第6回公認心理師試験・午前問18は、集団を用いた心理教育的・体験的アプローチの特徴から、構成的グループエンカウンター〈SGE〉を見分ける問題です。正答は⑤ 構成的グループエンカウンターです。
問題文には、「一定の時間的な枠組み」「エクササイズ」「参加者同士の率直な語り合い」「感情の交流」「相互理解や信頼関係」「自己理解・他者理解」「行動変容や成長」という手がかりが並んでいます。とくに、リーダーが一定の枠組みとエクササイズを設定する構成性が決め手です。
問題の要旨
一定の集団の中で、時間的な枠組みとエクササイズを設け、参加者が率直に語り合い、感情を交流させながら、相互理解、信頼関係、自己理解、他者理解、行動変容や成長を図る取組を選びます。
選択肢は、Tグループ、サイコドラマ、ピアサポート、セルフヘルプ・グループ、構成的グループエンカウンターです。公式正答は⑤です。
正答:⑤ 構成的グループエンカウンター
構成的グループエンカウンター〈Structured Group Encounter:SGE〉は、集団の中で一定の時間的・活動的な枠組みを設け、リーダーが提示するエクササイズと振り返りなどを通して、自己理解、他者理解、相互理解、対人関係の形成を促す方法です。
「構成的」という言葉が示すように、完全に自由な話し合いだけで進むのではなく、目的に応じたエクササイズ、時間配分、活動の手順などがあらかじめ一定程度設定されます。この構成性が、他の集団アプローチと見分ける重要なポイントです。
SGEを構成する要素
SGEの実践では、内容や対象によって違いがありますが、試験では次の要素を押さえると整理しやすくなります。
- リーダー:活動の目的や安全性を踏まえて枠組みを設定する。
- エクササイズ:自己表現、他者理解、協働などを促す課題を行う。
- 体験:参加者が実際に関わり、感じ、考える。
- シェアリング:体験後に感じたことや気づきを共有する。
- 相互作用:他者とのやりとりを通して自己理解・他者理解を深める。
学校現場では、学級集団づくり、人間関係形成、自己理解・他者理解、コミュニケーションなどを目的に用いられることがあります。ただし、形式的にエクササイズを行えば自動的に効果が生じるわけではなく、参加者の状態や集団の安全性、リーダーの介入の仕方が重要です。
各選択肢の考え方
① Tグループ
Tグループは、group dynamicsや感受性訓練の系譜をもつ集団アプローチです。集団内で生じる「今ここ」の相互作用を通して自己理解や対人理解を深めますが、本問で強調される「一定の時間枠+設定されたエクササイズ」という構成性はSGEの特徴により合致します。
② サイコドラマ
サイコドラマは、役割演技や場面の再現を中心に、心理的課題を演劇的に扱う方法です。集団で実施されることがありますが、問題文の中心は役割演技ではありません。
③ ピアサポート
ピアサポートは、同じような経験や立場を持つ仲間同士が、経験を活かして支え合う取組です。相互理解や支援は共通しますが、あらかじめ設定されたエクササイズを中心とすることは定義上の中核ではありません。
④ セルフヘルプ・グループ
セルフヘルプ・グループは、共通する課題や経験をもつ当事者が自主的・相互援助的に支え合う集団です。専門家が設定した構成的なエクササイズを中心に進めることが本質ではありません。
⑤ 構成的グループエンカウンター
正答です。一定の枠組み、エクササイズ、参加者同士の交流、自己理解・他者理解、信頼関係や成長という問題文の特徴がSGEと一致します。
Tグループや非構成的なエンカウンターとの違い
グループエンカウンターという名称だけで判断すると、Tグループや他の集団アプローチと混同しやすくなります。試験では、「リーダーが活動を構成しているか」を見るのが有効です。
SGEでは、集団の目的に応じたエクササイズや時間の枠組みが設定されます。一方、集団の自発的な相互作用そのものを中心に扱うアプローチでは、あらかじめ構成された活動の比重が低い場合があります。「構成的」という名称と問題文中の「時間的枠組み」「エクササイズ」を直接結びつけて覚えるとよいでしょう。
実践上の注意:エクササイズだけを真似しない
SGEでは、何をするかというエクササイズの内容だけでなく、リーダーの関わり方が重要です。参加者の抵抗や不安を無視して参加を強制したり、深い自己開示を一律に求めたりすると、安全な学習環境を損なう可能性があります。
学校などで活用する場合も、目的、対象年齢、集団の関係性、参加者の心理状態を踏まえ、参加者の立場を尊重しながら進める必要があります。SGEの研究でも、リーダーの介入や参加者の立場を尊重することが論点として扱われています。
研究からみるSGEの位置づけ
学校教育にSGEを取り入れた研究では、自己理解、他者理解、親和性、コミュニケーション・スキルなどの変化を検討した報告があります。こうした知見は、SGEが単なる「楽しいグループ活動」ではなく、対人関係や自己理解に焦点を当てた構成的な体験学習として実践されていることを理解する助けになります。
ただし、研究結果を「どの集団にも必ず同じ効果がある」と一般化することはできません。対象、実施方法、リーダー、評価指標などによって効果は異なります。
試験での見分け方
次の語がまとまって出てきたら、SGEを第一候補にします。
- 一定の時間枠
- エクササイズ
- 率直な語り合い
- 感情交流
- 自己理解・他者理解
- 相互理解・信頼関係
- 行動変容・成長
特に「構成されたエクササイズ」が強い識別点です。構成的グループエンカウンターをさらに整理する場合は、第3回午前問26の解説も関連学習として利用できます。
まとめ
第6回午前問18の正答は⑤ 構成的グループエンカウンターです。一定の時間的枠組みとエクササイズを設定し、参加者同士の体験と交流を通して自己理解・他者理解、信頼関係、成長を促す点が中心です。Tグループ、サイコドラマ、ピアサポート、セルフヘルプ・グループとの違いは、「何を目的に、どのように集団を構成するか」で見分けます。


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