公認理師資格試験 過去問解説 問88 精神疾患の診断 DSM-5
- 2021.11.04
- 公認心理師(第3回) 資格試験
- 保健医療領域, 第3回公認心理師試験
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第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
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【問88】精神疾患の診断・統計マニュアル改訂第5版(DSM-5)
問88 精神疾患の診断・統計マニュアル改訂第5版DSM-5について、正しいものを1つ選べ。
① 機能の全体的評価を含む多軸診断を採用している。
② 次元モデルに基づく横断的症状尺度が導入されている。
③ 強迫症/強迫性障害は、不安症群/不安障害群に分類される。
④ 生活機能を心身機能・身体構造、活動及び参加の3要素で捉えている。
⑤ 分離不安症/分離不安障害は、「通常、幼児期、小児期または青年期に初めて診断される障害」に分類される。
② 次元モデルに基づく横断的症状尺度が導入されている
となります。
選択肢の解説
① 機能の全体的評価を含む多軸診断を採用している
多軸診断は、DSM-Ⅲ(1980年)から採用された診断方法で、いくつかの中心症状を抽出して陽性か陰性(疾患に該当するか否か)という判定を行うカテゴリー診断の一種です。
多軸診断とは、5つの異なった側面の評価を行って総合的に診断を実施するという方法である。
出典:森・杉山・岩田(2014). 臨床家のためのDSM-5虎の巻
以下の5つの側面の評価によって総合的に診断がなされます。
第Ⅰ軸 精神疾患
第Ⅱ軸 精神遅滞と人格障害
第Ⅲ軸 身体的状況
第Ⅳ軸 環境状況
第Ⅴ軸 全体的な適応状況
この多軸診断の考え方は「境界性人格障害」の患者さんの症状が、神経症水準から精神病水準まで変動するなど従来の精神疾患の枠組みで捉えることが難しく、「人格障害」というカテゴリーの必要性が指摘されていたのが背景とされています。
この多軸診断は、DSM-Ⅲ(1980年)、DSM-Ⅲ-R(1987年)、DSM-Ⅳ(1994年)、DSM-Ⅳ-TR(2000年)まで継続して採用されていました。
2013年に出版されたDSM-5では、この多軸診断は廃止され、多元的診断が採用されています。
よって、選択肢①「機能の全体的評価を含む多軸診断を採用している」は不適切な記述といえますね。
② 次元モデルに基づく横断的症状尺度が導入されている
先程の選択肢の解説で、DSM-5では多軸診断(カテゴリー診断)を廃止して、多元的診断(ディメンション)が採用されるようになったと記載しました。
この多元的診断とは、それぞれの疾患の臨床的な特徴を数量化することで「重症度」を「症状なし」から「重症」まで評価し、従来のカテゴリー診断とは違って、臨床的な症状をもとにひとつの疾患をこえて横断的な診断をする方法です。
考え方としては、定形発達から従来の自閉症までを症状の重症度で評価することになった自閉スペクトラム症を例にして考えるとわかりやすいでしょう。
この多元的診断のために臨床的な症状の重症度を評価する尺度として、横断的症状尺度 Cross Cutting Symptom Measure:CCSM が導入されています。
横断的症状尺度(CCSM)はレベル1とレベル2に分かれており、最初はレベル1で13の症状それぞれを0-4で評価します。
項目ごとに決まっている閾値を上回った症状に関して、レベル2の質問紙で重症度を評価していきます。
CCSMで評価された重症度を元にしながら、横断的に診断を検討していくことになります。
以上のことから、選択肢②「次元モデルに基づく横断的症状尺度が導入されている」は正しいといえます。
③ 強迫症/強迫性障害は、不安症群/不安障害群に分類される
DSM-Ⅳまでは、強迫性障害は不安障害に含まれていました。
しかし、DSM-5への改訂に伴い強迫関連障害と独立した分類に変更されています。
DSM-5の強迫関連障害に含まれている代表的な疾患は以下の通りです。
- 強迫性障害
- 身体醜形障害
- 溜め込み障害
- 抜毛癖
よって選択肢③「強迫症/強迫性障害は、不安症群/不安障害群に分類される」は不適切な記述といえますね。
④ 生活機能を心身機能・身体構造、活動及び参加の3要素で捉えている
こちらの選択肢は、国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health:ICF)に関するものになります。
ICFとは、2001年に世界保健機関(WHO)によって採択された人間の生活機能と障害に関する分類方法になります。
ICFでは、「心身機能・身体構造」「活動」「参加」の3つの次元と「環境因子」などの因子で構成されています。
詳細は以下のサイトを参考にしてください。
⑤ 分離不安症/分離不安障害は、「通常、幼児期、小児期または青年期に初めて診断される障害」に分類される
通常、幼児期・小児期または青年期に初めて診断される障害(Disorders Usually First Diagnosed in Infancy, Childhood or Adolescence)という記述は、DSM-Ⅳに記載されていたカテゴリーです。
DSM-Ⅳでは、DSM-5における「神経発達症」や分離不安障害などもこちらのカテゴリーに含まれていましたが、DSM-5では上記カテゴリーが廃止されています。
よって、選択肢⑤「分離不安症/分離不安障害は、「通常、幼児期、小児期または青年期に初めて診断される障害」に分類される」は適切とはいえません。
まとめ
第3回公認心理師資格試験の問88は、精神疾患の診断 DSM-5に関する問題でした❗️
公認心理師は診断を行う立場ではありませんが、適切なリファーを行うためにもそれぞれの症状の重症度における診断基準は押さえておく必要があります。
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