公認心理師資格試験 過去問解説 問16 心理検査「心理検査の成り立ち」

公認心理師資格試験 過去問解説 問16 心理検査「心理検査の成り立ち」

第3回公認心理師試験の過去問や正答は以下のサイトで入手可能です。

第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

 

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【問16】心理検査「心理検査の成り立ち」

問16 精神分析理論の防衛機制に関する実験的研究の結果を基盤に発展した心理検査として、最も適切なものを1つ選べ。

① SCT

② TAT

③ MMPI

④ P-Fスタディ

⑤ ロールシャッハ・テスト

出典:第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

 

正答は ④

 

④ P-Fスタディ

となります。

 

P-Fスタディ(絵画欲求不満テスト)

P-Fスタディ(提供:三京房)
出典:サクセスベル株式会社サイトより

P-FスタディはS. Rosenzweig(ローゼンツァイク)によって公刊された欲求不満場面での反応傾向を測定するもので、Picture-Frustration Studyの頭文字をとってP-Fスタディと呼ばれています。

 

漫画風に描かれた24枚の欲求不満場面それぞれに自由記述で反応してもらい、被検査者の反応をP-Fスタディの分類基準(アグレッションの型と方向)に従って11種類の評点因子に分類して被検査者のパーソナリティを把握しようと試みます。

 

児童用、青年用、成人用にわかれています。2006年に児童用が、2020年に成人用が再標準化が行われ改訂版が出ています。

*詳しくはこちらを PFスタディ(絵画欲求不満テスト)|サクセス・ベル株式会社

 

それでは、検査の成り立ちについて「心理臨床大事典」を見ていきましょう。

フロイト(Freud. S)が臨床的研究に基づいて導き出した精神分析学における諸概念を、実験的研究によってその妥当性を明らかにしようと企図した。ローゼンツァイクは「実験的精神分析学」experimental psychoanalysisの樹立を提唱し、フロイトによって提示された代表的な自我の防衛機制である、抑圧 repression、置き換え displacement、 投射 projectionについて実験的研究を行い、その結果、欲求不満現象の研究こそが精神力動的研究psychodynamic approachの鍵になると考えるにいたった。

出典:心理臨床大事典|培風館

 

ローゼンツァイクは、フロイトが提唱した防衛機制の抑圧・置き換え・投射についての実験的研究を行った結果、欲求不満場面での反応を測定することが精神分析の研究で重要となると考え、P-Fスタディを開発したようです。

 

そのため、問題の回答としてはP-Fスタディが正答となります。

 

残りの選択肢を見ていきましょう

SCT(文章完成法)

SCTはSentence Completion Testの略称で、未完成な短い文章を自由記述で完成させるという課題を通して被検査者の特性を知る心理検査です。

 

日本では文章完成法とも呼ばれ、精研式文章完成法(佐野・槇田, 1972)、法務省式文章完成法(MJ 式文章完成法)などいくつかの種類があります。

 

SCTの成り立ちについては不明瞭な部分が多いですが、以下のような記載がありました。

心理検査として不完全文章をはじめてもちいたのは Ebbinghaus,H.であり、SCT はいわゆる言語連想検査法(Word-Association Test)から発展させられたものと言われている(辻 1978など)。
出典:黒田浩司(2017).SCT(Sentence Completion Test:文章完成法) の臨床的活用について. 山梨英和大学紀要, 16, 44-64.

 

言語連想検査法とは、

検査者があらかじめ準備したいくつかの刺激語 stimulus words(SW)を被験者に呈示し、それから自由に連想される言語反応 response(R)と反応時間 response time(RT)等を、記録し分析することによって、被験者の心の状態を推定するものである。

出典:心理臨床大事典|培風館

とされています。

 

また、C. G. Jung(ユング)の言語連想テストが有名ですが、言語連想検査法自体はユングが起源というわけではなく、多くの研究者によって実験的に用いられてきたようです。

 

言語連想検査法はかなり自由度の高い検査ですので一般化しにくいという問題点が指摘されることがありました。

 

そこでSCTでは文章という枠組みを設定することで、言語連想法にある程度制限をかけ、よりパーソナリティが把握しやすいように発展させた心理検査であると考えられています。

*SCTの詳細はこちらの文献を 黒田浩司(2017).SCT(Sentence Completion Test:文章完成法) の臨床的活用について. 山梨英和大学紀要, 16, 44-64.

 

TAT(主題統覚検査)

TAT(Thematic Apperception Test:主題統覚検査)は、H. A. Murray(マレー)を中心として考案された多様な受け取り方ができる絵に対してつくられる物語から被検査者のパーソナリティを把握しようとする投影法の心理検査です。

 

多様な受け取り方ができるように描かれた30枚の絵空白の1枚の合計31枚の図版から、20枚が選択され、1つずつに物語をつくってもらい、その反応を解釈することで被検査者のパーソナリティを把握しようと試みます。

 

マレーは同僚のMorgan(モーガン)含めたハーバード大学のメンバーとパーソナリティ査定の研究を行っており、「人格の探究(Explorations in Personality)」(Murray, 1938;外林訳編, 1961)という著作を発表していますが、その中のひとつにTATが報告されているのみで、図版の選択意図などの詳細は不明とされています。

 

 

MMPI(ミネソタ多面人格目録)

MMPI(Minnesota Multiphasic Personality Inventory:ミネソタ多面人格目録)は、S. R. Hathaway(ハサウェイ)J. C. McKinley(マッキンレイ)によって開発された550項目の短い叙述文に「はい」「いいえ」と回答してもらい、その結果を総合的に解釈して被検査者のパーソナリティを把握する質問紙法による心理検査です。

 

4つの妥当性尺度10の臨床尺度が基本として設けられており、複数の追加尺度が考案されているため、多角的な視点から被検査者のパーソナリティの把握を行うことが可能です。

*MMPIに関する詳細はこちらのサイトを MMPIとは|日本臨床MMPI研究会

 

MMPIはもともとは精神医学的診断の客観的基準を作成することを目的としていたため、各尺度はそれぞれの精神科的診断を受けた患者群と健常者群の回答率に大きな差が認められた項目で構成されていることが特徴です。

 

ロールシャッハ・テスト

ロールシャッハ法は、スイス生まれの精神科医ヘルマン・ロールシャッハHermann Rorschach(1884- 1922)が1921年に『精神診断学-知覚診断的実験の方法と結果』として公表したもので、10枚のインクのしみに対し「何に見えるか」を連想させて人格を査定する投影法である。

しかし、彼が公表して9ヵ月後に亡くなったために、この研究の意図がどこにあるのか、どのような解釈をめざしたのかが明確でなく、謎として残ることになった(中野,2004)。

出典:中野明徳(2012). ロールシャッハ法の解釈の歴史. 福島教育大学総合教育研究センター紀要, 13, 29-38.

 

ロールシャッハ・テスト(Rorschach test)は、上の説明にあるように、10枚の図版に対して「何に見えるか」を連想させて反応してもらうことで、被検査者のパーソナリティを把握することを試みる投影法の心理検査です。

 

精神科医であるロールシャッハ精神医学的な診断を検討したり、精神病に特有な思考障害などを査定するために作られた検査であるとされています。

 

ロールシャッハテストの反応と脳基盤についての論文も収録されているオススメ本です📖

 

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まとめ

第3回公認心理師資格試験の問16は、代表的な心理検査について、その成り立ちを問う問題でした。

 

心理検査の詳細に関して記事内で語ることは避けましたが、心理職であれば今回選択肢にあった心理検査については臨床現場で用いられることも多いため、概要や成り立ちのみではなく詳細な解釈法まで習熟する必要があります

 

「TAT」は病院臨床ではあまりお目にかかることはないですが、「PFスタディ」「SCT」「MMPI」といった質問紙法による心理検査や「ロールシャッハ・テスト」はよく実施しますし、保険点数化もされている心理検査です。しっかりと学習しておきましょう。

 
試験に際しては以下のキーワードはおさえておきましょう。

 

キーワード
・PFスタディ⇨ ローゼンツァイク ⇨フロイトの防衛機制の実験的研究
・SCT ⇨ 言語連想検査法
・TAT⇨ マレー ⇨パーソナリティ査定
・MMPI⇨ ハサウェイとマッキンレイ ⇨精神科的診断の客観的基準の作成
・ロールシャッハ⇨ ロールシャッハ ⇨精神科的診断と思考障害の査定