公認理師資格試験 過去問解説 問102 社会心理学 「社会的勢力」

公認理師資格試験 過去問解説 問102 社会心理学 「社会的勢力」

第3回公認心理師試験の過去問や正答は以下のサイトで入手可能です。

第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

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問102 社会的勢力は、組織や集団の目標を実現するためのリーダーの影響力の基盤となる。このうち、メンバーがリーダーに対して好意や信頼、尊敬を抱くことで、自らをリーダーと同一視することに基づく勢力として、正しいものを1つ選べ。

① 強制勢力

② 準拠勢力

③ 正当勢力

④ 専門勢力

⑤ 報酬勢力

出典:第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
正答は ② 準拠勢力

となります。

社会的勢力とは

社会的勢力(social power)」とは、フレンチとレイヴン(French & Raven, 1959)による概念で、ざっくり説明すると、「誰か他の人(個人あるいは集団)の態度・行動・情動などに、何らかの影響を及ぼすことができる潜在的な能力」を意味する概念です。

正確に知りたい方は、西本裕輝(1995)が詳しいので、ご参照ください。

重要なことは、社会的勢力=必ずしも他者に影響与えるということを意味しているのではなく、あくまでも影響を与える力を持っているという概念だということです。

問題文にも記載がある通り、組織や集団の目標を実現するためのリーダーの影響力の基盤となるものといえるでしょう。

社会心理学の文脈においては、勢力(power)といえば、この社会的勢力を指し、社会的影響力(social influence)と呼ばれることもあります。

また、別の概念なのですが、類似する概念として、ハーグリーヴス による「資源概念」というものもあります。

社会的勢力の類型

フレンチとレイヴンは、この社会的勢力について、影響を与えている要因別に以下の5種類に分類しています。

  • 報酬勢力 reward power
  • 強制勢力 coercive power
  • 専門勢力 expert power
  • 正当勢力 legitimate power
  • 準拠(参照)勢力 referent power

この5つをまとめて「社会的勢力の基礎(base)」と呼ばれたりしています。

後にレイヴン(1965)が発展したモデルを提唱しており、

– 情報勢力 information power

が追加され、6類型としています。

この5類型は、特定の場面が想定されているわけではなく、あくまでも全般的な社会的場面について適用していることもあり、「特定の対人関係における社会的勢力」を実証的に明らかにするための研究が行われているようです。

選択肢の解説

① 強制勢力

強制勢力 coercive power は、

勢力源の言うことに従わなければ、勢力源は自分に罰を与えるであろうと勢力対象が思うことによって生ずる勢力である。

出典:西本裕輝(1995). 社会的勢力論再構考ー学級における個人の資源を中心とした社会的勢力の起源をめぐってー, 子ども社会研究, 1, 67-19.

とされています。

「勢力源」とは「影響を与える側の人」を指しているため、言うことに従わない場合に罰を与えられると感じることで、態度・行動・情動などの変容に繋がる、といった意味になります。

俗にいう「支配」や「恐怖政治」に近い感覚なのではないでしょうか。

問題文にあるような「好意・尊敬・信頼」とは異なるニュアンスであるため、本問題の選択肢としては不適切なものとなりますね。

② 準拠勢力

準拠勢力 referent power は、またの名を「参照勢力」と邦訳されることもあります。

勢力源に対する勢力対象の同一視、つまり、自分も勢力源のようになりたいとか、勢力源のように行動したいと対象者が思うことによって生ずる勢力である。

出典:西本裕輝(1995). 社会的勢力論再構考ー学級における個人の資源を中心とした社会的勢力の起源をめぐってー, 子ども社会研究, 1, 67-19.

つまり、「影響を与える側の人」に対して、影響を受ける側の人が「憧れ」や「敬意」を持って、その人のようになりたいと思うようになる形で影響を与えていくということになります。

問題文の記述と合致するため、こちらの「準拠勢力」が今回の問題の解答となりますね。

③ 正当勢力

正当勢力  legitimate powerとは、

勢力源が自分に対して命令したり、禁止したりするのは当然であると勢力対象が思うことによって生ずる勢力である。

出典:西本裕輝(1995). 社会的勢力論再構考ー学級における個人の資源を中心とした社会的勢力の起源をめぐってー, 子ども社会研究, 1, 67-19.

つまり、「影響を受ける人」が「影響を与える人」が指示を出すことが当たり前だという感覚になっていくことで影響を及ぼすということになります。

上司や目上の人といった印象でしょうか。

敬意は存在するかもしれませんが、問題文の記述とは一致しないことから、不適切な選択肢となりますね。

④ 専門勢力

専門勢力 expert power とは、

勢力源の実際の知識量や勢力源の知識量について勢力対象が持つ認識によって生ずる勢力である。

出典:西本裕輝(1995). 社会的勢力論再構考ー学級における個人の資源を中心とした社会的勢力の起源をめぐってー, 子ども社会研究, 1, 67-19.

つまり、「影響を受ける側の人」が「影響与える側の人」を有識者と捉えることで影響を受けるということですね。

こちらも問題文の記述とは一致しないため、不適切な解答となりますね。

⑤ 報酬勢力

報酬勢力 reward powerとは、

勢力源の言うことに従うならば、勢力源は自分に対して報酬を与えてくれるであろうと勢力対象が思うことによって生ずる勢力である。

出典:西本裕輝(1995). 社会的勢力論再構考ー学級における個人の資源を中心とした社会的勢力の起源をめぐってー, 子ども社会研究, 1, 67-19.

つまり、報酬が得られると認識することで影響が及ぼされるということですね。

こちらも問題の解答としては不適切といえますね。

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まとめ

第3回公認心理師資格試験の問102は、社会的勢力についての問題でした!

社会的勢力 = 誰か他の人(個人あるいは集団)の態度・行動・情動などに、何らかの影響を及ぼすことができる潜在的な能力

フレンチとレイヴンによる5類型

  • 報酬勢力 reward power
  • 強制勢力 coercive power
  • 専門勢力 expert power
  • 正当勢力 legitimate power
  • 準拠(参照)勢力 referent power

社会心理学の問題ですが、基礎的な知識があれば簡単に解答可能な問題といえます。