公認理師資格試験 過去問解説 問1 公認心理師法(登録・登録取り消し)

公認理師資格試験 過去問解説 問1 公認心理師法(登録・登録取り消し)

第4回公認心理師試験の過去問や正答は以下のサイトで入手可能です。

【令和3年10月29日14時】第4回公認心理師試験(令和3年9月19日実施)合格発表|講習・試験・登録|一般財団法人 日本心理研修センター 公認心理試験

 

公認心理師資格試験の過去問をしっかりと振り返ることで「自分に必要な知識は何か」を知るための手がかりとしてくださいね!

 

 

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【問1】公認心理師法

問1 公認心理師法について、正しいものを1つ選べ。

① 公認心理師登録証は、厚生労働大臣及び総務大臣が交付する。

② 公認心理師が信用失墜行為を行った場合は、登録の取消しの対象となる。

③ 公認心理師登録証は、公認心理師試験に合格することで自動的に交付される。

④ 公認心理師の名称使用の停止を命じられた者は、30 万円以下の罰金に処される。

⑤ 禁錮刑に処せられた場合、執行終了後1年を経過すれば公認心理師の登録は可能となる。

出典:第4回公認心理師試験(令和3年9月19日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

 

正答は ②

 

② 公認心理師が信用失墜行為を行った場合は、登録の取消しの対象となる

 

となります。

 

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公認心理師法「登録/登録の取り消し」

今回の問題は、公認心理師法第28条「登録」と公認心理師法第32条「登録の取り消し」と、公認心理師法施行規則について問われている問題となります。

 

第28条と第32条それぞれの条文を以下に載せておきます。

第二十八条 登録

公認心理師となる資格を有する者が公認心理師となるには、公認心理師登録簿に、氏名、生年月日その他文部科学省令・厚生労働省令で定める事項の登録受けなければならない。

出典:公認心理師法 第二十八条 登録

 

第三十二条 登録の取り消し

文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師が次の各号のいずれかに該当する場合には、その登録を取り消さなければならない。

一 第三条各号(第四号を除く。)のいずれかに該当するに至った場合

二 虚偽又は不正の事実に基づいて登録を受けた場合

2 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師が第四十条、第四十一条又は第四十二条第二項の規定に違反したときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて公認心理師の名称及びその名称中における心理師という文字の使用の停止を命ずることができる。

出典:公認心理師法 第三十二条 登録の取り消し

 

第32条に関連する詳しい解説は以下の記事を参考にしてください。

 

第32条に関連した「登録の取り消し」について簡単に説明すると、

  • 欠格事由(第3条)に該当する場合
  • 嘘もしくは不正な事実で登録を行った場合
  • 信用失墜行為の禁止(第四十条)、秘密保持義務(第四十一条)、主治医の指示に従う(第四十二条第二項)のいずれかに違反した場合 

に「登録の取り消し」に該当する可能性があるということになります。

 

また、「公認心理師法施行規則」は一度確認しておきましょう!

 
 



 

選択肢の解説

① 公認心理師登録証は、厚生労働大臣及び総務大臣が交付する。

そもそも公認心理師は厚生労働省・文部科学省が共管している国家資格であるため、直感的に考えればこちらの選択肢は不適当とわかるのですが、細かくみてみましょう。

 

公認心理師登録証に関しては、公認心理師法施行規則の第11条に記載があります。

 

第十一条 合格証書の交付

文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師試験に合格した者には、合格証書を交付する。

出典:公認心理師法施行規則|第十一条 合格証書の交付

 

第11条の条文にあるように、やはり「文部科学大臣」と「厚生労働大臣」が合格証書を交付するということが分かりますね。

 

よって、選択肢①「公認心理師登録証は、厚生労働大臣及び総務大臣が交付する」は不適切といえます。

 

② 公認心理師が信用失墜行為を行った場合は、登録の取消しの対象となる。

こちらは先ほど解説した通り、正しい選択肢となります。

 

信用失墜行為に関する詳しい記載は以下の記事を参考にしてください。

 

③ 公認心理師登録証は、公認心理師試験に合格することで自動的に交付される。

公認心理師登録証については、公認心理師法施行規則第14条に記載があります。

第十四条 登録

文部科学大臣及び厚生労働大臣は、前条の申請があったときは、公認心理師登録申請書の記載事項を審査し、当該申請者が公認心理師となる資格を有すると認めたときは、公認心理師登録簿に登録し、かつ、当該申請者に公認心理師登録証を交付する。

2 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、前項の審査の結果、当該申請者が公認心理師となる資格を有しないと認めたときは、その理由を付し、公認心理師登録申請書を当該申請者に返却する。

出典:公認心理師法施行規則|第十四条 登録

 

つまり、公認心理師登録証は、登録の申請があった場合に、記載事項が審査されたうえで、公認心理師登録簿に登録されたのちに交付されるということになります。

 

ちなみに、登録の申請に関しては、公認心理師法施行規則第13条に記載されています。

 

以上のことから、選択肢③「公認心理師登録証は、公認心理師試験に合格することで自動的に交付される」は誤った選択肢であるといえます。

 

④ 公認心理師の名称使用の停止を命じられた者は、30 万円以下の罰金に処される。

こちらの選択肢は公認心理師法第49条に記載があります。

 第四十九条
次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
一 第32条第2項の規定により公認心理師の名称及びその名称中における心理師という文字の使用の停止を命ぜられた者で、当該停止を命ぜられた期間中に、公認心理師の名称を使用し、又はその名称中に心理師という文字を用いたもの
二 第44条第1項又は第2項の規定に違反した者
出典:公認心理師法|条文|法令リード

 

こちらの条文を見ると、「名称使用の停止」は罰金の対象にはなりませんが、停止期間中に、名称独占資格である公認心理師の名称を使用した場合、30万円以下の罰金が科せられることになります。

 

つまり、名称使用停止期間中は、公認心理師資格を保持していない方と同等の扱いということですね。

 

よって、選択肢④「公認心理師の名称使用の停止を命じられた者は、30万円以下の罰金に処される」は、正しくは「名称使用の停止を命じられた者で、その期間中に公認心理師の名称を使用した者」となるため、不適切な選択肢といえますね。

 

⑤ 禁錮刑に処せられた場合、執行終了後1年を経過すれば公認心理師の登録は可能となる。

こちらの選択肢は、公認心理師法第3条欠格事由を理解していれば解答可能になります。

第三条 欠格事由

次の各号のいずれかに該当する者は、公認心理師となることができない。

一 心身の故障により公認心理師の業務を適正に行うことができない者として文部科学省令・厚生労働省令で定めるもの

二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者

三 この法律の規定その他保健医療、福祉又は教育に関する法律の規定であって政令で定めるものにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者

四 第三十二条第一項第二号又は第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者
(令元法三七・一部改正)
出典:公認心理師法 第三条 欠格事由

欠格事由は裏を返せば該当しない=登録可能ということになります。

 

第3条の2項をみると、禁固刑の場合は、刑の執行が終了してから2年以上経過することが登録の要件だとわかりますね。

 

ちなみに、「禁固刑」「保健医療・福祉・教育に関連する法律違反による罰金刑」「登録の取り消し」のいずれであっても2年以上の経過が登録要件となりますので押さえておきましょう。

 

以上のことから、選択肢⑤「禁錮刑に処せられた場合、執行終了後1年を経過すれば公認心理師の登録は可能となる」は不適切といえますね。

 



 

まとめ

第4回公認心理師資格試験の問1は、公認心理師法(登録・登録取り消し)に関する問題でした❗️

 

公認心理師法のみではなく、公認心理師法施行規則について問われた問題といえますね。

 

今回の問題と関係する条文は以下の通りです。

関連する条文公認心理師法第28条 登録
公認心理師法第32条 登録の取り消し
公認心理師法第49条 罰則
公認心理師法施行規則第11条 合格証書の交付
公認心理師法施行規則第14条 登録