異なるためです。
試験では、法律問題に具体的な数字が出てきたときほど、その数字が本当に条文に書かれているかを確認することが重要です。
選択肢ごとの解説
① 被害を受けたときから3年間まで
誤りです。正答です。
犯罪被害者等基本法は、犯罪被害者等への支援を「3年間まで」と限定していません。
第3条第3項では、被害を受けたときから、犯罪被害者等が再び平穏な生活を営むことができるようになるまで、必要な支援を途切れることなく受けられるよう施策を講ずるとしています。
したがって、
支援期間=一律3年間
という理解は誤りです。
試験では、この「3年間」という具体的な数字がディストラクターになっています。
② 心理的外傷からの回復のための保健医療・福祉サービス
適切です。
犯罪被害者等基本法第14条は、犯罪被害者等が心理的外傷その他の犯罪等による心身への影響から回復できるよう、その状態に応じた適切な保健医療サービスや福祉サービスが提供されるための施策を求めています。
犯罪被害後には、恐怖、不安、抑うつ、睡眠の問題、心的外傷反応など、さまざまな心理的・身体的影響が生じることがあります。
ただし、犯罪被害を経験した人すべてがPTSDになるわけではありません。個々の状態を評価し、必要な支援につなげることが重要です。
PTSDについては以下の記事も関連します。
③ 関係機関・民間団体との連携
適切です。
犯罪被害者支援は、一つの機関だけで完結するものではありません。
犯罪被害者等基本法第7条では、国、地方公共団体、日本司法支援センター、その他の関係機関、犯罪被害者等を援助する民間団体などが、相互に連携しながら協力することを定めています。
犯罪被害者等が抱える問題は、
- 心理
- 医療
- 福祉
- 法律
- 経済
- 住居
- 就労
- 刑事手続
など複数領域にまたがるため、支援機関同士の連携が重要になります。
④ 捜査・公判等での負担軽減と専門職員の配置
適切です。
犯罪被害者等基本法第19条では、保護、捜査、公判等の過程で犯罪被害者等の人権に十分配慮し、負担を軽減するための施策を求めています。
その具体例として、
- 犯罪被害者等の心身の状況や環境への理解を深めるための訓練・啓発
- 専門的知識または技能を有する職員の配置
- 必要な施設の整備
などが挙げられています。
したがって④は法律の内容に沿っています。
⑤ 教育・広報活動による国民理解の促進
適切です。
犯罪被害者等基本法第20条では、教育活動や広報活動などを通して、
- 犯罪被害者等が置かれている状況
- 犯罪被害者等の名誉への配慮
- 生活の平穏への配慮
などについて国民の理解を深めるための施策を求めています。
犯罪被害後には、直接的な被害だけでなく、周囲の無理解や不用意な言動、プライバシー侵害などによって追加的な負担が生じることがあります。
そのため、社会全体の理解を促すことも犯罪被害者支援の一部です。
条文と選択肢を対応させる
| 選択肢 | 主に対応する内容 | 判定 |
|---|---|---|
| ① 3年間まで | 第3条第3項は一律の期限を定めていない | 誤り |
| ② 保健医療・福祉 | 第14条 | 適切 |
| ③ 関係機関との連携 | 第7条 | 適切 |
| ④ 捜査・公判等での負担軽減 | 第19条 | 適切 |
| ⑤ 教育・広報活動 | 第20条 | 適切 |
この問題は、条文の細かな文言を丸暗記するより、犯罪被害者支援が継続的かつ多領域にまたがる支援であることを理解すると解きやすくなります。
試験での見分け方
法律問題で注意したいのが、もっともらしい固定期間・固定人数・固定回数です。
たとえば、
- 3年間まで
- 5年以内
- 年1回
- 〇人以上
といった具体的な数字が出てきた場合、その数字が実際の条文にあるのかを確認する必要があります。
本問では、
「3年間」ではなく「再び平穏な生活を営むことができるようになるまで」
が決定的な違いです。
まとめ
第4回午前問45では、犯罪被害者等基本法に基づく支援の基本理念と具体的施策が問われています。
特に重要なのは、
犯罪被害者等への支援には一律の3年間という期限はなく、被害を受けたときから再び平穏な生活を営めるようになるまで、途切れない支援が求められている
という点です。
また、心理的外傷への保健医療・福祉支援、関係機関との連携、捜査・公判等での負担軽減、国民理解の促進も法律に位置づけられています。
正答:①
Sources
- 日本心理研修センター「第4回公認心理師試験 午前問題」
https://www.jccpp.or.jp/files/items/126/File/04_gokaku_happyo_05.pdf
- 日本心理研修センター「第4回公認心理師試験 合格基準及び正答」
https://www.jccpp.or.jp/files/items/126/File/03_gokaku_happyo_05.pdf
- 警察庁「犯罪被害者等基本法」



コメント