公認心理師資格試験 過去問解説 第4回 午前 問61|幼児期の自己抑制

公認心理師過去問第4回61 公認心理師試験
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第4回公認心理師試験・午前問61は、幼児期にみられる行動の変化から、背景にある心理的発達を見分ける問題です。正答は② 自己抑制です。

事例では、幼稚園児が、以前はおやつを待てずに手を出したり、年下のきょうだいとのけんかが激しかったりしたものの、母子関係の問題や発達的なつまずきはみられず、その後、待つことができるようになり、きょうだいげんかも減っていきます。ここで問われているのは、欲求や衝動をその場のルールや状況に合わせて調整する自己抑制の発達です。

問題の要旨

幼児期の子どもに、欲しいものをすぐ取ってしまう、待つことが難しい、きょうだいとの衝突が激しいといった行動がみられていました。しかし、母子関係や発達全般に明らかな問題はなく、経過をみていると、次第に待てるようになり、対人場面での衝突も減りました。

この変化の背景として、共同注意、自己抑制、脱中心化、メタ認知、アタッチメントのうち最も適切なものを選びます。公式正答は②です。

正答:② 自己抑制

自己抑制とは、自分の欲求や衝動をただ抑え込むことではなく、状況やルール、将来の目標、他者との関係などを踏まえて、行動を調整する自己制御の一側面です。本事例の「おやつが準備されるまで待つ」「すぐに手を出さない」「きょうだいとの衝突が減る」という変化は、自己抑制という観点から理解しやすいものです。

幼児期の自己調整機能については、自己抑制だけでなく、必要な場面で自分の希望を適切に表明する自己主張や、自分と相手の希望を調整する自他調整も重要です。研究でも、3〜6歳頃に、場面に応じた自己抑制・自己主張・自他調整のあり方が変化していくことが示されています。

自己抑制は「我慢できる子になる」だけではない

自己抑制を、単純な「我慢の強さ」として覚えると理解が狭くなります。幼児の自己制御には、欲求を止めるだけでなく、注意を切り替える、相手の存在を踏まえる、状況に合った行動を選ぶといった複数の要素が関わります。

たとえば、おもちゃをめぐる対人場面では、自分の要求を一方的に通すのでも、何も言わずに我慢するのでもなく、「順番に使う」「相手に頼む」といった調整方略が発達していきます。したがって、自己抑制は、対人関係の中で自分の行動を調整する発達の一部として捉えることが重要です。

各選択肢の考え方

① 共同注意

共同注意は、他者と同じ対象へ注意を向け、その注意を共有することです。乳幼児期の社会的コミュニケーションの発達で重要な概念ですが、「待てるようになる」「衝動的に手を出すことが減る」という変化を直接説明する概念ではありません。

② 自己抑制

正答です。欲求や衝動を状況に合わせて調整し、すぐに行動へ移さず待つことができるようになるという事例の変化に最も合致します。

③ 脱中心化

脱中心化は、Piagetの認知発達論に関連し、一つの目立つ側面だけにとらわれず、複数の側面を考慮できるようになる変化を指します。自己中心性から離れて他者の視点を考えられることとも関連しますが、本事例の中心は衝動・欲求の行動調整です。

④ メタ認知

メタ認知は、自分の認知活動を認識し、必要に応じて調整する働きです。学習方略や問題解決の自己調整で重要ですが、幼児の「待つ」「すぐ手を出さない」という変化を最も直接的に表す選択肢ではありません。

⑤ アタッチメント

アタッチメントは、養育者など特定の他者との情緒的な結びつきに関する概念です。本事例では母子関係の問題がみられないことが明示されており、行動変化をアタッチメントの問題として説明する設定ではありません。

試験での見分け方

発達心理学の選択肢問題では、同じ「子どもの発達」に関係する用語が並ぶため、何が変化したのかを具体的な行動に戻して考えることが重要です。

  • 他者と対象への注意を共有する → 共同注意
  • 欲求や衝動をその場に合わせて調整する → 自己抑制
  • 一つの側面への集中から離れて複数側面を考える → 脱中心化
  • 自分の認知や学習を捉えて調整する → メタ認知
  • 養育者との情緒的結びつき → アタッチメント

この問題では、「おやつを待てるようになった」という行動が特に強い手がかりです。

関連知識:発達的変化と臨床的な見立てを混同しない

本問では、母子関係の問題や発達的なつまずきがみられないことが前提として置かれ、その後の経過の中で自己抑制が高まったと読む問題です。ただし、実際の臨床で「待てない」「衝突が多い」という行動があれば、すべてを年齢による自然な変化として経過観察すればよいわけではありません。

頻度、強度、複数場面での持続、生活への支障、言語・認知発達、注意や活動性、養育環境などをあわせて評価する必要があります。衝動性や行動調整の難しさと発達特性の鑑別を学ぶ際には、第3回午後問150の解説も関連づけて確認できます。

自己抑制・自己主張・自他調整をセットで理解する

幼児期の自己調整を理解するうえでは、「抑えることができるほど発達している」と一方向に考えないことも大切です。自分の希望を適切に伝える自己主張と、必要に応じて欲求を抑える自己抑制の両方があり、さらに対人場面では自分と相手の双方を踏まえた自他調整が求められます。

試験では、どの側面が問われているかを、事例中の行動から特定します。本問では「待つ」「すぐ手を出さない」という変化が中心なので、自己抑制を選びます。

まとめ

第4回午前問61の正答は② 自己抑制です。自己抑制は、欲求や衝動を状況やルールに合わせて調整する自己制御の側面です。共同注意、脱中心化、メタ認知、アタッチメントとの違いを、用語の定義ではなく「事例で実際に何が変化したか」から見分けることが重要です。

参考文献

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