公認心理師資格試験 過去問解説 問78 公認心理師による情報提供

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第3回公認心理師試験・午後問78は、公認心理師が成人のクライエントに関する心理情報を医療チームへ提供するとき、事前に何が必要かを問う問題です。

正答は②「クライエント本人の同意」です。

公認心理師には秘密保持義務がある一方で、必要な関係者との連携も求められます。ポイントは、「連携するから自由に情報共有してよい」のではなく、本人への説明と同意を基本に、目的に必要な範囲で情報を共有することです。

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【問78】公認心理師による情報提供

問78 公認心理師が、成人のクライエントの心理に関する情報を医療チームに提供する場合に事前に必要なものとして、正しいものを1つ選べ。

① 成年後見人の同意
② クライエント本人の同意
③ 医療チームが作成した手順書
④ ストレングス・アセスメント
⑤ シェアード・ディシジョン・メイキング

正答:②

第3回公認心理師試験の午後問題冊子と正答は、公認心理師試験研修センターの公式資料で確認できます。

第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|公認心理師試験研修センター

②が正しい理由:本人の同意を基本に情報共有する

公認心理師法第41条では、公認心理師は正当な理由なく、業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならないと定められています。

一方、第42条では、保健医療・福祉・教育などの関係者と連携し、総合的・適切な支援が提供されるようにすることも求められています。

つまり、秘密保持と多職種連携はどちらか一方を選ぶものではありません。

成人のクライエントについて通常の支援目的で心理情報を医療チームへ提供する場合には、本人に、誰へ・何のために・どのような情報を共有するのかを説明し、本人の同意を得ることが基本です。

秘密保持を守りながら必要な連携を行うために、本人の同意を得て、必要な範囲で情報共有する

と理解しておきましょう。

「同じ医療チームだから自由に共有できる」わけではない

医療チームの中で連携することは重要ですが、支援に関わる専門職同士であれば、クライエントの心理情報を無制限に共有できるという意味ではありません。

心理支援では、本人が話した内容の中に、家族関係、対人関係、過去の体験など、非常に私的な情報が含まれることがあります。

そのため、情報共有では、

  • 共有の目的は何か
  • 誰に共有するのか
  • どの情報まで必要なのか
  • 本人にどのように説明するのか

を検討し、支援目的に必要な範囲に限定することが重要です。

① 成年後見人の同意ではないのはなぜ?

設問は「成人のクライエント」としていますが、成年後見制度を利用しているとは書かれていません。

成人だからといって、情報提供の同意を成年後見人から得ることが一般的な前提になるわけではありません。

本問では、クライエント本人の同意が必要です。

③ 医療チームの手順書ではないのはなぜ?

組織内に情報共有の手順書があることは、適切な運用のために役立ちます。

しかし、手順書が存在することと、個別のクライエントの心理情報を提供してよいことは別の問題です。

手順書があるからといって、本人への説明や同意を省略できるわけではありません

④ ストレングス・アセスメントではないのはなぜ?

ストレングス・アセスメントは、本人の強み、資源、能力、支援環境などを把握するための考え方です。

支援を考える上では有用ですが、情報提供の事前要件を示すものではありません。

⑤ シェアード・ディシジョン・メイキングではないのはなぜ?

シェアード・ディシジョン・メイキング〈Shared Decision Making:SDM〉は、本人と支援者が情報を共有し、本人の価値観や希望も踏まえて意思決定を行う考え方です。

これも医療・心理支援において重要ですが、問78が尋ねているのは、心理情報を医療チームへ提供する前に必要なものです。

そのため、正答はSDMという支援上の意思決定プロセスではなく、本人の同意です。

例外があることにも注意する

試験対策では「情報共有には本人の同意」と覚えることが重要ですが、実務上、どのような場合でも本人の同意がなければ情報を共有できない、という意味ではありません。

公認心理師法第41条は、「正当な理由がなく」秘密を漏らしてはならないと定めています。

例えば、法令上の通報・通告義務がある場合や、本人または他者の生命・身体に重大な危険が迫っている場合などには、本人の同意とは別に情報共有を検討しなければならないことがあります。

日本公認心理師協会の倫理綱領ガイダンスでも、本人の承諾がある場合のほか、法令上必要な場合や緊急の安全確保が必要な場合など、秘密を開示し得る状況が整理されています。

原則は本人の同意。例外は、法令・安全確保などの正当な理由を個別に検討する。

という形で理解すると、守秘義務を「絶対に何も共有しない」と誤解せずに済みます。

5つの選択肢を整理

選択肢 ポイント 判定
① 成年後見人の同意 本問では成年後見制度利用の前提がない 不適切
② クライエント本人の同意 成人本人の心理情報を通常の支援目的で共有する際の基本 適切・正答
③ 医療チームの手順書 組織手順があっても本人同意を代替しない 不適切
④ ストレングス・アセスメント 支援のためのアセスメント概念であり情報提供の事前要件ではない 不適切
⑤ SDM 意思決定支援の考え方であり、本問の事前要件そのものではない 不適切

試験対策ではここまで覚える

  • 公認心理師には秘密保持義務がある
  • 同時に、必要な関係者との連携も求められる
  • 成人本人の心理情報を通常の支援目的で共有する場合、本人の同意が基本
  • 共有先・目的・情報範囲を本人に説明し、必要な情報に限定する
  • 「同じチームだから何でも共有できる」と考えない
  • 法令上の義務や緊急の安全確保など、同意原則とは別に検討すべき例外もある

問78の中心:秘密保持と多職種連携を両立するため、成人クライエント本人の同意を基本として必要な範囲で情報共有する。

まとめ

第3回公認心理師試験・午後問78の正答は、②「クライエント本人の同意」です。

公認心理師には秘密保持義務がありますが、同時に多職種との連携も求められます。そのため、通常の支援目的で成人のクライエントの心理情報を医療チームへ提供する際には、本人に目的・共有先・情報範囲を説明し、同意を得ることが基本です。

ただし、法令上必要な情報提供や緊急の安全確保など、本人の同意とは別に判断すべき例外があることも併せて理解しておきましょう。

参考資料

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