第3回公認心理師試験・午後問135は、健康日本21(第二次)の「こころの健康」に設定された数値目標について問う問題です。
正答は②「気分障害」と⑤「不安障害」です。
この問題では、単に精神障害の名称を覚えるのではなく、健康日本21(第二次)で実際に設定されていた「気分障害・不安障害に相当する心理的苦痛を感じている者の割合の減少」という目標を押さえることが重要です。
問135の正答は②「気分障害」と⑤「不安障害」
選択肢は次の5つです。
- ① 依存症
- ② 気分障害
- ③ 適応障害
- ④ 発達障害
- ⑤ 不安障害
健康日本21(第二次)の「こころの健康」では、気分障害・不安障害に相当する心理的苦痛を感じている者の割合を減少させることが数値目標の一つとして設定されていました。
したがって、正答は② 気分障害と⑤ 不安障害です。
健康日本21(第二次)とは
健康日本21は、国民の健康増進を総合的に進めるための国民健康づくり運動です。
健康日本21(第二次)では、健康寿命の延伸や健康格差の縮小などを基本的な方向として、生活習慣病の予防だけでなく、社会生活を営むために必要な機能の維持・向上も重視されました。
その中の「こころの健康」では、次のような目標が設定されていました。
- 自殺者の減少
- 気分障害・不安障害に相当する心理的苦痛を感じている者の割合の減少
- メンタルヘルスに関する措置を受けられる職場の割合の増加
- 小児人口10万人当たりの小児科医・児童精神科医師の割合の増加
問135は、このうち2番目の目標を知っているかを問う問題です。
「気分障害・不安障害に相当する心理的苦痛」とは
ここで重要なのは、健康日本21(第二次)が医療機関で診断された気分障害や不安障害の患者数そのものを指標にしていたわけではないことです。
指標には、国民生活基礎調査に含まれるK6という6項目の自己記入式質問票が用いられました。
K6は、過去30日間の心理的苦痛を尋ねる尺度です。健康日本21(第二次)では、K6の合計得点が10点以上の者を「気分障害・不安障害に相当する心理的苦痛を感じている者」として、その割合を指標にしました。
したがって、試験対策では、
気分障害+不安障害 → K6で捉える心理的苦痛の割合を減らす
という対応関係を押さえると整理しやすくなります。
K6は診断そのものではない
K6は、心理的苦痛の程度を把握するためのスクリーニング尺度です。
K6が10点以上だから気分障害や不安障害と診断される、という意味ではありません。
健康日本21(第二次)では、集団レベルでこころの健康状態を把握するために、K6による心理的苦痛の割合を政策指標として利用していました。
公認心理師試験では、こうした「診断」と「公衆衛生上の指標」を混同しないことも重要です。
数値目標はどう設定されていたか
「気分障害・不安障害に相当する心理的苦痛を感じている者の割合」は、策定時の平成22(2010)年に10.4%でした。
健康日本21(第二次)では、令和4(2022)年度までに9.4%へ減少させることが目標とされました。
最終評価で用いられた令和元(2019)年の値は10.3%で、評価はC「変わらない」でした。
この数値は問135を解くために必須ではありませんが、目標が単なる理念ではなく、K6を用いた具体的な数値指標として設定されていたことを理解するのに役立ちます。
①「依存症」が誤りの理由
依存症は重要な精神保健上の課題ですが、問135が尋ねている健康日本21(第二次)の「気分障害・不安障害に相当する心理的苦痛を感じている者の割合の減少」という数値目標に、依存症は対象名として含まれていません。
したがって①は正答ではありません。
②「気分障害」が正しい理由
健康日本21(第二次)では、気分障害に相当する心理的苦痛が数値目標の表現に明示されています。
したがって②は正答です。
③「適応障害」が誤りの理由
適応障害も臨床上重要な精神障害ですが、この「こころの健康」の数値目標では対象名として挙げられていません。
したがって③は正答ではありません。
④「発達障害」が誤りの理由
発達障害に関する支援は、保健・医療・教育・福祉など複数の制度や施策で重要な課題です。
ただし、健康日本21(第二次)の本問で問われている数値目標では、発達障害は対象名として設定されていません。
したがって④は正答ではありません。
⑤「不安障害」が正しい理由
健康日本21(第二次)の目標には、不安障害に相当する心理的苦痛も明示されています。
したがって⑤は正答です。
5つの選択肢を整理する
| 選択肢 | 健康日本21(第二次)の本問の数値目標 | 判断 |
|---|---|---|
| ① 依存症 | 対象名として含まれない | × |
| ② 気分障害 | 「気分障害・不安障害に相当する心理的苦痛」に含まれる | 〇 |
| ③ 適応障害 | 対象名として含まれない | × |
| ④ 発達障害 | 対象名として含まれない | × |
| ⑤ 不安障害 | 「気分障害・不安障害に相当する心理的苦痛」に含まれる | 〇 |
現在は健康日本21(第三次)
この問題は、令和2(2020)年に実施された第3回公認心理師試験であり、健康日本21(第二次)についての知識を問うています。
現在は、令和6(2024)年度から令和17(2035)年度までの健康日本21(第三次)が進められています。
第三次でも、こころの健康に関連して「心理的苦痛を感じている者の減少」が目標として設定され、K6の合計得点が10点以上の者の割合が指標として用いられています。
つまり、K6を用いて心理的苦痛を把握する考え方は現在の第三次にも引き継がれていますが、この過去問の正答はあくまで第二次の目標表現に基づく②「気分障害」と⑤「不安障害」です。
試験対策のポイント
- 健康日本21(第二次) → 「気分障害・不安障害に相当する心理的苦痛」の減少
- 指標 → K6合計10点以上の者の割合
- K6 → 診断そのものではなく心理的苦痛を把握する尺度
- 正答 → ② 気分障害、⑤ 不安障害
- 現在 → 健康日本21(第三次)が進行中
制度・政策に関する問題では、試験が実施された時点の制度と現在の制度を分けて整理することが重要です。
まとめ
- 第3回公認心理師試験・午後問135の正答は② 気分障害、⑤ 不安障害
- 健康日本21(第二次)では「気分障害・不安障害に相当する心理的苦痛を感じている者の割合の減少」が数値目標だった
- 指標にはK6が使用され、合計10点以上の者の割合を用いた
- K6は気分障害・不安障害を直接診断する検査ではない
- 依存症・適応障害・発達障害は、この特定の数値目標の対象名には含まれない
- 現在は健康日本21(第三次)が進行しており、K6を用いた「心理的苦痛を感じている者の減少」が引き続き目標になっている



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