第5回公認心理師試験の午前問36は、身体障害者福祉法施行規則の身体障害者障害程度等級表に定められている障害種を問う制度問題です。
正答は③「発達性協調運動障害」です。この問題では、医学・心理学上の診断名と、身体障害者福祉制度で用いられる障害種の区分を混同しないことが重要です。
問題
身体障害者福祉法施行規則別表第5号(身体障害者障害程度等級表)で定められている障害種に該当しないものを1つ選べ。
- 視覚障害
- 肢体不自由
- 発達性協調運動障害
- 聴覚又は平衡機能の障害
- 音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害
正答:③
この問題のポイント
身体障害者障害程度等級表には、視覚障害、聴覚又は平衡機能の障害、音声機能・言語機能又はそしゃく機能の障害、肢体不自由、各種の内部機能障害などが示されています。
一方、発達性協調運動障害は、この等級表の「障害種」として列挙されていません。したがって③が正答です。
名称に「運動障害」という語が含まれるため、「肢体不自由に入るのではないか」と迷いやすいところですが、診断名の語感だけで制度上の区分を推測しないことが大切です。
身体障害者障害程度等級表とは
身体障害者福祉法施行規則別表第5号には、身体障害の種類と程度が等級ごとに整理されています。大きく見ると、次のような領域が含まれます。
- 視覚障害
- 聴覚又は平衡機能の障害
- 音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害
- 肢体不自由
- 心臓、じん臓、呼吸器、ぼうこう・直腸、小腸、免疫、肝臓などの機能障害
肢体不自由の欄は、さらに上肢、下肢、体幹、乳幼児期以前の非進行性の脳病変による運動機能障害などに分けて示されています。
ここで重要なのは、「何らかの運動の困難があること」と「制度上の肢体不自由という障害種に該当すること」は同じではないという点です。
選択肢ごとの解説
① 視覚障害
これは身体障害者障害程度等級表に定められている障害種です。
等級表では視力や視野に関する基準が示されています。本問では細かな等級基準まで暗記するより、「視覚障害」が制度上の主要な障害種として明示されていることを押さえます。
② 肢体不自由
これも定められている障害種です。
肢体不自由には、上肢、下肢、体幹などの区分があり、等級表には機能障害の程度が具体的に示されています。
ただし、「肢体不自由」という制度上の区分があるからといって、運動に関係するすべての診断名が自動的にここへ含まれるわけではありません。この点が③との識別につながります。
③ 発達性協調運動障害
身体障害者障害程度等級表の障害種としては列挙されておらず、本問の正答です。
試験で引っかかりやすいのは、「協調運動障害」という名称から②の「肢体不自由」と同じ制度区分だと推測してしまうことです。しかし、ここで問われているのは診断名の意味ではなく、法令上の別表にどの障害種が定められているかです。
したがって、「運動」という言葉の共通性ではなく、制度上の列挙を基準に判断します。
④ 聴覚又は平衡機能の障害
これは定められている障害種です。
等級表では「聴覚障害」と「平衡機能障害」が区分されながら、聴覚又は平衡機能の障害として整理されています。
⑤ 音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害
これも定められている障害種です。
視覚や聴覚、肢体だけでなく、音声・言語・そしゃく機能の障害も身体障害者福祉制度上の区分に含まれることを確認しておきましょう。
「診断名」と「制度上の障害種」を分ける
公認心理師試験では、医学・心理学の診断分類と、福祉法制上の認定区分が同じ問題の中に並ぶことがあります。
このとき、次の3つを分けて考えると混乱しにくくなります。
- 診断名:医学・心理学の診断体系で用いられる名称。
- 機能上の困難:実際にどのような活動・生活上の困難があるか。
- 制度上の障害種・認定基準:法律・省令等に基づいて定められた区分と基準。
これらは関連することがありますが、名称が似ているだけで同一視することはできません。本問はその区別を問う典型例です。
試験での見分け方
制度問題で見慣れない選択肢が出たときは、次の順番で考えます。
- まず、設問が「診断基準」を聞いているのか「法令上の区分」を聞いているのかを確認する。
- 法令上の区分であれば、医学的にあり得る名称かどうかではなく、法令に列挙されている名称かで判断する。
- 「運動」「発達」「機能」など共通する語だけでカテゴリーを推測しない。
本問では①②④⑤が身体障害者障害程度等級表の障害種として確認できる一方、③だけがその列挙に入りません。
関連知識:肢体不自由の中にも「運動機能障害」という表現がある
等級表の肢体不自由には、「乳幼児期以前の非進行性の脳病変による運動機能障害」という区分もあります。このため、「運動機能障害」という語だけを見ると③と混同しやすくなります。
しかし、これは等級表に定められた特定の制度上の区分です。発達性協調運動障害という診断名そのものが障害種として列挙されているわけではありません。用語の一部が似ていても、条文・別表上の名称をそのまま確認する姿勢が必要です。
まとめ
- 正答は③「発達性協調運動障害」。
- 身体障害者障害程度等級表には、視覚障害、聴覚又は平衡機能の障害、音声・言語・そしゃく機能の障害、肢体不自由、内部機能障害などが示されている。
- 発達性協調運動障害は、同表の障害種として列挙されていない。
- 診断名に「運動障害」と付くことと、制度上「肢体不自由」に分類されることは同義ではない。
- 試験では、診断分類と福祉制度上の区分を分けて読む。



コメント