第6回公認心理師試験・午前問2は、自殺に関するメディア報道の影響について問う問題です。
正答は②「パパゲーノ効果」です。
自殺を思いとどまった人の体験や、危機を乗り越える方法、相談・援助資源に関する情報などを伝えるメディア報道には、状況によって自殺予防に資する可能性があります。このような保護的な影響をパパゲーノ効果(Papageno effect)と呼びます。
問2の正答は②「パパゲーノ効果」
問題の選択肢は次の5つです。
- ① ウェルテル効果
- ② パパゲーノ効果
- ③ バンドワゴン効果
- ④ ピグマリオン効果
- ⑤ プライミング効果
本問では、「自殺を思いとどまった事例に関する報道」や「援助資源に関する情報提供」が、自殺の保護因子を強化し、自殺予防につながる影響を尋ねています。
したがって正答は② パパゲーノ効果です。
パパゲーノ効果とは
パパゲーノ効果とは、メディアが自殺危機を乗り越えた体験、希望、回復、対処方法、援助につながる情報などを伝えることによって、自殺関連アウトカムに保護的な影響をもたらし得るという考え方です。
名称は、モーツァルトのオペラ『魔笛』に登場するパパゲーノに由来します。パパゲーノは自殺を考えますが、他者から別の選択肢を示され、危機を乗り越えます。
2010年のNiederkrotenthalerらの研究では、オーストリアの自殺関連新聞報道を分析し、危機を自殺以外の方法で乗り越えた人を扱う報道が、その後の自殺率の低下と関連していました。この保護的な関連が「パパゲーノ効果」と概念化されました。
①「ウェルテル効果」が誤りの理由
ウェルテル効果は、著名人の自殺などの報道を契機として、模倣的な自殺が増加する可能性を表す概念です。
つまり、パパゲーノ効果とは方向が反対であり、自殺報道による潜在的に有害な影響を示す概念です。
したがって①は誤りです。
②「パパゲーノ効果」が正しい理由
自殺危機を乗り越えた事例や、希望・回復・援助資源などの情報を伝えることで、自殺予防に資する可能性があるというメディアの保護的影響がパパゲーノ効果です。
本問の記述と一致するため、②が正答です。
③「バンドワゴン効果」が誤りの理由
バンドワゴン効果は、多くの人が支持・選択しているものに自分も同調しやすくなる現象を指します。
自殺を思いとどまった事例の報道による保護的影響を表す概念ではありません。
④「ピグマリオン効果」が誤りの理由
ピグマリオン効果は、他者からの期待が、その人の成績や行動などに影響する現象として知られています。
自殺報道の保護的影響を表す概念ではありません。
⑤「プライミング効果」が誤りの理由
プライミング効果は、先に提示された刺激や情報が、その後の認知・判断・行動に影響を与える現象です。
メディア研究にも関係する概念ですが、本問で説明されている自殺予防的な報道効果の固有名称ではありません。
ウェルテル効果とパパゲーノ効果を対比する
| 概念 | メディア報道の特徴 | 想定される影響 |
|---|---|---|
| ウェルテル効果 | 自殺をセンセーショナルに扱う、方法を詳しく示すなど | 模倣・自殺増加につながる可能性 |
| パパゲーノ効果 | 危機を乗り越えた体験、希望、回復、援助資源などを扱う | 自殺予防に資する可能性 |
「報道すれば必ず自殺を防げる」という意味ではない
パパゲーノ効果は、特定の報道内容と自殺関連アウトカムとの保護的な関連や、予防的な影響の可能性を表す概念です。
一つの記事を出せば必ず自殺を防止できる、あるいは援助資源を掲載するだけで十分である、という単純な因果関係を意味するわけではありません。
自殺念慮や具体的な計画・準備を含むリスク評価については、「自殺予防や自殺のリスク評価」の過去問解説でも整理しています。
自殺報道では、方法や場所を必要以上に詳しく扱わないこと、センセーショナルな表現を避けること、危機への対処や援助資源を示すことなど、責任ある報道全体の考え方が重要です。
試験対策のポイント
- ウェルテル効果:自殺報道による模倣・有害な影響
- パパゲーノ効果:希望・回復・危機対処などを示す報道の保護的影響
- 第6回午前問2の正答は② パパゲーノ効果
2つを「有害方向=ウェルテル」「保護方向=パパゲーノ」と対比して覚えると整理しやすくなります。
まとめ
- 第6回公認心理師試験・午前問2の正答は② パパゲーノ効果
- 危機を乗り越えた事例や援助資源の提示など、保護的なメディア報道に関係する概念
- ウェルテル効果は、自殺報道による模倣・有害な影響を示す概念
- パパゲーノ効果は「報道すれば必ず自殺を防げる」という保証を意味しない


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