公認心理師資格試験 過去問解説 問37 「成人のクライエントへの心理検査」について

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第4回公認心理師試験・午前問37は、成人のクライエントに対して心理検査を行う目的について問う問題です。

問題

成人のクライエントに対して行う心理検査の目的として、不適切なものを1つ選べ。

① クライエントによる自己理解や洞察を深める。
② セラピストのセラピー継続への動機づけを高める。
③ クライエントに関わるスタッフの支援の手がかりとする。
④ セラピストがクライエントの理解を深め、支援の方針を決定する指標にする。
⑤ セラピストとクライエントの間で、コミュニケーションやセラピーを深める道具とする。

正答は②「セラピストのセラピー継続への動機づけを高める」です。

心理検査は「測って終わり」ではない

心理検査は、診断や分類のためだけに行われるものではありません。心理アセスメントの一部として、クライエントの特徴や困りごとを多面的に理解し、支援方針を検討したり、結果をクライエントと共有して自己理解を深めたりするためにも用いられます。

心理検査がどのように発展してきたかは、「心理検査の成り立ち」の過去問解説でも整理しています。

また、検査を実施する際には、数値だけで人を決めつけず、検査場面での行動や背景情報を含めて総合的に理解する姿勢が重要です。実施者の基本姿勢については、「知能検査実施の心構え」の過去問解説も参考になります。

心理検査そのものが支援につながることもある

Stephen E. Finnらが発展させたTherapeutic Assessment(治療的アセスメント)では、心理検査をクライエントと協働して用い、本人が自分自身をよりよく理解し、持続している問題への新しい見方や解決策を見つけることを重視します。

この考え方では、検査結果のフィードバックが、自己理解や治療目標の明確化、治療関係の促進などに役立つ可能性があります。したがって、心理検査は「専門家が情報を集めるためだけの手段」ではなく、使い方によってはクライエントとの協働的な支援の一部になります。

各選択肢の解説

① クライエントによる自己理解や洞察を深める

適切です。心理検査の結果を本人と共有し、これまで気づきにくかった特徴や困りごとのパターンを一緒に整理することは、自己理解を深める機会になります。

② セラピストのセラピー継続への動機づけを高める

不適切であり、この問題の正答です。心理検査の目的は、セラピスト自身の「セラピーを続けたい」という動機を高めることではありません。心理検査は基本的に、クライエントの理解と支援に資するために用いられます。

なお、検査結果によってセラピストの理解が深まり、結果として支援への見通しが得られることはあり得ます。しかし、それは心理検査を実施する中心的な目的とは区別して考えます。

③ クライエントに関わるスタッフの支援の手がかりとする

適切です。必要な同意や情報共有の範囲に配慮したうえで、心理検査の所見は、多職種で支援方針を検討するための情報の一つになり得ます。

④ セラピストがクライエントの理解を深め、支援の方針を決定する指標にする

適切です。心理検査は、面接、行動観察、生活歴など他の情報と統合しながら、クライエントの理解や支援方針を考えるための資料として用いられます。

ただし、単一の検査得点だけで診断や支援方針を機械的に決定するという意味ではありません。

⑤ セラピストとクライエントの間で、コミュニケーションやセラピーを深める道具とする

適切です。検査結果を協働的に検討することで、クライエントの経験を言葉にしたり、支援者との共通理解をつくったりすることがあります。治療的アセスメントは、この側面を積極的に活用する考え方の一つです。

試験対策として覚えること

  • 心理検査の中心はクライエント理解と支援
  • 自己理解・洞察を深めることにも使える
  • 多職種支援の手がかりにもなり得る
  • 支援方針を考える資料として用いる
  • クライエントとのコミュニケーションを促すこともある
  • 支援者自身の動機づけを高めることは心理検査の目的ではない

参考資料

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