公認心理師資格試験 過去問解説 第5回 午前 問28|慢性的なコルチゾール過剰とクッシング症候群

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公式問題

慢性的なコルチゾールの過剰状態に伴う症状として、正しいものを1つ選べ。

  1. 低血糖
  2. るい痩
  3. 眼球突出
  4. けいれん
  5. 満月様顔貌

正答:⑤ 満月様顔貌

この問題のポイント

第5回午前問28は、慢性的なコルチゾール過剰でみられる身体所見を問う問題です。

慢性的にコルチゾールの作用が過剰となる代表的な病態がクッシング症候群〈Cushing syndrome〉です。

日本内分泌学会では、特徴的な身体徴候として、

  • 満月様顔貌
  • 野牛肩
  • 中心性肥満
  • 皮膚菲薄化
  • 腹部赤色皮膚線条
  • 近位筋の筋力低下

などを挙げています。

したがって、本問では⑤「満月様顔貌」が最も典型的な症状です。

コルチゾールとは

コルチゾール〈cortisol〉は副腎皮質から分泌される糖質コルチコイドの一つです。

ストレスへの適応、血糖や血圧の維持、免疫・炎症反応の調節など、さまざまな生体機能に関与しています。

一方、慢性的に作用が過剰になると、代謝、脂肪分布、筋肉、皮膚、骨、血圧、糖代謝など広い領域へ影響が生じます。

コルチゾールを含む副腎皮質ホルモンの基本的な作用については、以下の記事も復習に使えます。

HPA軸を最低限整理する

コルチゾールの分泌は、視床下部―下垂体―副腎皮質系〈HPA axis〉によって調節されます。

大まかな流れは、

視床下部 CRH → 下垂体 ACTH → 副腎皮質 コルチゾール

です。

分泌されたコルチゾールは、視床下部や下垂体へネガティブフィードバックをかけ、過剰な分泌を抑える方向に働きます。

公認心理師試験では、この経路を細かな検査値まで暗記するよりも、

ACTHが副腎皮質を刺激してコルチゾール分泌につながる

という関係を押さえておくと十分です。

クッシング症候群とクッシング病は同じではない

ここは試験で混同しやすいポイントです。

クッシング症候群

  • コルチゾール作用が慢性的に過剰となる病態の総称
  • 副腎そのものの異常
  • ACTH過剰
  • 糖質コルチコイド薬による薬剤性

など複数の原因があります。

クッシング病

  • クッシング症候群の一部
  • 主に下垂体のACTH産生腺腫によってACTHが過剰となり、コルチゾール過剰を起こす病態

つまり、

クッシング病 ⊂ クッシング症候群

と考えると整理しやすくなります。

選択肢ごとの解説

① 低血糖

不適切です。

コルチゾールには血糖を維持・上昇させる方向の作用があります。

慢性的なコルチゾール過剰では、低血糖よりも耐糖能異常や高血糖、糖尿病の方向が問題になります。

日本内分泌学会でも、クッシング症候群に比較的よくみられる臨床徴候として耐糖能異常が挙げられています。

したがって、「低血糖」は方向が逆です。

② るい痩

本問では不適切です。

クッシング症候群では、典型的には中心性肥満がみられます。

一方で、コルチゾール過剰により近位筋の筋力低下や筋萎縮が生じ、手足が細く見えることがあります。

そのため、身体全体が単純に「るい痩する」と覚えるのは不適切です。

試験では、

体幹は太りやすい/四肢は筋萎縮で細くなることがある

という特徴的な体型を押さえておきましょう。

③ 眼球突出

不適切です。

眼球突出は、コルチゾール過剰を特徴づける症状ではありません。

試験では、眼球突出を見たら甲状腺機能亢進症、特にバセドウ病を連想するのが基本です。

甲状腺疾患との症状の見分け方については、以下の記事も関連します。

同記事では、眼球突出、頻脈、発汗などを甲状腺機能亢進症側の症状として整理しています。

④ けいれん

本問では不適切です。

けいれんは多くの神経疾患、代謝異常、薬物、重篤な全身状態などで生じ得る症状ですが、慢性的なコルチゾール過剰を特徴づける代表的な身体所見ではありません。

公認心理師試験では、クッシング症候群に特徴的な体型や皮膚所見、代謝異常を優先して考えます。

⑤ 満月様顔貌

適切です。正答です。

満月様顔貌〈moon face〉は、顔が丸く満月のように見える特徴的な身体所見です。

慢性的なコルチゾール過剰による脂肪分布の変化と関連し、クッシング症候群を代表する所見の一つです。

日本内分泌学会でも、満月様顔貌はクッシング症候群の特徴的な身体徴候として明記されています。

したがって、本問の正答は⑤です。

クッシング症候群で覚えておきたい症状

試験では、次のセットで覚えておくと選択肢を見分けやすくなります。

領域 代表的な所見
体型・脂肪分布 満月様顔貌、中心性肥満、野牛肩
近位筋の筋力低下、四肢が細くみえることがある
皮膚 皮膚菲薄化、赤色〜紫色皮膚線条、皮下出血しやすい
糖代謝 耐糖能異常、高血糖・糖尿病の方向
循環器 高血圧
骨粗鬆症
精神面 うつ症状などがみられることがある

重要なのは、「太る」「痩せる」という単純な二択ではなく、脂肪の再分布と筋萎縮が同時に起こり得るという点です。

試験での見分け方

本問は、各選択肢を代表的な疾患・病態へ結びつけると解きやすくなります。

  • 低血糖 → コルチゾール過剰とは逆方向
  • るい痩 → 全身像としては典型ではない
  • 眼球突出 → バセドウ病/甲状腺機能亢進症
  • けいれん → クッシング症候群の特徴的所見ではない
  • 満月様顔貌 → クッシング症候群

つまり、

「コルチゾール過剰」→「クッシング症候群」→「満月様顔貌」

という3段階で結びつければ解答できます。

まとめ

慢性的なコルチゾール作用の過剰は、クッシング症候群として特徴的な身体変化を引き起こします。

試験では、

  • 満月様顔貌
  • 中心性肥満
  • 野牛肩
  • 皮膚菲薄化・皮膚線条
  • 近位筋力低下
  • 高血圧
  • 耐糖能異常

を代表的なセットとして覚えておきましょう。

また、クッシング病はクッシング症候群全体と同義ではなく、主に下垂体ACTH産生腺腫による病態を指します。

正答:⑤ 満月様顔貌

Sources

  • 日本心理研修センター「第5回公認心理師試験 午前問題」

https://www.jccpp.or.jp/files/items/127/File/04_gokaku_happyo_05.pdf

  • 日本心理研修センター「第5回公認心理師試験 合格基準及び正答」

https://www.jccpp.or.jp/files/items/127/File/03_gokaku_happyo_06.pdf

  • 日本内分泌学会「クッシング症候群」
クッシング症候群|一般の皆様へ|日本内分泌学会
  • 難病情報センター「クッシング病(下垂体性ACTH分泌亢進症)」
クッシング病(下垂体性ACTH分泌亢進症)(指定難病75) – 難病情報センター

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