公認心理師資格試験 過去問解説 第6回 午前 問17|ASDの診断用評価尺度(ADI-R)

公認心理師過去問 第6回17 公認心理師試験
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第6回公認心理師試験・午前問17は、自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害〈ASD〉の診断用評価尺度を問う問題です。正答は① ADI-Rです。

選択肢には、ASDの診断評価、ASDのスクリーニング、ADHD関連評価、認知・知的能力評価に用いられる検査が混在しています。試験では、検査名を丸暗記するより、「何を評価するための検査か」「スクリーニングか診断評価か」「誰から情報を得るか」を整理すると見分けやすくなります。

問題の要旨

ASDの診断用評価尺度として最も適切なものを、ADI-R、Conners 3、KABC-II、M-CHAT、WISC-IVから1つ選ぶ問題です。公式正答は①です。

正答:① ADI-R

ADI-R(Autism Diagnostic Interview-Revised)は、ASDの診断評価で広く用いられる、標準化された半構造化面接です。対象者本人に質問紙を記入してもらう検査ではなく、主として発達歴や現在・過去の行動をよく知る保護者・養育者への面接を通して情報を収集します。

ADI-Rでは、社会的相互作用、コミュニケーション、限定的・反復的な行動や関心など、ASDに関連する発達・行動特徴について系統的に情報を得ます。実施には訓練を受けた評価者が必要で、短時間のスクリーニング尺度とは性格が異なります。

ADI-Rは「これだけで診断が決まる検査」ではない

試験上はADI-Rが「診断用評価尺度」に該当しますが、臨床ではADI-Rの得点だけでASD診断を確定するわけではありません。診断評価では、発達歴、本人との面接・行動観察、家庭や学校など複数場面の情報、認知・言語・適応機能、必要に応じた医学的情報などを統合します。

ASD評価に関するレビューでも、ADI-Rのような養育者面接と、ADOS-2などの直接観察を含む診断ツールは、包括的な評価と臨床判断を補助するものとして位置付けられています。尺度名を覚えるだけでなく、診断は複数情報の統合によって行うという原則も押さえておきます。

各選択肢の考え方

① ADI-R

正答です。ASDに関連する発達歴と行動特徴を保護者・養育者から詳しく聴取する、標準化された半構造化診断面接です。

② Conners 3

主としてADHDに関連する症状や機能上の問題を評価する尺度です。親、教師、本人など複数の情報源から評価する版があり、ASDの診断用評価尺度として選ぶものではありません。

③ KABC-II

子どもの認知能力を評価する個別式検査です。ASDのある子どもの認知特性を理解するために用いられることはありますが、ASDそのものを診断する尺度ではありません。

④ M-CHAT

M-CHAT-R/Fは、幼児期のASDの可能性を把握するための親報告式のスクリーニングツールです。スクリーニングは、精密評価が必要な可能性のある人を拾い上げる工程であり、診断評価そのものとは区別します。

⑤ WISC-IV

ウェクスラー式の児童用知能検査で、全般的な知的能力や認知プロフィールを把握するために用いられます。ASDの評価過程で併用されることはありますが、ASDの診断用評価尺度ではありません。

「スクリーニング」と「診断評価」の違い

心理検査の問題では、スクリーニング診断評価の区別が重要です。

  • スクリーニング:可能性のある対象者を広く拾い上げ、追加評価につなげる。M-CHAT-R/Fが代表例。
  • 診断評価:症状や発達歴を詳しく確認し、臨床判断を支える。ADI-Rが代表例。
  • 認知・知的能力評価:認知プロフィールや知的能力を把握する。KABC-II、WISC-IVなど。
  • 他の神経発達症の評価:ADHD関連ではConners系尺度などが用いられる。

試験での見分け方

次の対応を押さえると、このタイプの問題は解きやすくなります。

  • ADI-R → ASDの標準化された半構造化養育者面接
  • M-CHAT-R/F → 幼児ASDのスクリーニング
  • Conners 3 → 主にADHD関連の評価
  • KABC-II → 子どもの認知能力の評価
  • WISC-IV → 子どもの知的・認知能力の評価

さらに、ASD評価では「尺度のカットオフを超えたから診断」という単純な理解を避けます。発達歴や直接観察など複数の情報源を統合するという原則が重要です。

発達障害のアセスメントに関連する過去問として、第3回問73の解説も関連学習になります。

まとめ

第6回午前問17の正答は① ADI-Rです。ADI-RはASD診断評価に用いられる標準化された半構造化の養育者面接です。M-CHATはスクリーニング、Conners 3は主にADHD関連、KABC-IIとWISC-IVは認知・知的能力評価という違いを整理します。また、ADI-Rを含む単一尺度だけでASD診断が決まるわけではなく、包括的評価と臨床判断が必要です。

参考文献

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