公認心理師資格試験 過去問解説 問55 法務少年支援センター

公認心理師資格試験 過去問解説 問55 法務少年支援センター

第3回公認心理師試験の過去問や正答は以下のサイトで入手可能です。

第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

 

公認心理師資格試験の過去問をしっかりと振り返ることで「自分に必要な知識は何か」を知るための手がかりとしてくださいね!

 

 

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【問55】法務少年支援センター

問55 少年鑑別所が法務少年支援センターという名称を用いて行う地域援助について、正しいものを2つ選べ。

① 公認心理師が、相談を担当する。

② 必要に応じて心理検査や知能検査を実施する。

③ 相談対象は、未成年、その保護者及び関係者に限られる。

④ 学校や関係機関の主催する研修会や講演会に職員を講師として派遣する。

⑤ 個別の相談は、保護観察所内に設置されている相談室で行うことを原則とする。

出典:第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

 

正答は ②と④

 

② 必要に応じて心理検査や知能検査を実施する
④ 学校や関係機関の主催する研修会や講演会に職員を講師として派遣する

となります。

 

法務少年支援センター

 

法務少年支援センターとは❓

法務少年支援センターは、『少年鑑別所法』第131条に基づいて少年鑑別所が実施している地域援助業務で、地域における非行・犯罪の防止」「青少年の健全育成を目的として行う支援活動のことを指しています。

 

 

主な活動内容は以下の通りとなっています❗️

  • 個人又は保護者等に対する相談・助言
  • 関係機関等に対する相談・助言
  • 研修会などへの講師派遣、事例検討会への出席
  • 電話相談

参考:地域とつながり地域につなげる ~法務少年支援センターの地域援助業務~

 



選択肢の解説

① 公認心理師が、相談を担当する

法務少年支援センターのホームページによる記載を確認してみましょう。

法務少年支援センター(少年鑑別所)では、そのようなお悩みを、心理学等の専門的知識を有する職員が丁寧にお聞きし、例えば保護者の方に対して、今後のお子さんとの接し方を助言したり、お子さん御本人に継続的にカウンセリングを行ったりするなどの援助を行っています。

出典:法務省:子供の非行問題などの相談

 

相談を担当するのは“心理学等の専門的知識を有する職員”と記載されています。

 

すなわち、少年鑑別所の職員の方が相談を担当するということですね。

 

例えば、心理職としては法務省専門職員である法務教官などが該当すると考えられます。

 

現在のところ、法務教官の採用要件として公認心理師資格は必須ではありませんので、相談を担当するのが公認心理師であるとはいえないことになります(もちろん、公認心理師の資格を有している場合もあります)

 

そのため、選択肢①「公認心理師が、相談を担当する」は必ずしもそうであるとはいえないため、不適切な記述となります。

 

② 必要に応じて心理検査や知能検査を実施する

法務少年支援センターの重要な活動として、個人・保護者に対する相談・助言があります。

 

相談・助言に際しては、面接のみではなく、心理検査・知能検査を実施して、問題行動が生じる理由や個人の特性、対処方法などをアセスメントしたうえで必要な情報提供が行われています。

 

よって、選択肢②「必要に応じて心理検査や知能検査を実施する」の記載は正しいといえます。

 

③ 相談対象は、未成年、その保護者及び関係者に限られる

個人や保護者等だけではなく、関係機関・団体からも相談を受け付けている。例えば、学校の先生から「学校内で のトラブルが目立つ生徒への対応」について相談を受け、面接や心理検査、知能検査を実施した上で、本人の特性に応じた指導上のポイント等を助言している

出典:地域とつながり地域につなげる ~法務少年支援センターの地域援助業務~

 

この記載にあるように、法務少年支援センターでは、関係機関等に関する相談・助言として“個人や保護者等だけではなく、関係機関・団体からも相談を受け付けている”とされています。

 

具体例として、学校の先生からの相談が挙げられています。

 

また、必要に応じて、関係機関や団体を対象とした事例検討会や子供の教育方法・指導方法に対するコンサルテーションも行われています。

 

以上のことから、選択肢③「相談対象は、未成年、その保護者及び関係者に限られる」は、適切とはいえず回答としては不適当となります。

 

④ 学校や関係機関の主催する研修会や講演会に職員を講師として派遣する

この選択肢は、法務少年支援センターの活動における研修会などへの講師派遣、事例検討会への出席に該当しますね。

 

「非行・子育て」に関する助言やコンサルテーションのみではなく、「少年院・少年鑑別所の役割」「少年保護手続きの流れ」などの法律に関する講義なども活動のひとつです。

 

よって、選択肢④「学校や関係機関の主催する研修会や講演会に職員を講師として派遣する」は正しい記述といえます。

 

⑤ 個別の相談は、保護観察所内に設置されている相談室で行うことを原則とする

基本的には個別の相談は法務少年支援センター(少年鑑別所)に来所する形で開始されます。

 

ですが、来所以外の形態でも個別の相談が可能となっています。

法務少年支援センターでは、全国共通ダイヤル(0570-085-085)を整備し、最寄りの法務少年支援センター(少年鑑別所)に電話相談ができるようになった。さらに、法務少年支援センターのホームページも開設している。

出典:地域とつながり地域につなげる ~法務少年支援センターの地域援助業務~

上の記載をみるとわかるように、来所以外の形態でも、無料での電話相談を受けることが可能です。

 

ちなみに、来所での相談は50分程度、電話での相談は30分程度とされています。

 

以上のことから、選択肢⑤「個別の相談は、保護観察所内に設置されている相談室で行うことを原則とする」は不適切な記述といえます。

 



まとめ

第3回公認心理師資格試験の問55は、法務少年支援センターに関する問題でした❗️

 

法務少年支援センターについてまとめると、

  • 少年鑑別所法第131条に基づいて、少年鑑別所が実施している地域援助で、非行・犯罪の防止」「青少年の健全育成を目的としている。
  • 主な活動内容は、「個人又は保護者等に対する相談・助言」「関係機関等に対する相談・助言」「研修会などへの講師派遣、事例検討会への出席」「電話相談」である。
  • 非行のみでなく青少年の問題行動についても相談の対象となる。
  • 必要に応じて心理検査や知能検査を実施する。

となります。

 

情報が少ない一面もあるので、関連する資料は一度目を通しておくと良いでしょう。