第4回公認心理師試験・午前問8は、幼児が大人の攻撃行動を観察し、その後に同じ行動を示した過程を問う学習心理学の問題です。
正答は②「モデリング」です。
この問題は、A. Banduraらの研究で知られる観察学習・モデリングをそのまま問う典型問題です。ポイントは、幼児自身が直接その行動を強化されたという記述ではなく、他者の行動を観察した後に類似した行動を再現していることです。
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【問8】モデリング
問8 大人の攻撃行動を観察していた幼児が、その後、同じ攻撃行動を示した。この過程を示す用語として、最も適切なものを1つ選べ。
① 洞察学習
② モデリング
③ 嫌悪条件づけ
④ シェイピング
⑤ オペラント条件づけ
正答:② モデリング
第4回公認心理師試験の問題冊子と正答は、公認心理師試験研修センターの公式ページで確認できます。
第4回公認心理師試験(令和3年9月19日実施)|公認心理師試験研修センター
なぜ②「モデリング」なのか
モデリングは、他者の行動を観察し、その行動や行動様式を学習する過程として理解できます。
この設問では、
- 幼児が大人の攻撃行動を観察する
- その後、幼児が同じ攻撃行動を示す
という流れになっています。
「他者の行動を観察 → 後に類似した行動を示す」=モデリング
と判断できます。
Banduraらの1961年研究との対応
この問題を理解する上で有名なのが、Bandura、Ross & Ross(1961)の研究です。
この研究では、就学前の子どもが攻撃的な行動を示す成人モデル、非攻撃的な成人モデル、またはモデルを見ない条件に分けられ、その後、モデルがいない新しい場面で子どもの行動が観察されました。
攻撃的モデルを観察した子どもは、非攻撃的モデルや統制条件の子どもより、モデルに類似した攻撃行動を多く示しました。
第4回午前問8の「大人の攻撃行動を観察していた幼児が、その後、同じ攻撃行動を示した」という設定は、この古典的研究を連想すると非常に解きやすくなります。
「モデリング」と「模倣」はどう違う?
試験対策では、モデリングを単純に「ものまね」と覚えるだけでも問8には対応できますが、少し整理しておくと応用が利きます。
模倣は、観察した行動を実際に似た形で再現することに焦点を当てた言葉です。
一方、モデリングは、モデルとなる他者の行動を観察し、それを手がかりとして行動を学習する、より広い過程を指す文脈で使われます。
今回の設問では「観察した大人と同じ攻撃行動を示した」と明記されているため、観察と再現がそろった典型的なモデリングです。
直接の強化が書かれていないことも手がかり
オペラント条件づけでは、行動の後に生じる結果によって、その行動が将来起こる頻度が変化することが中心になります。
しかし問8では、幼児が攻撃行動をした後に報酬を得た、あるいは何らかの結果によってその行動が強化された、という記述はありません。
設問で明示されているのは、「大人を観察した」ことと「その後に同じ行動を示した」ことです。
このため、直接的な強化随伴を中心とする⑤オペラント条件づけより、②モデリングが適切です。
ただし、これは「観察学習に動機づけや結果の影響が一切関係しない」という意味ではありません。ここでは、設問の行動獲得過程を最も直接に表す用語を選ぶことが重要です。
ほかの選択肢が正答ではない理由
| 選択肢 | 中心的な考え方 | この問題との違い |
|---|---|---|
| ① 洞察学習 | 問題状況の関係を捉え直し、突然解決に至る学習 | 他者の行動を観察して再現する過程ではない。 |
| ② モデリング | 他者の行動を観察し、その行動様式を学習する | 正答。 |
| ③ 嫌悪条件づけ | 嫌悪的な刺激や結果を用いて、特定の反応を減少させる方向へ条件づける | 攻撃行動を観察して学習する過程とは異なる。 |
| ④ シェイピング | 標的行動に近い反応を段階的に強化し、行動を形成する | 段階的な強化の記述がない。 |
| ⑤ オペラント条件づけ | 行動の後の結果によって行動の生起頻度が変化する | 設問では直接の強化・罰の随伴ではなく、観察が中心。 |
① 洞察学習との違い
洞察学習は、Köhlerの研究で知られる概念で、試行錯誤を重ねるだけでなく、問題を構成する要素同士の関係を捉え直すことで解決が生じるという学習です。
問8では問題解決場面ではなく、他者の行動を見て同様の行動を示しているため、洞察学習ではありません。
④ シェイピングとの違い
シェイピングでは、最終的な標的行動に近づく反応を順番に強化していきます。
たとえば、複雑な行動を一度に求めるのではなく、標的行動への逐次接近を強化するのが基本です。
問8には、幼児の行動を段階的に強化したという記述はありません。
⑤ オペラント条件づけとの違い
オペラント条件づけでは、ある行動の後に生じる結果によって、その行動が増えたり減ったりします。
一方、今回の問題の決め手は、幼児が大人の行動を観察したことです。
「観察した行動を後に再現した」という構造から、モデリングを選びます。
旧記事から修正したポイント
旧記事では、モデリングの本体説明を別記事へのリンクに委ねていたため、この問8単独では正答の根拠が十分に完結していませんでした。
今回の改訂では、問8だけを読んでも、
- なぜ②モデリングなのか
- Banduraらの古典的研究との対応
- 洞察学習・嫌悪条件づけ・シェイピング・オペラント条件づけとの違い
が分かる構成にしています。
また、嫌悪条件づけについて具体的な嫌悪刺激の例を列挙する必要はないため、試験で必要な概念上の区別に限定しました。
試験対策ではここまで覚える
第4回午前問8では、次の対応をまず押さえましょう。
Bandura → 観察学習/モデリング → 他者の行動を観察して学習
さらに、
- 洞察学習=問題場面の関係を捉え直して解決
- シェイピング=逐次接近を段階的に強化
- オペラント条件づけ=行動の結果によって行動頻度が変化
と区別できれば、類題にも対応しやすくなります。
まとめ
第4回公認心理師試験・午前問8の正答は、②「モデリング」です。
大人の攻撃行動を観察した幼児が、その後に同様の攻撃行動を示したという設問は、他者の行動を観察して行動を学習するモデリングの典型例です。
Banduraらの1961年研究と対応づけて覚えると、②を選びやすくなります。
第4回午前問9「Rogersのパーソナリティ理論」の解説はこちら



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