公認心理師資格試験 過去問解説 第5回 午前 問33|精神保健福祉法の入院形態

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公式問題

自傷他害のおそれはないが、幻覚妄想があり、入院を必要とする精神障害者で、本人も入院を希望している。この場合に適用される精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉に基づく入院形態として、適切なものを1つ選べ。

  1. 応急入院
  2. 措置入院
  3. 任意入院
  4. 医療保護入院
  5. 緊急措置入院

正答:③

この問題のポイント

精神保健福祉法の入院形態を見分ける問題では、診断名や症状の重さだけで判断しないことが重要です。

本問で決定的なのは次の2点です。

  1. 本人が入院を希望している
  2. 自傷他害のおそれはない

幻覚妄想があり入院治療が必要であっても、本人が入院に同意しているのであれば、まず任意入院が適用されます。

したがって、正答は③ 任意入院です。

正答③|任意入院

精神保健福祉法第20条では、精神科病院の管理者は、精神障害者を入院させる場合、できる限り本人の同意に基づいて入院が行われるよう努めなければならないとされています。

さらに第21条では、本人が自ら入院する旨を申し出て入院する形態として任意入院が規定されています。

本問では、

  • 幻覚妄想がある
  • 入院治療が必要
  • 本人も入院を希望している

という条件が示されています。

したがって、本人同意を前提とする任意入院が最も適切です。

「精神症状が強い=非自発的な入院」と短絡しないことが重要です。

入院形態を見分ける基本軸

精神保健福祉法の入院形態は、次の軸で整理すると判断しやすくなります。

入院形態 本人同意 自傷他害のおそれ 主な特徴
任意入院 あり 必須ではない 本人の意思に基づく
医療保護入院 本人同意なし 必須ではない 法定の要件・同意手続の下で行われる
措置入院 本人同意を前提としない あり 都道府県知事等による措置
緊急措置入院 本人同意を前提としない あり 緊急時、72時間以内
応急入院 本人同意なし 自傷他害は必須ではない 緊急性があり、72時間以内

試験では、まず本人同意の有無自傷他害のおそれを見ると、多くの選択肢を絞れます。

選択肢①|応急入院

①は本問には該当しません。

応急入院は、本人の同意が得られない場合で、直ちに入院させなければその者の医療・保護を図る上で著しく支障があるなど、法定の緊急要件を満たす場合に用いられる入院形態です。

精神保健福祉法上、応急入院には時間制限があり、72時間を限度とする制度です。

本問では本人が入院を希望しているため、本人同意が得られない緊急場面を想定した応急入院を選ぶ必要はありません。

選択肢②|措置入院

②も該当しません。

措置入院では、精神障害のために自身を傷つけ、または他人に害を及ぼすおそれがあることが重要な要件になります。

また、精神保健指定医による診察などの法定手続きを経て、都道府県知事等による措置として行われます。

本問には明確に、

「自傷他害のおそれはない」

と書かれています。

この一文だけでも、措置入院は除外できます。

措置入院の要件については、第3回問50「精神保健福祉法『措置入院』」で詳しく確認できます。

選択肢④|医療保護入院

④も本問では適切ではありません。

医療保護入院は、本人の同意による入院が成立しない場合に、精神保健福祉法第33条の要件と所定の同意手続の下で行われる入院形態です。

ここでの重要点は、本人が入院を希望している本問で、あえて本人同意を前提としない入院形態を選ぶ必要はないということです。

医療保護入院は制度改正の影響を受けている領域でもあります。試験対策では古いまとめだけに依存せず、現行法令を確認することが重要です。

選択肢⑤|緊急措置入院

⑤も該当しません。

緊急措置入院は、措置入院に必要な通常の手続きを待つことができない緊急状況で、かつ自傷他害のおそれがある場合に用いられる制度です。

精神保健福祉法上、72時間を超えることはできません

本問では自傷他害のおそれが否定されているため、緊急措置入院には該当しません。

「本人が希望している」を最初に見る

この問題で最も重要なのは、冒頭の「幻覚妄想がある」という情報に引っ張られないことです。

精神症状があることと、非自発的な入院が必要であることは同じではありません。

試験では、

  1. 本人は入院に同意しているか
  2. 自傷他害のおそれがあるか
  3. 緊急性があるか
  4. どの法定手続が必要か

の順で整理すると、入院形態を見分けやすくなります。

各入院形態をまとめて比較したい場合は、第3回問107「精神保健福祉法に基づく入院」も関連します。

現行法を確認する必要がある領域

精神保健福祉法は改正が行われているため、古い教材では医療保護入院などの要件・手続が現行制度と一致しない可能性があります。

本記事では、現在の厚生労働省法令本文を基準に整理しています。

ただし、ここで扱っているのは公認心理師試験の制度理解です。実際の入院判断や法的手続は、個別の臨床状況と現行法令に基づき、医療機関・指定医・行政等の適切な専門職・機関によって判断されます。

試験対策まとめ

本問の判断材料は非常に明確です。

  • 本人が入院を希望 → 任意入院を第一に考える
  • 自傷他害のおそれなし → 措置入院・緊急措置入院ではない
  • 本人同意あり → 医療保護入院・応急入院を優先する状況ではない

したがって、正答は③ 任意入院です。

5つの入院形態を「本人同意」と「危険性」で整理する

精神保健福祉法の入院形態は、名称だけを暗記すると混乱しやすいため、まず2軸で整理します。

軸1|本人が入院に同意しているか

本人が入院を希望しているなら、まず任意入院を考えます。

本人が同意していない、または本人同意による入院が成立しない場合には、他の法定入院形態の要件を検討します。

軸2|自傷他害のおそれがあるか

自傷他害のおそれは、措置入院・緊急措置入院を見分ける重要な条件です。

したがって、本問のように「自傷他害のおそれはない」と明示されていれば、この2つは早い段階で除外できます。

この2軸だけでも、本問では③任意入院までかなり絞れます。

措置入院と緊急措置入院の違い

どちらも自傷他害のおそれが重要ですが、通常の措置入院と緊急措置入院では手続と緊急性が異なります。

措置入院では、精神保健指定医による法定の診察等を経て、都道府県知事等による措置として入院が行われます。

一方、緊急措置入院は、通常の措置入院の手続きを待つことができない緊急状況を想定した制度で、72時間を超えることができません。

つまり試験では、

自傷他害のおそれあり → 措置系を検討 → さらに緊急性を見る

という順で整理できます。

医療保護入院と任意入院の違い

医療保護入院と任意入院は、ともに「治療上、入院が必要」という場面で出てきます。

しかし最大の違いは本人同意です。

任意入院は本人の意思に基づきます。

一方、医療保護入院は本人同意による入院が成立しない場合に、法定要件と所定の同意手続の下で行われる制度です。

そのため、「症状が重いから医療保護入院」と単純に考えてはいけません。

本問では幻覚妄想があるものの、本人が入院を希望しています。ここでは症状の内容よりも、本人同意があるという法的条件が優先して判断材料になります。

応急入院はどんなときに出てくるか

応急入院は、自傷他害のおそれが必須条件というわけではありません。

その点で措置入院とは異なります。

しかし、本人の同意が得られず、かつ直ちに入院させなければ医療・保護の上で著しい支障があるような緊急場面を想定した制度です。

さらに72時間という時間制限があります。

試験では、

  • 本人同意なし
  • 緊急性あり
  • 自傷他害のおそれは必須ではない
  • 72時間

というまとまりで覚えておくと整理しやすくなります。

「幻覚妄想」という情報に引っ張られない

本問は、症状として幻覚妄想を提示することで、「非自発的な入院が必要なのではないか」と迷わせる構造になっています。

しかし、精神症状の有無だけでは入院形態は決まりません。

制度問題では、症状を読む前に、

  • 本人同意
  • 自傷他害のおそれ
  • 緊急性
  • 法定手続

をチェックするほうが安定します。

これは事例問題全般でも有効な読み方です。

現行法令で確認する習慣

精神保健福祉法は改正されることがあり、特に医療保護入院は近年も制度変更が行われています。

そのため、古い参考書や古いWeb記事をそのまま使うと、現在の要件・手続とズレる可能性があります。

公認心理師試験の過去問を学ぶときは、

  1. 出題当時の正答を確認する
  2. 現在の法令も確認する
  3. 改正があった部分と、変わらない基本構造を分ける

という扱いが安全です。

本問の中心である「本人が希望している場合は任意入院を基本として考える」という区別は、現行法を理解する上でも重要です。

5択を短時間で解く判断手順

本問では次の順に処理できます。

  1. 「本人も入院を希望」→ 任意入院が第一候補
  2. 「自傷他害のおそれはない」→ 措置入院・緊急措置入院を除外
  3. 本人同意あり → 医療保護入院・応急入院を優先する理由なし
  4. 正答③を確定

このように、精神保健福祉法の入院形態は名称暗記よりも、条件分岐として覚えるほうが試験で使いやすくなります。

参考資料

  • 日本心理研修センター 第5回公認心理師試験 午前問題

https://www.jccpp.or.jp/files/items/127/File/04_gokaku_happyo_05.pdf

  • 日本心理研修センター 第5回公認心理師試験 正答

https://www.jccpp.or.jp/files/items/127/File/03_gokaku_happyo_06.pdf

  • 厚生労働省「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」
・精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(◆昭和25年05月01日法律第123号)
  • e-Gov法令検索「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」
e-Gov 法令検索
電子政府の総合窓口(e-Gov)。法令(憲法・法律・政令・勅令・府省令・規則)の内容を検索して提供します。
  • 厚生労働省 精神保健福祉法関連資料

https://www.mhlw.go.jp/content/001525947.pdf

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