公認理師資格試験 過去問解説 問97 MMSE ミニメンタルステート

公認理師資格試験 過去問解説 問97 MMSE ミニメンタルステート

第3回公認心理師試験の過去問や正答は以下のサイトで入手可能です。

第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

 

公認心理師資格試験の過去問をしっかりと振り返ることで「自分に必要な知識は何か」を知るための手がかりとしてくださいね!

 

 

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【問97】MMSE(Mini-Mental State Examination)

問97 MMSE について、正しいものを1つ選べ。

① 非言語性課題が3問ある。

② 人の見当識課題は含まれない。

③ シリアル7課題100 から7を順に引くは4回まで行う。

④ 直後再生課題に続く4課題の後に、遅延再生課題が実施される。

⑤ 直後再生課題では、全ての名称を言えるまで4回繰り返して尋ねる。

出典:第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

 

正答は ②

 

② 人の見当識課題は含まれない

となります。

 

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Mini-Mental State Examination

Mini-Mental State Examination(ミニメンタルステート)検査は、認知機能の低下を評価するための心理検査で、認知症のスクリーニングなどでよく使用されます。

 

多くの場合、MMSEと呼ばれています。

 

項目は以下のもので構成されています。

  • 時間の見当識 5点
  • 場所の見当識 5点
  • 短期記憶 3点
  • 計算 5点
  • 遅延再生 3点
  • 言語能力 3点
  • 構成能力 6点

 

合計得点は30点満点でカットオフは以下の通りです。

  • 23点以下 認知症の疑い
  • 27点〜24点 軽度認知障害(MCI)疑い

 

選択肢の解説

MMSEの詳細な実施方法が問われる問題になりますが、詳細を公開し過ぎるのも、検査の妥当性を損なう恐れがあるため、選択肢のピンポイントとなる部分のみ解説していきます。

 

① 非言語性課題が3問ある

MMSEでは構成能力を測定する課題のなかに以下の非言語性課題が含まれています。

 

  • 複数指示の理解と実行
  • 読字での指示の理解と実行
  • 書字
  • 描画

 

課題という枠組みでは4つの課題、点数でみると6点分(6問)あることになります。

 

よって、選択肢①「非言語性課題が3問ある」 は問題の回答として誤っていると考えられます。

 

② 人の見当識課題は含まれない

MMSEでは「時間の見当識」「場所の見当識」は課題として含まれていますが、「人の見当識」は含まれていません。

 

一般的な認知症の経過では、「人の見当識」は最後に障害されていき、初期段階では「時間・場所」の見当識障害が目立ちます

 

そのため、スクリーニング検査では「人の見当識」は含まれていない場合も多いと考えられます。

 

よって、選択肢②「人の見当識課題は含まれない」は正しい記述となるため、選択肢②が正当になりますね。

 

③ シリアル7課題100 から7を順に引くは4回まで行う

MMSEでは、「100ー7」を合計5回まで実施します。ちなみに、長谷川式では2回までです。

 

「100ー7」が例えば92と誤答で0点であったとしても、誤答からの減法である「92ー7」が85と正しければその部分は1点をつけることが可能ということは押さえておきましょう。

 

選択肢③「シリアル7課題100から7を順に引くは4回まで行う」は、正しくは「5回まで」となるため、問題の回答として不適切になります。

 

④ 直後再生課題に続く4課題の後に、遅延再生課題が実施される

MMSEでは、直後再生課題のあとで、1課題のみ(100から7を順に引く)を挟んで遅延再生課題が実施されます。

 

よって、選択肢④「直後再生課題に続く4課題の後に、遅延再生課題が実施される」は不適切な回答といえます。

 

⑤ 直後再生課題では、全ての名称を言えるまで4回繰り返して尋ねる

直後再生課題では、3つの名称全てが言えるまで繰り返し尋ねるのですが、最大6回までと決められています。

 

そのため、選択肢⑤「直後再生課題では、全ての名称を言えるまで4回繰り返して尋ねる」は不適切な回答となります。

 



 

まとめ

第3回公認心理師資格試験の問97は、Mini Mental State Examination:MMSEについて問題でした❗️

 

実施方法の詳細を知っていないと回答できない問題構成になっていましたね。

 

この記事では、検査実施法の詳細は割愛しますが、検査の大まかな項目とカットオフは押さえておきましょう。

 

検査項目

  • 時間の見当識 5点
  • 場所の見当識 5点
  • 短期記憶 3点
  • 計算 5点
  • 遅延再生 3点
  • 言語能力 3点
  • 構成能力 6点

 

カットオフ

  • 23点以下 認知症の疑い
  • 27点〜24点 軽度認知障害(MCI)疑い