公式問題
いじめ防止対策推進法について、正しいものを1つ選べ。
- 学校は、いじめ問題対策連絡協議会を置くことができる。
- 学校は、いじめの防止に資するものとして、体験活動等の充実を図る。
- 学校は、地方公共団体が作成した、いじめ防止基本方針を自校の基本方針とする。
- 学校は、いじめ防止等の対策を推進するために、財政的な措置を講ずるよう努める。
正答:②
この問題のポイント
この問題では、いじめ防止対策推進法の条文を丸暗記しているかだけでなく、「誰が何を担うのか」を区別できるかが問われています。
特に混同しやすいのは、次の4つです。
- 国・地方公共団体
- 学校の設置者
- 学校
- 地方公共団体が設置できる連絡協議会
法律問題では、内容がもっともらしいかどうかだけで判断すると誤りやすくなります。措置の内容と、その措置を担う主体をセットで確認することが重要です。
正答②|学校は体験活動等の充実を図る
いじめ防止対策推進法第15条では、学校の設置者及びその設置する学校に対して、いじめの防止に資するよう、児童生徒の豊かな情操や道徳心を培い、心の通う対人交流の能力の素地を養うため、道徳教育及び体験活動等の充実を図ることが示されています。
したがって、
「学校は、いじめの防止に資するものとして、体験活動等の充実を図る」
という②は適切です。
ここで重要なのは、いじめ防止が「問題が起きた後の対応」だけではなく、予防的な教育活動も含めて制度設計されている点です。試験では、いじめへの対応を「発見・通報・調査」だけに限定して理解しないようにしましょう。
選択肢①|学校が「いじめ問題対策連絡協議会」を置くわけではない
①は誤りです。
いじめ防止対策推進法第14条では、地方公共団体が、いじめ防止等に関係する機関や団体の連携を図るために、いじめ問題対策連絡協議会を置くことができるとされています。
つまり、この選択肢の誤りは「連絡協議会」という名称そのものではなく、設置主体を学校としていることです。
試験では、次のように整理しておくと判断しやすくなります。
| 仕組み | 主体 |
|---|---|
| いじめ問題対策連絡協議会 | 地方公共団体 |
| 学校いじめ防止基本方針 | 各学校 |
| 道徳教育・体験活動等の充実 | 学校の設置者・学校 |
| 財政上の措置等 | 国・地方公共団体 |
このように、いじめ防止対策推進法は複数の主体に役割を分けています。
選択肢③|学校は地方公共団体の方針をそのまま自校方針にするわけではない
③も誤りです。
第13条では、学校は国の基本方針や地方いじめ防止基本方針を参酌し、その学校の実情に応じて、学校いじめ防止基本方針を定めることとされています。
したがって、
「地方公共団体が作成した方針を、そのまま自校の基本方針とする」
という理解ではありません。
ポイントは、参照することと、そのまま採用することは違うという点です。
学校には、その学校の児童生徒、地域、組織体制などの実情を踏まえた基本方針を作成することが求められます。
選択肢④|財政上の措置を担う主体は学校ではない
④も誤りです。
第10条では、いじめ防止等の対策を推進するために必要な財政上の措置等を講ずるよう努める主体として、国及び地方公共団体が規定されています。
したがって、学校そのものに「財政的な措置を講ずるよう努める」としている④は、主体の取り違えです。
この問題では、①と④のどちらも「制度としてはありそうな内容」に見えるため、主体のズレを見抜けるかが得点ポイントになります。
いじめ防止対策推進法を試験で見分ける3つの視点
1.誰の責務・役割か
法律問題で最優先に確認したいのが主体です。
「学校」「学校の設置者」「地方公共団体」「国」が入れ替えられていないかを確認します。
2.学校独自の方針が必要か
学校いじめ防止基本方針は、地方公共団体の方針をコピーするものではありません。
国・地方の方針を参酌しつつ、学校の実情に応じて作成する点を押さえます。
3.予防も法律の対象になっているか
いじめ防止対策推進法は、いじめ発生後の対応だけを定めた法律ではありません。
道徳教育や体験活動等の充実など、予防的な取り組みも含まれています。
公認心理師として関連づけて理解したいこと
公認心理師試験では、法制度を知識として覚えるだけでなく、学校場面での支援と結びつけて問われることがあります。
いじめが疑われる事例では、本人の主訴だけでなく、学校内の対人関係、安全上の問題、登校状況、家庭・学校との情報共有などを整理していく必要があります。
実際の事例問題で、いじめ被害や学校内の対人関係、安全面を確認する視点については、第3回問147「不登校の対応」も関連して確認できます。
ただし、この内部リンク記事は実務的な関連知識を確認するためのものであり、いじめ防止対策推進法の法的根拠として用いるものではありません。法令の確認は必ず公的資料を基準にします。
試験対策まとめ
この問題では、「いじめ防止対策推進法に書かれていそうか」ではなく、主体と役割の対応関係で選択肢を確認します。
- いじめ問題対策連絡協議会 → 地方公共団体
- 学校いじめ防止基本方針 → 各学校が実情に応じて作成
- 道徳教育・体験活動等の充実 → 学校の設置者・学校
- 財政上の措置等 → 国・地方公共団体
したがって、正答は②です。
条文を「主体」で整理すると覚えやすい
いじめ防止対策推進法を学ぶときは、条文番号だけを縦に暗記するより、主体ごとに横断して整理するほうが試験では使いやすくなります。
国・地方公共団体
国や地方公共団体は、いじめ防止等のための施策を制度として支える立場にあります。第10条の財政上の措置等も、このレベルの責務として整理できます。
つまり、「学校現場で必要な予算がある」という実務感覚から、学校自身が財政上の措置を講ずる主体だと考えると誤答につながります。
地方公共団体
地方公共団体には、地域の関係機関をつなぐ役割があります。
第14条のいじめ問題対策連絡協議会は、この「地域レベルの連携」の仕組みです。学校内の委員会と混同しないようにします。
学校
学校には、自校の実情に応じた学校いじめ防止基本方針を定めることが求められます。
ここでは、国や地方公共団体の基本方針を参酌しつつ、各学校の実情に合わせることがポイントです。
学校の設置者・学校
第15条では、いじめの防止に資する教育活動として、道徳教育や体験活動等の充実が位置づけられています。
本問の正答②は、まさにこの条文に対応しています。
「もっともらしい誤答」に注意する
この問題の難しさは、誤答が完全なでたらめではなく、制度の一部を別の主体へ付け替えていることです。
①の「いじめ問題対策連絡協議会」も実在する制度です。
③の「地方公共団体が作成した基本方針」も実在します。
④の「財政上の措置」も法律に規定されています。
しかし、それぞれを誰が担うのかを確認すると誤りが分かります。
公認心理師試験の法律問題では、このような「制度名は正しいが主体が違う」「条文の一部は正しいが義務の相手が違う」という形式がよく得点差につながります。
学校いじめ防止基本方針の位置づけ
学校いじめ防止基本方針は、学校が独自に好きな内容を決めるという意味でも、地方公共団体の方針をそのまま複製するという意味でもありません。
国・地方の方針を踏まえながら、学校の実情に応じた方針へ落とし込むという構造です。
試験では「参酌」「実情に応じて」という表現が重要です。
この構造を理解しておくと、
- 国がすべての学校の個別方針を作る
- 地方公共団体の方針をそのまま使う
- 各学校が上位方針と無関係に独自作成する
といった極端な選択肢を除外しやすくなります。
体験活動が正答になる理由を一段深く理解する
②の「体験活動等の充実」は、一見すると「いじめ防止法の条文」というより教育一般の話に見えるかもしれません。
しかし第15条は、いじめ防止を、単に違反行為を禁止する仕組みとしてではなく、児童生徒の豊かな情操や道徳心、心の通う対人交流能力の素地を育てる教育活動とも結びつけています。
したがって、試験では「いじめ防止=発生後の通報・調査・処分だけ」と狭く考えないことが大切です。
4択を30秒で処理するなら
試験本番では、次の順番で見ると効率的です。
- ②の「体験活動等」に見覚えがあるか確認する
- ①の主体が学校になっている点を確認する
- ③の「自校の基本方針とする」という断定を確認する
- ④の財政措置の主体が学校になっている点を確認する
法律問題では、「主体」「義務・努力義務」「そのまま採用か参酌か」の3点を見ると、文章量が多くても処理しやすくなります。
参考資料
- 日本心理研修センター 第4回公認心理師試験 午前問題
https://www.jccpp.or.jp/files/items/126/File/04_gokaku_happyo_05.pdf
- 日本心理研修センター 第4回公認心理師試験 正答
https://www.jccpp.or.jp/files/items/126/File/03_gokaku_happyo_05.pdf
- 文部科学省「いじめ防止対策推進法」

- e-Gov法令検索「いじめ防止対策推進法」



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