公認心理師資格試験 過去問解説 第5回 午前 問25 少年院における処遇

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第5回公認心理師試験・午前問25は、少年院における矯正教育と社会復帰支援について問う問題です。

少年院は単に「非行少年を収容する施設」ではありません。個々の在院者の特性や教育上の必要性に応じて矯正教育を行い、就労・修学・福祉・医療・帰住先の調整など、出院後の社会生活まで見据えた支援を行います。

問題

少年院における処遇について、適切なものを1つ選べ。

① 公共職業安定所と連携し、出院後の就労先の確保のため就労支援を行う。
② 矯正教育課程のうち医療措置課程の実施が指定されているのは、第2種少年院である。
③ 在院中の少年に対して、高等学校卒業程度認定試験を受験する機会を与えることはできない。
④ 仮退院中の少年の相談に応じることはできるが、退院した少年の相談に応じることはできない。
⑤ 障害を有する在院者には、適当な帰住先の有無にかかわらず、出院後速やかに福祉サービスを受けられるよう特別調整を行う。

正答は①です。少年院では、公共職業安定所(ハローワーク)等と連携し、在院中から職業相談、職業紹介、求人情報の提供などの就労支援を行っています。

少年院の役割

少年院は、家庭裁判所の保護処分などによって送致された少年等に対し、矯正教育や社会復帰支援を行う法務省所管の施設です。少年一人ひとりについて、少年鑑別所や家庭裁判所から得られた情報も参考にしながら個人別矯正教育計画を作成し、教育上の必要性に応じた処遇を行います。

少年鑑別所・法務少年支援センターの役割との違いは、第3回問55「法務少年支援センター」で整理しています。少年院と少年鑑別所を混同しないことが重要です。

矯正教育の5領域

  • 生活指導:自立した社会生活に必要な知識・生活態度
  • 職業指導:勤労意欲と職業上必要な知識・技能
  • 教科指導:基礎学力、義務教育、高卒認定試験等の学習支援
  • 体育指導:基礎体力の向上
  • 特別活動指導:社会貢献活動、文化・余暇活動など

少年院の処遇を規律維持や生活指導だけで理解するのではなく、教育と社会復帰支援を一体として捉える必要があります。

少年院の種類と矯正教育課程

試験で特に押さえたいのは、医療措置課程は第3種少年院に関係するという点です。第3種少年院は、心身に著しい障害があり、医療を必要とする者を対象とします。

① ハローワークと連携した就労支援

適切であり、正答です。出院後の生活を安定させるためには住居だけでなく就労先の確保が重要です。少年院では公共職業安定所と連携し、職業相談、職業紹介、求人情報の提供などを行います。

② 医療措置課程は第2種少年院

誤りです。医療措置課程は第3種少年院に位置づけられます。名称だけを暗記せず、どのような在院者にどのような教育・医療上の配慮が必要かを対応づけて理解します。

③ 高卒認定試験を受験する機会は与えられない

誤りです。少年院では教科指導の一環として、高等学校卒業程度認定試験の受験指導が行われています。現在は通信制高校での学習機会を確保し、在院中から出院後まで学びを継続する取組も進められています。

④ 退院した少年の相談には応じられない

誤りです。少年院は、出院者やその保護者等から相談を求められた場合、相当と認められるときには相談に応じることがあります。

また、仮退院者については保護観察所との連携が重要です。保護観察所が行う生活環境の調整については、第4回問24「保護観察所・生活環境の調整」も関連します。

⑤ 障害があれば帰住先に関係なく特別調整する

誤りです。特別調整は障害があることだけを条件として全員に行われるわけではありません。法務省の犯罪白書では、障害を有し、かつ、適当な帰住先がない在院者について、出院後速やかに福祉サービスを受けられるよう特別調整を実施することが示されています。

「少年院」と「児童自立支援施設」の違い

少年院は法務省所管の矯正施設である一方、児童自立支援施設は児童福祉法に基づく児童福祉施設です。児童自立支援施設については、第3回問65「児童自立支援施設」で確認できます。

表面的な共通点だけでなく、根拠法・所管・入所経路・支援目的を分けて理解することが重要です。

少年院と保護観察所の連携

社会復帰支援では、在院中に少年院だけで完結するのではなく、出院後を見据えて保護観察所、福祉機関、医療機関、学校、ハローワーク等との連携が行われます。帰住先、就労、修学、医療・福祉サービスなどの生活基盤を整えることが重要です。

少年院の処遇は「個別化された教育」として理解する

少年院の処遇は、在院者全員に同じ内容を一律に行うものではありません。犯罪白書では、少年院長が個々の在院者の特性に応じて、矯正教育の目標、内容、方法、期間等を定めた個人別矯正教育計画を策定し、これに基づいて教育を行うことが示されています。

このため、少年院を単に「収容して規律を教える施設」と捉えると不十分です。生活指導、職業指導、教科指導、体育指導、特別活動指導を組み合わせ、出院後の社会生活に必要な能力を育てることが処遇の中核です。

矯正教育の5領域を役割で整理する

領域 主な目的 試験で結びつけたい語
生活指導 自立した社会生活に必要な態度・知識 問題行動、生活設計、対人関係
職業指導 勤労意欲・技能の習得 資格、職業適性、就労
教科指導 基礎学力や進学・就職に必要な学力 義務教育、高卒認定、復学
体育指導 健全な心身・体力 協調性、健康
特別活動指導 社会性・自主性・協同 社会貢献活動、文化活動

選択肢問題では、これらを「少年院ではできないこと」として出してくる場合があります。実際には、就労も学習も社会復帰に必要な教育として位置づけられています。

就労支援はなぜ正答になるのか

正答①のポイントは、少年院の社会復帰支援が施設内で完結しないことです。出院後の就職につなげるため、公共職業安定所(ハローワーク)など外部機関と連携して職業相談・職業紹介等を行います。

厚生労働省の刑務所出所者等総合的就労支援対策でも、ハローワークと矯正施設等が連携して職業相談・職業紹介等を行う枠組みが示されています。つまり、矯正教育の職業指導と、実際の雇用への接続が連続しています。

就労先の確保は収入だけの問題ではなく、生活リズム、社会的役割、対人関係、居住の安定など、出院後の生活基盤全体と関係します。

少年院の「種類」と「矯正教育課程」を混同しない

選択肢②は、少年院の種類と医療ニーズを入れ替えたひっかけです。大きく整理すると、第2種は犯罪的傾向が進んだ者、第3種は心身に著しい障害がある者を対象とします。

種類 基本的な対象 覚え方
第1種 心身に著しい障害がない者(第2種を除く) 基本区分
第2種 心身に著しい障害がなく、犯罪的傾向が進んだ者 犯罪的傾向
第3種 心身に著しい障害がある者 医療ニーズ
第4種 少年院で刑の執行を受ける者 刑の執行

したがって、「医療措置課程=第2種」とする選択肢②は誤りです。数字だけでなく、犯罪的傾向なのか、心身の障害・医療ニーズなのかという区分軸で覚えると判断しやすくなります。

少年院でも学習機会は保障される

選択肢③は「少年院にいる間は高卒認定試験を受けられない」としていますが、誤りです。犯罪白書では、法務省と文部科学省の連携により少年院内で高等学校卒業程度認定試験が実施されていることが示されています。

教科指導は、義務教育未終了者への学習だけでなく、復学、進学、就労に必要な学力を身につけることも含みます。社会復帰支援を「就職」だけに狭めず、学び直し・復学・進学まで含めて考えることが重要です。

退院後の相談は完全に切れるわけではない

選択肢④は「仮退院中は相談できるが、退院した少年は相談できない」としていますが、犯罪白書では、少年院が出院者またはその保護者等から交友関係、進路選択等について相談を求められた場合、相当と認めるときは相談に応じることが示されています。

仮退院した者については、保護観察所と連携して対応します。保護観察所の業務全体は、第3回問123「保護観察所の業務」とつなげると、少年院での施設内処遇から保護観察所による地域内処遇への流れが整理できます。生活環境調整については、本文前半でリンクした第4回問24も関連します。

特別調整の条件を正確に読む

選択肢⑤で注意したいのは、「障害を有する」という条件だけで特別調整が行われるように書かれている点です。実際には、障害を有し、かつ適当な帰住先がないなど、出院後の福祉的支援につなぐ必要性を含めて特別調整が行われます。

制度問題では、このような「必要条件を一つ落として一般化する」選択肢がよく出ます。「障害あり=全員」と読み替えず、帰住先や福祉サービスへの接続まで確認することが重要です。

少年院・少年鑑別所・児童自立支援施設・保護観察所を比較する

機関 主な役割 関連リンク
少年院 矯正教育・社会復帰支援 本問
少年鑑別所/法務少年支援センター 鑑別、地域援助等 第3回問55と関連
児童自立支援施設 児童福祉法に基づく児童福祉施設 第3回問65と関連
保護観察所 保護観察、生活環境調整等 第3回問123と関連

いずれも非行や社会適応に関係する場面があるため混同しやすいですが、根拠法・所管・関与する段階・主な機能で区別します。

少年司法の流れの中で覚える

少年事件では、家庭裁判所での審判前後に少年鑑別所が関わり、保護処分として少年院送致となった場合には少年院で矯正教育が行われます。仮退院後は保護観察所による地域内処遇につながります。

この流れを一つの線として理解しておくと、「少年院が担当すること」「保護観察所が担当すること」「少年鑑別所が担当すること」を問う問題でも判断しやすくなります。

社会復帰支援は「就労先」だけを整えるものではない

少年院から地域生活へ移行するときには、就労だけでなく、帰住先、家族関係、修学、医療、福祉サービス、金銭管理、交友関係など複数の生活課題が関係します。犯罪白書でも、保護者に対する情報提供や面接、進路や出院後生活についての調整などが行われていることが示されています。

したがって、正答①の就労支援は重要な一領域ですが、少年院の社会復帰支援全体はより広いものです。試験では「少年院=施設内教育だけ」と狭く捉えないことがポイントです。

仮退院と退院を区別する

仮退院した者は、施設を出た後も保護観察のもとで地域生活を送ります。そのため、保護観察所との連携が中心になります。一方、退院後であっても、少年院が出院者や保護者等からの相談に一切応じられないわけではありません。

選択肢④は、この「仮退院後の保護観察」と「退院後の相談対応」を混同させる形になっています。制度問題では、「誰が主担当か」と「関与できるか」を分けて読むことが重要です。

公認心理師が司法・犯罪領域で見るべき視点

公認心理師試験では、制度名の暗記だけでなく、心理職がどのような情報を扱い、どの機関と連携するかという観点で問われることがあります。少年院では、本人の行動上の問題だけでなく、認知・発達特性、情緒、家族関係、学習歴、職業適性、社会的資源などを踏まえて支援を組み立てます。

出院後の再適応を考えると、心理的支援だけで完結せず、教育、福祉、雇用、保護観察、医療との連携が必要です。この「多機関連携」という視点は、司法・犯罪領域の事例問題にもつながります。

選択肢の誤り方をパターンで覚える

  • ②:施設種別の取り違え(第2種と第3種)
  • ③:実際に存在する教育機会を否定(高卒認定)
  • ④:相談可能性を過度に限定(退院者には一切不可)
  • ⑤:制度要件を一つ落として一般化(帰住先の条件を無視)

このように見ると、本問は少年院制度の細かな暗記だけでなく、制度の対象・要件・役割を正確に読む力を試しています。

試験での見分け方

  • 就労支援:ハローワーク等と連携して行う
  • 医療措置課程:第3種少年院
  • 教科指導:高卒認定試験の受験指導も含まれる
  • 出院後相談:退院したら一切関与できない、ではない
  • 特別調整:障害+適当な帰住先がないことが重要
  • 社会復帰支援:就労・修学・帰住先・医療・福祉を横断して捉える

まとめ

少年院の処遇を理解する鍵は、矯正教育と社会復帰支援を連続したプロセスとして捉えることです。第5回問25では、ハローワークと連携した就労支援が正答です。他の選択肢は、少年院の種別、学習機会、出院後相談、特別調整の要件を一部取り違えています。

参考資料

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