公認理師資格試験 過去問解説 問134 不登校の変遷
- 2023.02.24
- 公認心理師(第3回)
- 教育領域, 第3回公認心理師試験
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第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
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問134 社会状況の変遷によって、子どもの不登校もその発生や捉え方も変遷してきた。この不登校の現象について、適切なものを2つ選べ。
① 1960 年代に、ニューカマー家庭の不就学が問題となった。
② 1980 年代の詰め込み教育の時代に、学校恐怖症が発見された。
③ 1990 年前後のバブル経済の時代に、登校拒否という言葉が生まれた。
④ 2000 年代の児童虐待防止法改正以降、居所不明児が注目された。
⑤ 現在、不登校の子どもを対象とする特別の教育課程を編成することができる。
注:「児童虐待防止法」とは、「児童虐待の防止等に関する法律」である。
出典:第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
選択肢の解説
①1960 年代に、ニューカマー家庭の不就学が問題となった
ニューカマーとは、1980年代以降に日本に渡りそこから定住した外国人の方のことを指します。
このニューカマー家庭における不就学の問題は、1990年に「出入国管理及び難民認定法」が制定されたことにより問題にあがるようになりました。
そして、2000年代に不就学が大きな問題となり、文部科学省では調査や対策が行われるようになりました。
当時の文部科学省によれば、不就学の理由として、「金銭的な問題」や「日本語がわからない」といった内容があげられたため、就学促進のために日本語教育などを取り入れるようになりました。
最近の「外国人の子供の就学状況等調査(令和3年度)」によれば、現在学齢期の外国人の子供は133,310人おり、うち不就学の可能性がある生徒は10,046人となっています。
以上のことから、そもそもニューカマー家庭の不就学が問題となった時期が異なるため、選択肢①「1960 年代に、ニューカマー家庭の不就学が問題となった」は不適切な回答といえますね。
②1980 年代の詰め込み教育の時代に、学校恐怖症が発見された
学校恐怖症 school phobia という用語は、1940年代にアメリカのジョンソンらによって初めて用いられています。
学校恐怖症はその名前の通り、「学校への恐怖が、徐々に教師・他生徒・学習や失敗することへの恐怖に発展していき、登校が不安定になる状態」を指しています。
日本では1950年代後半から学校恐怖症の概念が広まっていきました。
よって、選択肢②「1980 年代の詰め込み教育の時代に、学校恐怖症が発見された」は不適切な選択肢といえます。
③1990 年前後のバブル経済の時代に、登校拒否という言葉が生まれた
登校拒否 school refusal という言葉が初めて使用されたのは、1960年代後半とされています。
ちなみに、日本で初めて「登校拒否」の児童・生徒が報告されたのは1950年代で、その当時には登校拒否という言葉はなかったようです。
登校拒否は、学校に行かない、あるいは、学校に行けない児童・生徒を指す言葉として1990年代のはじめまで使用されてきました。
以上のことから、選択肢③「1990 年前後のバブル経済の時代に、登校拒否という言葉が生まれた」は不適切な選択肢となります。
④2000 年代の児童虐待防止法改正以降、居所不明児が注目された
局所不明児とは、ざっくり説明すると、学校が居所をつかめない行方不明の児童のことをいいます。
日本では学校教育法によって、日本国籍のある就学年齢(6歳〜15歳)に達した児童は住民登録のある市区町村で管理されますが、その住所に居住している実態がなかったり、不就学な状態が1年ほど続くと、局所不明児となります。
家庭内暴力・虐待・夜逃げなどが局所不明児の原因として多いこともあり、2000年代に児童虐待防止法改正により、この「局所不明児」が注目されることになります。
以上のことから、選択肢④「2000 年代の児童虐待防止法改正以降、居所不明児が注目された」は正しい記述となります。
⑤現在、不登校の子どもを対象とする特別の教育課程を編成することができる
2005年の学校教育法施行規則改正により「不登校特例校」が制度化されました。
不登校特例校とは、文部科学省により指定された学校で、学習指導要領の内容にとらわれず不登校の児童や生徒に配慮した特別な教育課程を実施できる学校のことをいいます。
詳細は以下のサイトを参照ください。
特例校(不登校児童生徒を対象とする特別の教育課程を編成して教育を実施する学校)について
以上のことから、選択肢⑤「現在、不登校の子どもを対象とする特別の教育課程を編成することができる」も正しい記述といえます。
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