第5回公認心理師試験・午前問23は、認知症の行動・心理症状(BPSD)について問う問題です。
問題
認知症の行動・心理症状[behavioral and psychological symptoms of dementia〈BPSD〉]について、最も適切なものを1つ選べ。
① 生活環境による影響は受けない。
② 前頭側頭型認知症では、初期からみられる。
③ 治療では、非薬物療法よりも薬物療法を優先する。
④ Alzheimer型認知症では、幻視が頻繁にみられる。
⑤ 単一の妄想として最も頻度が高いのは、見捨てられ妄想である。
正答は②「前頭側頭型認知症では、初期からみられる」です。
BPSDとは
BPSDは、Behavioral and Psychological Symptoms of Dementiaの略で、日本語では「認知症の行動・心理症状」と呼ばれます。
不安、抑うつ、妄想、幻覚、焦燥などの心理症状や、徘徊、脱抑制、攻撃的言動、睡眠障害などの行動面の症状が含まれます。
BPSDの出現には、認知症そのものだけでなく、身体状態、本人の心理状態、生活環境や対人関係など複数の要因が関係します。そのため、症状だけを見るのではなく、背景要因を含めて評価することが重要です。
前頭側頭型認知症では行動変化が早期からみられる
前頭側頭型認知症、特に行動型前頭側頭型認知症では、脱抑制、アパシー、共感性の低下、常同行動、食行動の変化などの行動・人格変化が初期から前景に出やすいことが特徴です。
したがって、選択肢②は適切です。
環境要因とBPSD
BPSDは生活環境の影響を受けます。厚生労働省の資料でも、身体的要因や環境要因がBPSDの発現に関与しうることが示されています。
そのため、選択肢①「生活環境による影響は受けない」は誤りです。
治療はまず背景要因の評価と非薬物的介入
BPSDへの対応では、緊急性が高い場合などを除き、まず身体状態、薬剤、環境、ケア方法などの誘因を確認し、非薬物的介入を優先することが原則です。
したがって、選択肢③「非薬物療法よりも薬物療法を優先する」は誤りです。
幻視はLewy小体型認知症で重要
具体的で繰り返される幻視は、Alzheimer型認知症よりもLewy小体型認知症を考える重要な特徴です。
Alzheimer型認知症でもBPSDとして幻覚が起こることはありますが、「頻繁にみられる代表的特徴」として整理するのは不適切です。
妄想では物盗られ妄想がよく知られる
認知症の妄想では、「物を盗られた」などの物盗られ妄想がよく知られています。見捨てられ妄想を「単一の妄想として最も頻度が高い」とする説明は適切ではありません。
既存記事でBPSDをさらに整理する
BPSDの代表症状、認知症の中核症状との違い、Alzheimer型・Lewy小体型・前頭側頭型などの整理は、Alzheimer型認知症とBPSDを扱う過去問解説でも確認できます。
各選択肢の解説
① 生活環境による影響は受けない
誤りです。BPSDは生活環境、身体状態、ケアや対人関係などの影響を受けます。
② 前頭側頭型認知症では、初期からみられる
正しい選択肢です。前頭側頭型認知症では行動・人格面の変化が早期から前景化することがあります。
③ 治療では、非薬物療法よりも薬物療法を優先する
誤りです。原則として背景要因を評価し、可能な非薬物的介入を先に検討します。
④ Alzheimer型認知症では、幻視が頻繁にみられる
誤りです。繰り返される具体的な幻視はLewy小体型認知症で特に重要な特徴です。
⑤ 単一の妄想として最も頻度が高いのは、見捨てられ妄想である
誤りです。認知症では物盗られ妄想がよく知られており、見捨てられ妄想を最頻とする整理は適切ではありません。
試験対策として覚えること
- BPSD = 認知症の行動・心理症状
- 環境・身体・心理・ケアなど複数の要因の影響を受ける
- 前頭側頭型認知症では行動変化が初期から目立ちやすい
- 対応は非薬物的介入を原則優先
- 繰り返す具体的幻視 → Lewy小体型認知症を想起
- 妄想では物盗られ妄想がよく知られる


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