公認心理師資格試験 過去問解説 問7 ゲートコントロール理論

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第4回公認心理師試験・午前問7は、P. D. Wall と R. Melzack のゲートコントロール理論が元来対象としていた感覚を問う問題です。

正答は③「痛覚」です。

ゲートコントロール理論は、1965年にMelzackとWallが発表した痛みの知覚とその調節に関する理論です。触覚・圧覚などの入力が痛みの伝達を調節しうることを説明しますが、理論の中心的な対象は「痛み」です。

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【問7】ゲートコントロール理論

問7 P. Wall と R. Melzack のゲートコントロール理論が、元来、対象としていた感覚として、最も適切なものを1つ選べ。

① 温覚
② 嗅覚
③ 痛覚
④ 触圧覚
⑤ 自己受容感覚

正答:③ 痛覚

第4回公認心理師試験の問題冊子と正答は、公認心理師試験研修センターの公式ページで確認できます。

第4回公認心理師試験(令和3年9月19日実施)|公認心理師試験研修センター

なぜ③「痛覚」なのか

MelzackとWallは1965年、Science誌に“Pain Mechanisms: A New Theory”を発表しました。

その論文で提示された中心的な考え方は、末梢から入ってきた感覚情報がそのまま一定量の「痛み」として中枢へ送られるのではなく、脊髄レベルのゲート機構によって伝達が調節され、その結果として痛みの知覚や反応が変化するというものです。

ゲートコントロール理論 = 痛みの伝達・知覚が神経系の調節を受けることを説明する理論

と押さえておけば、この問題では③を選べます。

④「触圧覚」が正答ではない理由

ここが最も迷いやすいポイントです。

ゲートコントロール理論では、触覚・圧覚などに関わる太い求心性線維からの入力が、脊髄後角の回路を介して痛み関連情報の伝達を抑制する方向に働きうることが示されました。

そのため、「痛い場所の周囲に触れると痛みが和らぐことがある」という現象を説明する理論として紹介されることがあります。

しかし、触圧覚は痛みを調節する側の入力として登場するのであって、設問が問う「元来、対象としていた感覚」は痛覚です。

触圧覚が関係する → 触圧覚の理論、ではない

という区別が重要です。

ゲートはどこに想定されたのか

1965年の原著では、痛み関連情報の伝達を調節する「ゲート」は、脊髄後角、特に膠様質(substantia gelatinosa)を含む脊髄レベルの神経回路に関係する機構として提案されました。

原著のモデルでは、細い線維と太い線維からの入力のバランスが、伝達細胞への情報の流れを変化させると考えられています。

  • 細い線維からの活動:痛み関連情報が伝わりやすくなる方向に働く
  • 太い線維からの活動:ゲートを閉じる方向、すなわち痛み関連情報の伝達を抑える方向に働きうる

試験対策では、細かな神経回路を暗記するより、「脊髄レベルで痛み情報の伝達が調節される」という基本構造を押さえることが先です。

「痛み=刺激の強さ」だけではない

ゲートコントロール理論の重要な点は、痛みを単純に「末梢から送られてくる刺激の強さだけで決まるもの」と捉えなかったことです。

原著では、末梢からの入力だけでなく、中枢からの下行性の影響もゲート機構に関与するモデルが示されました。

つまり、痛みの知覚は単なる一方向の信号伝達ではなく、複数の神経入力の相互作用によって調節される、と考えた点に大きな特徴があります。

5つの選択肢を整理

選択肢 この問題での整理
① 温覚 体性感覚の一つですが、ゲートコントロール理論が元来対象とした中心的な感覚ではありません。
② 嗅覚 嗅覚系を対象とした理論ではありません。
③ 痛覚 正答。痛みの知覚・伝達の調節を説明する理論です。
④ 触圧覚 痛みの伝達を調節する入力として重要ですが、理論の対象そのものではありません。
⑤ 自己受容感覚 身体位置や運動に関する感覚であり、この理論の中心対象ではありません。

旧記事から修正したポイント

旧記事では、ゲートが「開く/閉じる」ことを、痛みを完全に感じるか・感じないかという二択のように読める表現がありました。

より正確には、ゲートコントロール理論は痛み関連情報の伝達が増減・調節される仕組みを説明する概念モデルです。

また、「触覚刺激を加えれば痛みが抑制される」と一般化するのではなく、触圧覚などに関わる入力が痛み情報の伝達を抑制する方向に働きうると理解する方が適切です。

なお、1965年の理論は痛み研究に大きな影響を与えましたが、その後の研究によって痛みの神経機構についてはさらに多くの知見が蓄積しています。試験では、まず「Melzack & Wall/1965年/痛覚」という対応を確実に押さえましょう。

試験対策ではここまで覚える

第4回午前問7では、次の3点が重要です。

  • Melzack & Wall
  • ゲートコントロール理論
  • 対象は痛覚

さらに、

触圧覚などの入力は「痛みを調節する側」として関与する

と整理すると、③と④を取り違えにくくなります。

まとめ

第4回公認心理師試験・午前問7の正答は、③「痛覚」です。

ゲートコントロール理論は、MelzackとWallが1965年に提唱した、痛み関連情報の伝達と痛み知覚の調節に関する理論です。

触圧覚などの入力はゲート機構に関与しますが、理論が元来対象としていた感覚そのものは痛覚です。

参考資料

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