第3回公認心理師試験・午前問5は、遊戯療法と最も関係の深い人物を選ぶ問題です。
正答は② A. Freud(アンナ・フロイト)です。
この問題は、「遊戯療法を誰が最初に発明したか」を問うものではありません。選択肢の中で、児童分析・子どもの精神分析的治療と最も直接的に結びつく人物を選ぶ問題として整理すると解きやすくなります。
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【問5】遊戯療法と最も関係が深い人物
問5 遊戯療法と最も関係が深い人物として、正しいものを1つ選べ。
① A. Ellis
② A. Freud
③ A. T. Beck
④ H. A. Murray
⑤ J. B. Watson
正答:② A. Freud(アンナ・フロイト)
第3回公認心理師試験の午前問題冊子と正答は、公認心理師試験研修センターの公式ページで確認できます。
第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|公認心理師試験研修センター
② A. Freud が正しい理由
Anna Freud(アンナ・フロイト)は、子どもを対象とする精神分析的実践を体系化・発展させた代表的人物です。
Freud Museum Londonの解説では、Anna Freud以前にも子どもへの精神分析的実践は存在していましたが、Anna Freudはchild psychoanalysis(児童分析)を独自の治療形態として体系化し、精緻化した人物として位置づけられています。
子どもは成人のように自由連想を長時間行うことが難しいため、Anna Freudの実践では、言葉だけでなく、遊び、描画、行動観察などが子どもの表現を理解する重要な手がかりとして用いられました。
A. Freud → 児童分析・子どもの精神分析的治療 → 遊びや描画を含む子どもに適した表現手段
このつながりを押さえると、②を選べます。
「アンナ・フロイトが遊戯療法を最初に始めた」は言いすぎ
ここは旧記事から重要な修正点です。
遊びを子どもの治療に用いる歴史はAnna Freudだけから始まったわけではありません。Freud Museum Londonは、Anna Freud以前にも児童分析の試みがあり、Hermine Hug-Hellmuthが1913年に「Play Therapy」に関する論文を発表していたことを紹介しています。
また、Melanie Kleinも、子どもの分析におけるplay techniqueを独自に発展させた重要人物です。
したがって、試験対策としては、
「遊戯療法の唯一の創始者=Anna Freud」
と覚えるのではなく、
「この5人の選択肢の中では、児童分析・子どもの精神分析的治療に最も関係が深いのがAnna Freud」
と理解するのが正確です。
① A. Ellis:REBT
Albert Ellis(アルバート・エリス)は、Rational Emotive Behavior Therapy:REBT(論理情動行動療法)を発展させた人物です。
Albert Ellis Instituteによると、REBTは1950年代にEllisが発展させた認知行動療法の先駆的アプローチで、非合理的・自己阻害的な信念を検討し、より適応的な考え方へ修正していくことを重視します。
A. Ellis → REBT
と結びつけておきましょう。
③ A. T. Beck:認知療法・CBT
Aaron T. Beck(アーロン・T・ベック)は、認知療法、そして現在の認知行動療法(CBT)の発展に中心的な役割を果たした人物です。
Beck Instituteでは、BeckをCBTの主要な創始者として位置づけています。
A. T. Beck → 認知療法・CBT
が基本の対応です。
④ H. A. Murray:TAT・欲求理論
Henry A. Murray(ヘンリー・A・マレー)は、人格・動機づけ研究で知られ、Thematic Apperception Test:TAT(主題統覚検査)の開発に関わった人物です。
APA Dictionary of Psychologyでは、TATをHenry Alexander Murrayとその共同研究者によって開発された投影法検査として説明しています。
H. A. Murray → TAT・人格/欲求研究
と覚えます。
⑤ J. B. Watson:行動主義
John B. Watson(ジョン・B・ワトソン)は、行動主義(behaviorism)を代表する人物です。
APA Dictionary of Psychologyでは、行動主義は1913年にWatsonによって定式化された心理学上の立場として説明されています。
J. B. Watson → 行動主義
が基本対応です。
5人を対応づける
| 人物 | 代表的キーワード | 問5 |
|---|---|---|
| A. Ellis | REBT(論理情動行動療法) | 誤り |
| A. Freud | 児童分析、子どもの精神分析的治療 | 正答 |
| A. T. Beck | 認知療法、CBT | 誤り |
| H. A. Murray | TAT、人格・欲求研究 | 誤り |
| J. B. Watson | 行動主義 | 誤り |
児童分析と遊びの関係
子どもの心理療法では、言葉だけでなく、遊びや描画などが重要なコミュニケーション手段になります。
Anna Freud Centreも、現在の子どもの心理療法について、幼い子どもではwordsだけでなくplayを通してコミュニケーションすることがあると説明しています。
ただし、現在の「play therapy」は、精神分析的児童治療だけを指す単一の技法ではありません。さまざまな理論的背景をもつ実践があります。
そのため、この過去問では歴史上の人物と代表的業績の対応として解くのが適切です。
旧記事から修正したポイント
旧記事では、Anna Freudについて「遊戯療法を始めた」「遊戯療法の発端は児童精神分析」と読める説明がありました。
しかし、遊びを治療に用いる歴史にはAnna Freud以前の実践もあり、Melanie Kleinなど複数の重要人物がいます。
今回の改訂では、
- Anna Freudを「遊戯療法の唯一の創始者」としない
- Anna Freudの中心的業績を児童分析の体系化・発展として整理する
- 遊び・描画を子どもの表現理解に用いたことを説明する
- 他の4人は、それぞれREBT、認知療法、TAT、行動主義との対応で整理する
- 人物名の丸暗記ではなく、代表的理論・技法との対応で覚える
という形に修正しました。
試験対策ではここまで覚える
- A. Freud → 児童分析・子どもの精神分析的治療
- A. Ellis → REBT
- A. T. Beck → 認知療法・CBT
- H. A. Murray → TAT・人格/欲求研究
- J. B. Watson → 行動主義
- Anna Freudを「遊戯療法の唯一の創始者」と断定しない
問5の中心:5人の代表的業績を対応づける。遊戯療法との最も深い関係はA. Freud
まとめ
第3回公認心理師試験・午前問5の正答は、② A. Freud(アンナ・フロイト)です。
Anna Freudは、児童分析を独自の治療形態として体系化・発展させ、子どもの治療において遊びや描画などの表現も重視しました。
ただし、遊戯療法の歴史をAnna Freud一人に還元するのは正確ではありません。試験では、Anna Freud=児童分析、Ellis=REBT、Beck=認知療法、Murray=TAT、Watson=行動主義という対応を整理しておきましょう。
参考資料
- 公認心理師試験研修センター|第3回公認心理師試験 合格発表・問題冊子・正答
- 公認心理師試験研修センター|第3回公認心理師試験 午前問題
- Freud Museum London|Anna Freud and Child Psychoanalysis
- Anna Freud|Our history
- Albert Ellis Institute|REBT
- Beck Institute|Dr. Aaron T. Beck
- APA Dictionary of Psychology|Thematic Apperception Test (TAT)
- APA Dictionary of Psychology|behaviorism



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