公認理師資格試験 過去問解説 問131 むずむず脚症候群

公認理師資格試験 過去問解説 問131 むずむず脚症候群

第3回公認心理師試験の過去問や正答は以下のサイトで入手可能です。

第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

公認心理師資格試験の過去問をしっかりと振り返ることで「自分に必要な知識は何か」を知るための手がかりとしてくださいね!

【公認心理資格試験】試験勉強の仕方。ブループリントに記載されている出題割合で勉強の範囲を狭めない方がいい理由について解説します!

Advertisement

問131 むずむず脚症候群について、正しいものを2つ選べ。

① 妊婦に多い。

② 鉄欠乏性貧血患者に多い。

③ 運動によって症状は増悪する。

④ 早朝覚醒時に出現する異常感覚が特徴である。

⑤ 選択的セロトニン再取り込み阻害薬SSRIによって症状が改善する。

出典:第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
正答は ①妊婦に多い ②鉄欠乏性貧血患者に多い

むずむず脚症候群

むずむず脚症候群は Restless legs症候群(RLS)の邦訳です。レストレスレッグズ症候群とも呼ばれます。

レストレスレッグス症候群(従来はむずむず脚症候群と呼ばれていました)は、夕方から深夜にかけて、下肢を中心として、「ムズムズする」「痛がゆい」「じっとしていると非常に不快」といった異常な感覚が出現してくる病気です。足を動かすとこの異常感覚はすぐに消えるのですが、じっとしていると再び出現してきます。

出典:レストレスレッグス症候群|e-ヘルスネット

このように下肢のムズムズ感が生じる疾患です。

以下に特徴をまとめました。

  • 下肢の不快な感覚に伴って、足を動かしたいという衝動が生じる
  • 静かに横になったり座っている状態で出現・増悪する
  • 運動によって症状が改善する
  • 夕方や夜間に増悪する

選択肢の解説

①妊婦に多い

むずむず脚症候群では、妊産婦に高確率で合併することが知られています。

多くの場合は、産後に治まっていきますが、妊娠・出産回数が多くなるほど症状が発現する確率が高くなるようです。

妊娠後の女性は貧血になることが多く、そのため、むずむず脚症候群を合併する確率が高いともいわれています。

また、月経が酷い人も同様の理由でむずむず脚症候群になりやすいです。

以上のことから、選択肢①「妊婦に多い」は正しい選択肢といえます。

②鉄欠乏性貧血患者に多い

むずむず脚症候群の作用機序として

ドーパミンの機能低下

が代表的なものと挙げられています。

一般的に、脳内の鉄を利用する機能の異常が、ドーパミンの代謝異常を悪化させるとされているため、むずむず脚症候群では、鉄欠乏が認められます。

そのため、鉄欠乏性貧血はむずむず脚症候群の大きなリスク因子といえます。

以上のことから、選択肢②「鉄欠乏性貧血患者に多い」は正しい記述となります。

③運動によって症状は増悪する

詳細なメカニズムはわかりませんが、軽い運動をすることで症状が改善するというのは、むずむず脚症候群の大きな特徴とされています。

一方で、激しい運動をすると症状が増悪する可能性もあるため注意が必要です。

そのため、選択肢③「運動によって症状は増悪する」は基本的には不適切と考えて差し支えないでしょう。「激しい」という文言が含まれている場合には正しい記述になりますので見極められるようになりましょう。

④早朝覚醒時に出現する異常感覚が特徴である

先にも述べたように、むずむず脚症候群の大きな特徴として、夕方・夜間にかけて症状が悪化することが挙げられます。

このような特徴のため、睡眠障害(不眠症状)が出現することも多いとされています。

よって選択肢④「早朝覚醒時に出現する異常感覚が特徴である」は不適切な記述といえます。

⑤選択的セロトニン再取り込み阻害薬SSRIによって症状が改善する

むずむず脚症候群では、ドーパミン受容体を活性化させる「ドーパミン受容体作動薬」や「抗てんかん薬」が薬物療法として用いられます。

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は症状の改善ではなく、副作用としてむずむず脚症候群が見られることもあります。

よって、選択肢⑤「選択的セロトニン再取り込み阻害薬SSRIによって症状が改善する」は不適切な記述といえます。

まとめ

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)の特徴は以下の通りです。

  • 下肢の不快な感覚に伴って、足を動かしたいという衝動が生じる
  • 静かに横になったり座っている状態で出現・増悪する
  • 運動によって症状が改善する
  • 夕方や夜間に増悪する

原因としては、ドーパミンの代謝異常が知られ、①鉄欠乏(鉄欠乏性貧血など)、②妊娠、③薬剤性(SSRIや抗精神病薬)などがリスクとして考えられる。