公認理師資格試験 過去問解説 問147 事例問題 「不登校の対応」

公認理師資格試験 過去問解説 問147 事例問題 「不登校の対応」

第3回公認心理師試験の過去問や正答は以下のサイトで入手可能です。

第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

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問147 

12 歳の女児 A、小学6年生。A は、7月初旬から休み始め、10 月に入っても登校しなかったが、10 月初旬の運動会が終わった翌週から週に一度ほど午前 10 時頃に一人で登校し、夕方まで保健室で過ごしている。担任教師は、Aと話をしたり、保護者と連絡を取ったりしながら、A の欠席の原因を考えているが、A の欠席の原因は分からないという。スクールカウンセラー B が A と保健室で面接した。A は「教室には絶対に行きたくない」と言っている。

B の A への対応として、不適切なものを1つ選べ。

① 可能であれば保護者に A の様子を尋ねる。

② A がいじめ被害に遭っていないかを確認する。

③ 家庭の状況について情報を収集し、虐待のリスクを検討する。

④ 養護教諭と連携し、A に身体症状がないかどうかを確認する。

⑤ A が毎日登校することを第一目標と考え、そのための支援方法を考える。

出典:第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
正答は ⑤ A が毎日登校することを第一目標と考え、そのための支援方法を考える

選択肢の解説

boy running in the hallway
Photo by Caleb Oquendo on Pexels.com

事例の概要

  • 小学校6年生 女児
  • 欠席の原因は不明で、3ヵ月くらい経過している
  • 週に1回、10時頃に1人で登校して夕方まで保健室で過ごしている

事例を確認すると、週1回登校していることや登校状態が不安定になった時期・期間以外にほとんど情報がないことがわかります。

そのため、この事例におけるスクールカウンセラーの対応として適切なものは包括的にアセスメントを行うこととなります。

つまり、起こり得る事象の可能性についての情報をすべて収集していく必要がありますね。

スクールカウンセラーとして最優先で確認する必要がある事項は以下の通りです。

  • いじめ被害の有無
  • 家庭の状況(経済状況・虐待の可能性など)
  • 身体的な疾患の有無

これらは重大かつ早急に対応すべき事案となりますので、最優先で確認しておく必要があります。

それぞれ選択肢②③④に対応していますね。

続いて、更なる情報収集を考える必要がありますが、担任教師も原因がわからない状態であるため、可能であれば早期に保護者と繋がり、情報収集をしていくことが望ましいでしょう。

これで選択肢①も適切な対応とわかります。

選択肢⑤「Aが毎日登校することを第一目標と考え、そのための支援方法を考える」については、以下の理由から不適切な選択肢と考えられます。

  1. A自身の登校に対する気持ちが確認できていないこと
  2. Aの現状に関係する要因として、重大事案(いじめ・家庭・身体)が否定されていないこと