公認心理師資格試験 過去問解説 問56 学校保健安全法
- 2021.06.25
- 資格試験
- 教育領域, 第3回公認心理師試験
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【問56】学校保健安全法
問56 学校保健安全法及び同法施行規則について、正しいものを2つ選べ。
① 通学路の安全点検について、学校は一時的な責務を有する。
② 児童生徒等の健康診断を毎年行うかどうかは、学校長が定める。
③ 学校においては、児童生徒等の心身の健康に関し、健康相談を行う。
④ 市町村の教育委員会は、翌学年の入学予定者に就学時の健康診断を行う。
⑤ 児童生徒等の健康診断の結果が児童生徒と保護者に通知されるのは、30日以内と定められている。
③ 学校においては、児童生徒等の心身の健康に関し、健康相談を行う
④ 市町村の教育委員会は、翌学年の入学予定者に就学時の健康診断を行う
となります。
学校保健安全法
第一条 目的
この法律は、学校における児童生徒等及び職員の健康の保持増進を図るため、学校における保健管理に関し必要な事項を定めるとともに、学校における教育活動が安全な環境において実施され、児童生徒等の安全の確保が図られるよう、学校における安全管理に関し必要な事項を定め、もつて学校教育の円滑な実施とその成果の確保に資することを目的とする。
学校保健安全法とは、「学校における児童・生徒・職員の健康の保持増進」を目的として、「学校の保健管理・安全管理」に関する事項が定められた法律です。
平成21年4月1日が最終の改定となります。
具体的には、
- 学校保健の管理運営
- 健康相談(保健相談・指導)
- 健康診断
- 感染症予防
- 学校安全
などの項目が規定されています。
学校保健安全法の対象となる学校とは、学校教育法第1条に規定されている「幼稚園」「小学校」「中学校」「義務教育学校」「高等学校」「中等教育学校」「特別支援学校」「大学及び高等専門学校」となっています。
また、学校保健安全法施行規則には、学校保健安全法を運用するための細かい規定がなされています。
選択肢の解説
① 通学路の安全点検について、学校は一時的な責務を有する
「学校安全」に関する選択肢となります。
第二十七条 学校安全計画の策定等
学校においては、児童生徒等の安全の確保を図るため、当該学校の施設及び設備の安全点検、児童生徒等に対する通学を含めた学校生活その他の日常生活における安全に関する指導、職員の研修その他学校における安全に関する事項について計画を策定し、これを実施しなければならない。出典:学校保健安全法
学校保健安全法の第27条では、学校における安全計画を立てることが義務づけられています。
この安全計画は「安全管理」「安全教育」「安全に関する組織活動」にわけられますが、この中の「安全管理」には以下の事項が含まれています。
- 生活安全
- 交通安全
- 災害安全
このうちの交通安全には「通学路の選定」や「通学時の決まり事」などが含まれています。
つまり、学校の安全計画の中に通学路に関する事項も含む必要があるということです。
一方で、学校保健安全法の第28条には、実際に行う必要のある安全点検に関して規定がされています。
第二十八条 学校環境の安全確保
校長は、当該学校の施設又は設備について、児童生徒等の安全の確保を図る上で支障となる事項があると認めた場合には、遅滞なく、その改善を図るために必要な措置を講じ、又は当該措置を講ずることができないときは、当該学校の設置者に対し、その旨を申し出るものとする。出典: 学校保健安全法
同法によって定期的な安全点検を行うことが義務づけられています。
詳細は省きますが、定期的な安全点検を行う必要があるとして明文化されているものは以下の通りです。
- 児童生徒が使用する施設・設備及び防火に関する設備 定期の安全点検(毎学期1回以上、あるいは毎月1回)
- 児童生徒が多く使用すると思われる校地、運動場、教室、特別教室、廊下、昇降口、ベランダ、階段、便所、手洗い場、給食室、屋上など 臨時の安全点検(必要に応じて)
以上のことから、通学路に関しては安全計画を立てる際には考慮に入れますが、法律上規定されている安全点検の対象とはされていません。
よって、選択肢①「通学路の安全点検について、学校は一時的な責務を有する」は不適切な記述といえます。
② 児童生徒等の健康診断を毎年行うかどうかは、学校長が定める
第十三条 児童生徒の健康診断
学校においては、毎学年定期に、児童生徒等(通信による教育を受ける学生を除く。)の健康診断を行わなければならない。
2 学校においては、必要があるときは、臨時に、児童生徒等の健康診断を行うものとする。
出典:学校保健安全法
児童生徒の健康診断に関しては、学校保健安全法第13条に規定があります。
条文を見ると、「毎学年定期」と記載されており、毎年の実施が義務づけられていることがわかります。
また、学校保健安全法施行規則の第5条で、6月30日までに行うことまで決められているのもポイントです。
そのため、選択肢②「児童生徒等の健康診断を毎年行うかどうかは、学校長が定める」は、「健康診断=毎年の実施が法律上で義務づけられている」が正しい記載となるため、不適切といえます。
③ 学校においては、児童生徒等の心身の健康に関し、健康相談を行う
第八条 健康相談
学校においては、児童生徒等の心身の健康に関し、健康相談を行うものとする。出典:学校保健安全法
学校で児童生徒に対して健康相談を行うことは、学校保健安全法の第8条において、法律上義務づけられています。
健康相談とは、健康診断の結果などを受けて、健康管理のための専門的な助言や指導を行うことをさします。
健康相談も個人情報の相談になるため、倫理面に配慮が必要です。
また、必要に応じて地域の医療機関や関係機関との連携を図ることが求められています。
以上のことから、選択肢③「学校においては、児童生徒等の心身の健康に関し、健康相談を行う」は適切な記述といえます。
④ 市町村の教育委員会は、翌学年の入学予定者に就学時の健康診断を行う
第十一条 就学時の健康診断
市(特別区を含む。以下同じ。)町村の教育委員会は、学校教育法第十七条第一項の規定により翌学年の初めから同項に規定する学校に就学させるべき者で、当該市町村の区域内に住所を有するものの就学に当たつて、その健康診断を行わなければならない。出典:学校保健安全法
就学時の健康診断に関しては、学校保健安全法第11条に規定があります。
就学前の健康診断に関しては、市町村の教育委員会が区域内に在住する該当児に対する健康診断を担うことが決められています。
同法第12条では、健康診断の結果を踏まえて「治療の勧告」「保健上必要な助言を行う」「義務の猶予若しくは免除又は特別支援学校への就学に関し指導を行う等適切な措置」など必要な対応を市町村の教育委員会が行うことも義務づけられています。
以上のことから、選択肢④「市町村の教育委員会は、翌学年の入学予定者に就学時の健康診断を行う」は適切な記述といえます。
⑤ 児童生徒等の健康診断の結果が児童生徒と保護者に通知されるのは、30日以内と定められている
第九条 事後措置
学校においては、法第十三条第一項の健康診断を行つたときは、二十一日以内にその結果を幼児、児童又は生徒にあつては当該幼児、児童又は生徒及びその保護者(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第十六条に規定する保護者をいう。)に、学生にあつては当該学生に通知するとともに、次の各号に定める基準により、法第十四条の措置をとらなければならない。
一 疾病の予防処置を行うこと。
二 必要な医療を受けるよう指示すること。
三 必要な検査、予防接種等を受けるよう指示すること。
四 療養のため必要な期間学校において学習しないよう指導すること。
五 特別支援学級への編入について指導及び助言を行うこと。
六 学習又は運動・作業の軽減、停止、変更等を行うこと。
七 修学旅行、対外運動競技等への参加を制限すること。
八 机又は腰掛の調整、座席の変更及び学級の編制の適正を図ること。
九 その他発育、健康状態等に応じて適当な保健指導を行うこと。出典:学校保健安全法施行規則
健康診断結果の通知に関しては学校保健安全法施行規則の第9条に規定されています。
となっていますね。
そのため、選択肢⑤「児童生徒等の健康診断の結果が児童生徒と保護者に通知されるのは、30日以内と定められている」は、正確には「21日以内」が正しい記載となるため、不適切といえます。
まとめ
第3回公認心理師資格試験の問56は、学校保健安全法に関する問題でした❗️
学校保健安全法は、「学校の保健管理・安全管理」に関する事項が定められた法律です。
今回の問題でのキーワードは以下の通りでした。
- 第1条 目的 「学校における児童・生徒・職員の健康の保持増進」
- 第8条 健康相談
- 第11条 就学時の健康診断 市町村の教育委員会が担う
- 第13条 児童生徒の健康診断 毎学年の実施が義務づけられている
- 第27条 学校安全計画:「安全管理」「安全教育」「安全に関する組織活動」
- 第28条 安全点検:定期点検、臨時点検
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