公認心理師資格試験 過去問解説 第5回 午前 問35|低出生体重児と発達

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第5回公認心理師試験 午前問35は、低出生体重児とその発達に関する基礎知識を問う問題です。新生児医療の細かな治療内容を暗記するというより、低出生体重児にみられやすい身体的特徴、発達上のリスク、多胎との関連、NICUの役割を整理しているかが問われています。

問題

低出生体重児及びその発達に関する説明として、不適切なものを1つ選べ。

  1. 低出生体重児は、高体温症になりやすい。
  2. 低出生体重児は、単胎児よりも多胎児により多い傾向がある。
  3. 極低出生体重児は、運動障害や知的障害などの合併症の頻度が高い。
  4. 日本における低出生体重児の出生比率は、2005年以降9~10%である。
  5. 低出生体重児は、一般的に新生児集中治療室〈NICU〉などにおける医療ケアを要する。

正答:①

この問題のポイント

低出生体重児では、体温調節機能が未熟で、皮下脂肪が少なく、体表面積の割合も大きいため、熱を失いやすく低体温になりやすいことが重要です。したがって「高体温症になりやすい」とする①は、低出生体重児の典型的な体温管理上のリスクの方向を逆にした選択肢です。

なお、これは「低出生体重児に高体温が絶対に起こらない」という意味ではありません。試験では、低出生体重児・早産児の基本的な特徴として、体温調節が不十分で、特に熱喪失と低体温への注意が重要であることを押さえます。

低出生体重児とは

WHOでは、出生体重が2,500g未満の新生児を低出生体重児〈low-birth-weight infant: LBW infant〉としています。その中でも出生体重1,500g未満は極低出生体重児〈very low birth weight: VLBW〉と呼ばれます。

出生体重が小さい背景には、早産、胎児発育不全、多胎妊娠など複数の要因があります。そのため「低出生体重児=早産児」と完全に同義ではありませんが、両者は重なりが大きく、試験でも関連づけて問われます。

選択肢ごとの解説

① 低出生体重児は、高体温症になりやすい。

不適切であり、この問題の正答です。低出生体重児・早産児では体温調節が未熟で、WHO資料でもpoor body temperature regulationが重要な問題として挙げられています。特に臨床上は熱喪失と低体温〈hypothermia〉が問題になります。

低出生体重児は皮下脂肪が少なく、体重に対する体表面積の割合が大きいため、周囲の環境温度の影響を受けやすくなります。そのため保育器などを用いた適切な温度管理が重要になります。試験では「高体温」ではなく低体温になりやすいという方向を覚えておきましょう。

② 低出生体重児は、単胎児よりも多胎児により多い傾向がある。

この選択肢は適切です。多胎妊娠では単胎妊娠と比べて早産や低出生体重の割合が高くなります。公的な多胎児支援資料でも、多胎児では単胎児より低出生体重児の割合が高いことが示されています。

多胎では子宮内で複数の胎児が発育するため、妊娠期間が短くなりやすいことや、出生時の体重が小さくなりやすいことが関係します。試験では多胎―早産―低出生体重のつながりを理解しておくと判断しやすくなります。

③ 極低出生体重児は、運動障害や知的障害などの合併症の頻度が高い。

この選択肢は適切です。WHO資料では、早産児・低出生体重児では、発達上の障害や脳性麻痺などのリスクが高くなることが示されています。出生体重が非常に小さいほど、神経発達上のフォローが重要になります。

ただし、ここはリスクが高いことと、必ず障害が生じることを区別する必要があります。極低出生体重児であっても発達経過には大きな個人差があります。公認心理師が発達支援や家族支援に関わる場合も、出生体重だけから予後を決めつけず、実際の発達経過や医学的情報を多職種と共有しながら考えることが重要です。

④ 日本における低出生体重児の出生比率は、2005年以降9~10%である。

この選択肢は適切です。厚生労働省の周産期医療に関する資料では、低出生体重児の割合は2010年9.6%、2015年9.5%、2021年9.4%と、近年おおむね9%台で推移しています。したがって、試験で示された「2005年以降9~10%」という理解は、統計の大きな傾向と整合します。

試験対策では細かな年次の小数点以下をすべて暗記するよりも、日本では低出生体重児の割合が約1割弱という規模感を持っておくことが有用です。

⑤ 低出生体重児は、一般的に新生児集中治療室〈NICU〉などにおける医療ケアを要する。

この選択肢は適切です。低出生体重児や早産児では、呼吸、循環、体温、栄養などの管理が必要になることが多く、状態に応じてNICUでの医療ケアが行われます。国立成育医療研究センターでも、低出生体重児や早産児のうち一定の条件を満たす新生児をNICUで管理することが示されています。

一方で、出生体重が2,500g未満であれば全員が必ずNICUへ入院すると理解するのは行き過ぎです。実際の入院先や治療内容は、出生体重だけでなく在胎週数、呼吸状態、循環、感染リスクなどを含めて医学的に判断されます。試験では「低出生体重児ではNICU等の専門的医療ケアを必要とすることが多い」という一般的な方向を押さえます。

発達を見るときの重要な視点

低出生体重児では、出生直後の医学的ケアだけでなく、その後の運動、認知、言語、行動、情緒などを継続してフォローすることが重要です。ただし、出生体重は発達を説明する一つのリスク因子であり、将来の発達を一意に決めるものではありません。

公認心理師試験では、「リスクが高い」という表現を「必ず障害が生じる」と読み替えないことが重要です。出生後の医療経過、家庭環境、養育支援、早期支援など、複数の条件が発達に関係します。

試験での見分け方

この問題では、次の対応関係を押さえると判断しやすくなります。

  • 低出生体重・早産 → 体温調節が未熟 → 低体温リスク
  • 多胎 → 早産・低出生体重の割合が高い
  • 極低出生体重 → 神経発達上のリスクが上昇
  • 日本の低出生体重児 → 約9~10%
  • 状態に応じてNICU等の専門的医療ケア

①だけが「低体温」ではなく「高体温」と、基本的なリスクの方向を反転させています。

低出生体重と早産を同じものとして扱わない

低出生体重児と早産児は関連が深いものの、同義語ではありません。低出生体重は出生時の体重による分類であり、早産は在胎週数による分類です。早産によって出生体重が小さくなることは多い一方、在胎週数が十分でも胎児発育不全などによって低出生体重となる場合があります。

試験では、この2つを混同すると選択肢の読み分けが難しくなります。低出生体重児の問題では、出生体重の小ささに由来する体温調節や栄養・呼吸管理の必要性を押さえ、早産の問題では在胎週数の短さによる臓器の未熟性を意識します。実際には両者が重なることが多いため、臨床上はまとめてハイリスク新生児としてフォローされることもあります。

「リスクが高い」と「予後が決まる」を区別する

極低出生体重児では、運動発達、認知発達、神経学的合併症などのリスクが高くなります。しかし、出生体重はあくまで一つのリスク指標です。同じ出生体重であっても、その後の医学的経過や合併症、家庭環境、支援環境によって発達の経過は異なります。

公認心理師試験では、「頻度が高い」「リスクが上昇する」といった表現は適切でも、「必ず障害が生じる」「将来の発達が出生時点で決まる」といった決定論的な表現は不適切になりやすいという特徴があります。発達領域では、確率的なリスクと個別の予後を区別することが重要です。

NICUをどう理解するか

NICUは、早産児や低出生体重児など、出生直後から集中的な観察や治療を必要とする新生児を対象とする医療環境です。低出生体重児では、呼吸や体温、栄養など複数の側面を細かく管理する必要があることが多いため、NICUとの関連が強くなります。

一方、試験で「一般的にNICUなどの医療ケアを要する」と書かれていることと、「2,500g未満なら例外なく全員NICUへ入院する」と考えることは別です。選択肢では一般的傾向を述べているのか、例外を認めない絶対表現なのかを確認することが重要です。

公認心理師が押さえるべき発達支援の視点

低出生体重児への支援では、出生直後の医療だけでなく、その後の発達を継続的にみていく視点が必要です。心理職が関わる場合は、医学的評価を代替するのではなく、発達評価、家族への心理的支援、保育・教育場面との連携などを通して支援に参加します。

この領域の試験問題では、医学的なリスクを知ることと、心理職の役割を混同しないことも大切です。出生体重や医学的情報から診断や治療方針を決めるのは医療職の役割であり、公認心理師はその情報を理解したうえで、発達や家族支援にどうつなげるかを考えます。

まとめ

第5回午前問35の正答はです。低出生体重児では体温調節が未熟で、熱を失いやすく、特に低体温への注意が重要です。

合わせて、多胎との関連、極低出生体重児の発達上のリスク、日本での出生割合、NICUの役割を一つのまとまりとして理解すると、類似問題にも対応しやすくなります。

参考資料

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