公認理師資格試験 過去問解説 問94 遺伝カウンセリングについて

公認理師資格試験 過去問解説 問94 遺伝カウンセリングについて

第3回公認心理師試験の過去問や正答は以下のサイトで入手可能です。

第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

 

公認心理師資格試験の過去問をしっかりと振り返ることで「自分に必要な知識は何か」を知るための手がかりとしてくださいね!

 

 

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【問94】遺伝カウンセリング

問94 遺伝カウンセリングにおいて、経験的再発危険率が最も重要な疾患として、正しいものを1つ選べ。

① 統合失調症

② ダウン症候群

③ Huntington病

④ 家族性Alzheimer病

⑤ 筋緊張性ジストロフィー症

出典:第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

 

正答は ①

 

① 統合失調症

となります。

 

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遺伝カウンセリング

遺伝カウンセリングは、疾患の遺伝学的関与について、その医学的影響、心理学的影響および家族への影響を人々が理解し、それに適応していくことを助けるプロセスである。このプロセスには、1)疾患の発生および再発の可能性を評価するための家族歴および病歴の解釈、2)遺伝現象、検査、マネージメント、予防、資源および研究についての教育、3)インフォームド・チョイス(十分な情報を得た上での自律的選択)、およびリスクや状況への適応を促進するためのカウンセリング、などが含まれる。

出典:日本医学会 「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」

 

遺伝カウンセリングは、染色体や遺伝子の情報が関係している「染色体の病気」や「遺伝性疾患」に対する「遺伝医療」が必要な患者さんや家族を支援する枠組みのことを指します。

 

遺伝カウンセリングの役割は以下の通りです。

  • 必要だと思われる適切な情報(疾患・医療・遺伝現象・社会資源)を伝える
  • 染色体や遺伝子を調べる検査の実施を検討する際、クライエントが自分の意思で決定できるように支援する
  • 検査結果の説明

 

遺伝カウンセリングを行うための資格として、日本遺伝カウンセリング学会と日本人類遺伝学会の認定資格である「認定遺伝カウンセラー®(Certified Genetic Counselor:CGC)」があります。

 

「認定遺伝カウンセラー®︎」の資格を得るためには、専門の養成課程(大学院修士課程)を修了すること、認定試験に合格し登録すること、5年ごとに資格の更新が必要など厳しい条件があります。

 

詳細はこちらのサイトをどうぞ

 

理論的再発率と経験的再発率

「遺伝医療」「遺伝カウンセリング」では、遺伝情報の異常や家系図などの情報を基にして、発症すると想定される疾患が将来的に発病する確率を求めます。

 

これを再発危険率といいます。

 

この再発危険率には、

  • 理論的再発率
  • 経験的再発率

があります。

 

理論的再発率は、メンデル遺伝病遺伝性の染色体構造異常において、分離の法則に則った非罹患者と罹患者の比(分離比)から計算できる危険率を意味しています。

 

理論的再発率が必要とされるのは以下の場合です。

  • 常染色体優性遺伝病
  • 常染色体劣性遺伝病
  • X連鎖劣性遺伝病
  • ミトコンドリア病

 

経験的再発率は、非メンデル遺伝(多因子遺伝病)や染色体異常など、理論的に再発率を求めることが難しいときに用いられる同一疾患の多数の家系を解析して得られた統計的な危険率を意味しています。

 

経験的再発率が必要とされるのは以下の場合です。

  • 多因子病
  • 染色体異常
  • 先天性奇形

 

詳細は各自調べられると良いのですが、ざっくりと理解するのであれば、

  • 遺伝情報や染色体情報だけで決まる病気 ⇨ 理論的再発率
  • 遺伝の要因も大きいけれど、遺伝と環境の相互作用によって生じてくる病気 ⇨ 経験的再発率

というところを押さえておきましょう。

 



 

選択肢の解説

  1. 統合失調症
  2. ダウン症候群
  3. Huntington病
  4. 家族性Alzheimer病
  5. 筋緊張性ジストロフィー症

 

今回の問題では、「経験的再発率が最も重要な疾患」を選ぶ必要があるので、選択肢のなかから「多因子遺伝病」「染色体異常」「先天性奇形」など経験的再発率が重要視される疾患を選ぶことになります。

 

そのため、以下の3つの疾患は除外されます。

③Huntington病 = 遅発性の常染色体異常

④家族性Alzheimer病 = 常染色体優性遺伝

⑤筋緊張性ジストロフィー = 常染色体劣性遺伝

 

残る選択肢は「①多因子遺伝病である統合失調症」と「②染色体異常であるダウン症候群」となりますが、こちらはどちらも経験的再発率が重要になってきます。

 

統合失調症の生涯発生率(発病率)は、人口の約0.7%〜1%と報告されていて、生涯のうち罹患する確率は0.3〜2.0%といわれています。

 

人口の約100人に1人の割合ということになります。

 

遺伝のみでなく、環境との相互作用によって、発症することから多因子遺伝病に位置づけられます。

 

統合失調症の経験的再発率をざっくりとまとめてみました。

  • 遺伝情報が全く同じである一卵性双生児の再発危険率は約50%(40%〜60%)
  • 兄弟・姉妹の再発危険率は一般人の10倍程度の約7%〜10%
  • 両親が統合失調症に罹患している場合は約40%
  • 片親が統合失調症に罹患している場合は約9%〜13%

 

ダウン症候群は約700人に1人の割合で出生するとされていますが、年齢によって危険率は異なります。

 

患児をもった母親で次の子どもに予期される再発危険率は、一般集団における危険率の2〜3倍とされています。

 

35歳未満では1%35歳以上では正常人の年齢別危険率の2倍程度とされています。

 

このように統合失調症とダウン症候群では、経験的再発率には大きな差があることがわかります。

 

そのため統合失調症の方が経験的再発率が重要となってくるため、「①統合失調症」が正しい答えとなります。

 



 

まとめ

第3回公認心理師資格試験の問94は、遺伝カウンセリングについて問題でした❗️

 

遺伝カウンセリングについての情報は得られにくいですが、必要な情報だけでも理解するようにしておきましょう。