公認心理師資格試験 過去問解説 問40 産業・組織に関する心理学「管理監督者研修」

公認心理師資格試験 過去問解説 問40 産業・組織に関する心理学「管理監督者研修」

第3回公認心理師試験の過去問や正答は以下のサイトで入手可能です。

第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

 

公認心理師資格試験の過去問をしっかりと振り返ることで「自分に必要な知識は何か」を知るための手がかりとしてくださいね!

 

公認心理師試験の勉強方法はこちら💁‍♀️

【公認心理資格試験】試験勉強の仕方。ブループリントに記載されている出題割合で勉強の範囲を狭めない方がいい理由について解説します!



 

【問40】産業・組織に関する心理学「管理監督者研修」

問40 職場の心理専門職として管理監督者研修を行うこととなった。研修内容に盛り込む内容として、不適切なものを1つ選べ。

① セルフケアの方法

② 労働者からの相談対応

③ 代表的な精神疾患の診断法

④ 職場環境などの評価及び改善の方法

⑤ 健康情報を含む労働者の個人情報の保護

出典:第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

 

正答は ③

 

③ 代表的な精神疾患の診断法

となります。

 

職場のメンタルヘルスケアにおいては以下の「4つのケア」を継続的に推進していくことが目標とされます。

  • セルフケア:管理監督者含めて労働者自身が行うケア
  • ラインによるケア:職場環境内での管理監督者によるケア
  • 事業場内産業保健スタッフ等によるケア:セルフケア、ラインによるケアが円滑に行われるように産業保健スタッフが支援を行う
  • 事業場外資源によるケア:職場外の機関や専門家を活用したケア

 

管理監督者の研修は4つのケアの中でもラインによるケアを支える重要な要素のひとつです。

ラインの管理監督者によるサポートは部下のストレス反応に良好に作用しますし、彼らはメンタルヘルス不調者の早期発見や職場復帰に関与する重要な人的資源でもあります。メンタルヘルス対策のための職場におけるシステムを円滑に運用するためにも、管理監督者の理解と協力が必要です。

出典:管理監督者メンタルヘルス研修のマニュアル|職場のメンタルヘルス教育ツール一覧|こころの耳

 

管理監督者研修に関するマニュアルはこちらのサイトで無料でダウンロードすることができます。

 

研修の目的は、「管理者の行動の変化」を促すことで、到達目標は以下の通りとされています。

 

  • 事業場のメンタルヘルスの方針と大勢の理解
  • 心の健康についての正しい知識
  • 事業場ごとで必要な項目



 

選択肢の解説

管理監督者研修では「労働者の心の健康の保持増進のための指針」に示されている内容が研修の中に含まれるべきとされます。

 

memo

メンタルヘルスケアに関する事業場の方針

職場でメンタルヘルスケアを行う意義

ストレス及びメンタルヘルスケアに関する基礎知識

管理監督者の役割及び心の健康問題に対する正しい態度

職場環境等の評価及び改善の方法

労働者からの相談対応(話の聴き方、情報提供及び助言の方法等)

心の健康問題により休業した者の職場復帰への支援の方法

事業場内産業保健スタッフ等との連携及びこれを通じた事業場外資源との連携の方法

セルフケアの方法

事業場内の相談先及び事業場外資源に関する情報

健康情報を含む労働者の個人情報の保護等

出典:管理監督者メンタルヘルス研修のマニュアルより抜粋

 

今回の問題では、上記項目がほとんどそのまま出題されており、この中に含まれていない項目が選択肢として不適切になりますね❗️

セルフケアの方法

① セルフケアの方法

「セルフケアの方法」労働者の心の健康の保持増進のための指針に含まれています。

 

管理監督者は一般従業員と比べても、大きなストレスがかかりやすい立ち位置とされるため、監督者自身がセルフケアの方法を身につけておくことは重要でしょう。

 

  • ストレスやメンタルヘルスに対する正しい理解
  • ストレスチェックなどを活用したストレスへの気づき
  • ストレスへの対処

 

労働者からの相談対応

② 労働者からの相談対応

労働者からの相談対応」も労働者の心の健康の保持増進のための指針に含まれています。

 

上司である管理監督者が部下である一般従業員からの相談を受けたときの振る舞いについてになります。

 

  • 必要な情報を収集して適切な情報提供をすること
  • 信頼感を部下に与えること

 

代表的な精神疾患の診断法

③ 代表的な精神疾患の診断法

管理監督者は心の不調を示すサインについての知識を持っておき、早期発見や早期対応を行うことが求められます。

 

精神疾患に該当するようなサインが見られる場合には、専門家に繋ぐことも大切な役割です。

 

そのため、精神疾患に関する具体的な診断法の知識は必須ではなく、どういった症状や兆候がサインであるのかという部分がわかっていれば良いと考えられます。

 

職場環境などの評価及び改善の方法

④ 職場環境などの評価及び改善の方法

職場環境などの評価及び改善の方法」も労働者の心の健康の保持増進のための指針に含まれています。

 

職場環境とストレスの評価や具体的な改善の方法などを身につけることが重要です。

 

ストレスの代表的な要因として、以下のものが挙げられています。

  • 仕事の要求度:仕事量・ペース
  • 仕事のコントロール:裁量権・身に付けたスキルの活用
  • 報酬:評価・給料・安定性
  • 組織的公正性:意思決定やプロセス

 

 

組織的公正についてはこちらの記事も参考に💁‍♂️

 

健康情報を含む労働者の個人情報の保護

⑤ 健康情報を含む労働者の個人情報の保護

健康情報を含む労働者の個人情報の保護」も労働者の心の健康の保持増進のための指針に含まれています。

 

相談内容自体が多くの個人情報が含まれるため、その個人情報に関する扱いを決めておくことは重要でしょう。

 

基本的には、心理職の守秘義務の考え方を採用すれば良さそうです❗️

 

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つまり、相談で知り得た個人情報に関して、他者に伝える際には、情報を伝える必要性を伝えてどの情報を伝えるか明確化したうえで、本人の許可を得て初めて共有が可能となります。

 

例外として、一定のプロセスを経たうえでなお本人の同意が取れない状況で、本人をこのまま就労させておくのが 心配な場合や危険性があると判断した場合には、事業場の安全配慮義務の代行者として、本人の同意を得ずに人事・労務担当者、産業保健スタッフ、あるいは家族に連絡をとる場合もある

出典:管理監督者メンタルヘルス研修のマニュアルより抜粋

ただし、守秘義務には例外状況があり、職場においては安全配慮義務に基づいた状況が例外となることもあるようです❗️

 

安全配慮義務に関してはこちらの記事もどうぞ✍️

 



 

まとめ

第3回公認心理師資格試験の問40は、産業・組織に関する心理学「管理監督者研修」に関する問題でした❗️

 

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