公認理師資格試験 過去問解説 問144 事例問題 「長時間労働者の面談指導」

公認理師資格試験 過去問解説 問144 事例問題 「長時間労働者の面談指導」

第3回公認心理師試験の過去問や正答は以下のサイトで入手可能です。

第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

公認心理師資格試験の過去問をしっかりと振り返ることで「自分に必要な知識は何か」を知るための手がかりとしてくださいね!

【公認心理資格試験】試験勉強の仕方。ブループリントに記載されている出題割合で勉強の範囲を狭めない方がいい理由について解説します!

Advertisement

問144 

35 歳の男性 A、会社員。A は、製造業で 1,000 名以上の従業員が在籍する大規模事業所に勤務している。約3か月前に現在の部署に異動した。1か月ほど前から、疲労感が強く、体調不良を理由に欠勤することが増えた。考えもまとまらない気がするため、健康管理室に来室し、 公認心理師 B と面談した。A は B に対して、現在の仕事を続けていく自信がないことや、部下や後輩の指導に難しさを感じていること、疲労感が持続していることなどを話した。前月の時間外労働は約 90 時間であった。

このときの B の対応として、最も適切なものを1つ選べ。

① 面談内容に基づき、A に休職を勧告する。

② A の上司に連絡して、業務分掌の変更を要請する。

③ 医師による面接指導の申出を行うよう、A に勧める。

④ 積極的に傾聴し、あまり仕事のことを気にしないよう、A に助言する。

⑤ 急性のストレス反応であるため、秘密保持義務を遵守して A の定期的な観察を続ける。

出典:第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
正答は ③ 医師による面接指導の申出を行うよう、A に勧める

選択肢の解説

two woman in black sits on chair near table
Photo by Christina Morillo on Pexels.com

事例の概要

今回の事例は産業領域のものとなります。ポイントは以下の通りです。

  • 公認心理師Bは労働者数1000名以上の大規模事業所の健康管理室にてAと面談している。
  • Aは3か月前に現在の部署に異動となり、1か月ほど前から疲労感、体調不良を理由に欠勤することが増えた。
  • A は B に対して、現在の仕事を続けていく自信がないことや、部下や後輩の指導に難しさを感じていること、疲労感が持続していることなどを話している。
  • 先月の時間外労働は約90時間

整理すると部署異動をきっかけとして不調が始まり欠勤が増えている状況となります。

明らかな気分の問題などは訴えていませんが、心身反応が生じていると考えられます。

もうひとつのポイントは、先月の時間外労働が約90時間であり、45時間を超えているため健康障害のリスクが高くなっている状態であることです。

また、時間外労働が月80時間を超えており、「疲労感の蓄積」を訴えているため、事業所側も対応を講じる必要があります。

この事例でのAの状態だと時間外労働の問題がなければさまざまな選択肢がある状況ですが、公認心理師Bは事業所側の立場でもあるため、適切な対応が求められます。

具体的には、医師による「長時間労働者への面接指導」の対象となるため、産業医につなぐことが求められるでしょう。

よって、選択肢③「医師による面接指導の申出を行うよう、A に勧める」が適切な解答といえます。