公認心理師資格試験 過去問解説 問60 事例問題:インテーク面接と初期対応

公認心理師資格試験 過去問解説 問60 事例問題:インテーク面接と初期対応

第3回公認心理師試験の過去問や正答は以下のサイトで入手可能です。

第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

 

公認心理師資格試験の過去問をしっかりと振り返ることで「自分に必要な知識は何か」を知るための手がかりとしてくださいね!

 

 

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【問60】事例問題:インテーク面接と初期対応

問60 15歳の女子A、中学3年生。Aが人の目が怖くて教室に入れないということで、学校からの勧めもあり、公認心理師Bがいる市の相談センターに母親Cから相談申込みの電話があった。Cの話によると、学校ではいじめなどの大きな問題はないが、1か月前から不登校状態が続いているという。母子並行面接ということで受理し、面接を行うことになった。インテーク面接当日、Aは、担当であるBとの面接が始まる際に、Cとの分離に不安を示した。インテーク面接の最中も、Aの緊張は高く、なかなか自分の状態について語ることができなかった。
Bが行うインテーク面接とその後の初期対応として、最も適切なものを1つ選べ。

① AとCとの関係性が面接に影響するため、母子同室面接は行わない。

② Aが未成年であるため、Aの在籍校にはAが来所したことを報告する。

③ 人の目が怖い理由や原因についてAに尋ね、まずはそれを意識化させる。

④ 面接に期待していることをAに尋ね、Bが最善の努力をすることを伝える。

⑤ 言語面接が可能である場合、身体に作用するリラクセーション技法は用いない。

出典:第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

 

正答は ④

 

④ 面接に期待していることをAに尋ね、Bが最善の努力をすることを伝える

となります。

問60はインテーク面接初期対応に関連する事例問題となりますね。

 

インテーク面接では相談に来られたクライエントに対して最初の数回をかけて行われる面接で、情報を収集して今後の援助方針などを判断するために実施されます。

 

インテーク面接でのポイント💡
  • クライエントから受けるイメージ(=面接者に生じる感情)を得る
  • 服装・表情・動作など視覚的な情報を得る
  • 聴取にて情報を得る
  • 客観的な情報(家族・学校など第三者)を得る
  • パーソナリティを把握する:自我、知的能力、現実検討力など、心理検査
  • 見立てを立てる:心理的査定と予後を含む見通し

 

 



選択肢の解説

まずは事例について簡単に整理してみましょう。

15歳 中学校3年生 女性
主訴:人の目が怖くて教室に入れない
来談経緯:学校からの勧めもあり、母親Cから相談の申し込みがあった
適応状態:いじめ✖️ 1ヵ月前から不登校
観察:母親Cとの分離に不安を示し(分離はできた?)、公認心理師Bとの面談では緊張が高く、自分の状態について語ることが難しかった

問題文から把握できるのは、これくらいの情報でしょうか。

 

① AとCとの関係性が面接に影響するため、母子同室面接は行わない

インテーク面接とは、今後の援助方針を定めるために情報を収集することを目的とした面接でした。

 

母子並行面接で行われているようですが、現段階では“公認心理師Bとの面談では緊張が高く、自分の状態について語ることが難しかった”と記載があるように、公認心理師との1対1の面接のみでは情報が得られにくい部分がありそうです。

 

また、“担当であるBとの面接が始まる際に、Cとの分離に不安を示した”との記述があるように、母子が分離することに不安を感じている様子も窺われているため、母親CとAとの直接的なやりとりの場面を観察することは客観的な情報を収集することにも役立つと考えられます。

 

以上のことから、母子同室面接を行うことはインテーク面接の目的を果たすためには有用であるといえるため、選択肢①「AとCとの関係性が面接に影響するため、母子同室面接は行わない」は最も適当とはいえないでしょう。

 

② Aが未成年であるため、Aの在籍校にはAが来所したことを報告する

こちらは守秘義務に関する選択肢となりますね。

 

守秘義務の観点から考えると、基本的にはAの来所について在籍する学校への連絡は必要ないでしょう。

守秘義務の例外状況としては以下のことが考えられます。

  • Aと母親Cが在籍校との連携や報告を希望した場合に両者に許可を得たうえで報告する
  • Aに自傷他害の可能性があり、緊急性を伴うかつ学校に関係する場合(たとえば、学校に関係する誰かに対する加害の可能性など)

 

 

そのため、選択肢②「Aが未成年であるため、Aの在籍校にはAが来所したことを報告する」は不適切な記述といえます。

 

③ 人の目が怖い理由や原因についてAに尋ね、まずはそれを意識化させる

人の目が怖い理由や原因について尋ねること自体は、Aの状態に対して見立てを立てて今後の援助方針を決めるためには間違った対処とはいえません。

 

一方で「意識化させる」というのは支援上必要であれば介入として行われることが好ましく、インテーク面接の段階で積極的に意識化させていく必要は特段ないでしょう。

 

緊張感が強いAに対して、支援上の明確な理由なくストレスに直面化させることは望ましくありません

 

そのため、選択肢③「人の目が怖い理由や原因についてAに尋ね、まずはそれを意識化させる」は、「意識化させる」という点がインテーク面接の主旨から逸れるため、最も適切な選択肢とはいえないでしょう。

 

④ 面接に期待していることをAに尋ね、Bが最善の努力をすることを伝える

今回の来所までの経緯を見ると、学校からの勧めがあり母親であるCが相談してきていますね。

 

問題文から得られる情報のなかには、「A本人の来談動機が確認できていません。

 

インテーク面接で得ておく必要のある情報のなかでも、面接への期待を含む来談動機は今後の見通しを立てるために重要であるため、まずこれらの確認が必要でしょう。

 

また、どういった経緯であれ、個人的な話題を相談に来ることは勇気のいる決断となりますので、来談できたことに対して労うことも忘れてはならないポイントとなりますね。

 

よって、選択肢④「面接に期待していることをAに尋ね、Bが最善の努力をすることを伝える」は適切な記述といえます。

 

 

⑤ 言語面接が可能である場合、身体に作用するリラクセーション技法は用いない

言語面接が可能であったとしても、身体に作用するリラクセーション技法を用いることは全く問題がありません

 

またAは不安や緊張が強く自分のことを話せない様子が窺われているため、初期対応として不安・緊張の緩和を狙ってリラクセーション法を実施することは理にかなっているといえます。

 

以上のことから、選択肢⑤「言語面接が可能である場合、身体に作用するリラクセーション技法は用いない」は不適切な記述といえます。



まとめ

第3回公認心理師資格試験の問60は、事例問題:インテーク面接と初期対応に関する問題でした❗️

 

インテーク面接の基礎的な知識があれば比較的簡単に解答可能な問題といえるでしょう。

 

インテーク面接でのポイント💡
  • クライエントから受けるイメージ(=面接者に生じる感情)を得る
  • 服装・表情・動作など視覚的な情報を得る
  • 聴取にて情報を得る
  • 客観的な情報(家族・学校など第三者)を得る
  • パーソナリティを把握する:自我、知的能力、現実検討力など、心理検査
  • 見立てを立てる:心理的査定と予後を含む見通し