公認心理師資格試験 過去問解説 第6回 午前 問49|働き方改革関連法と過重労働による健康障害防止

第6回公認心理師試験 午前問49 働き方改革関連法と過重労働対策の解説図 公認心理師試験

第6回公認心理師試験・午前問49は、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」、いわゆる働き方改革関連法に基づく取組を見分ける問題です。

正答は ④ 過重労働による健康障害の防止 です。

働き方改革関連法では、長時間労働の是正が大きな柱の一つです。時間外労働の上限規制などを通して長時間労働を抑制することは、過重労働による心身の健康障害を防ぐことと直接つながります。

本問では、「職場の健康に関係する取組なら何でも働き方改革関連法」と考えないことが重要です。

第6回公認心理師試験 午前問49 働き方改革関連法と過重労働対策の解説図

問題

働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律に基づいた取組として、最も適切なものを1つ選びます。

  1. 健康経営の推進
  2. ハラスメントの防止
  3. 円滑な職場復帰の支援
  4. 過重労働による健康障害の防止

正答は ④ 過重労働による健康障害の防止 です。

正答は④|働き方改革の中心に「長時間労働の是正」がある

働き方改革関連法は、労働者が多様な働き方を選択できる社会を目指し、複数の労働関係法令を一括して改正したものです。

大きな方向性には、

  • 長時間労働の是正
  • 多様で柔軟な働き方の実現
  • 雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保

などがあります。

公認心理師試験では、産業・労働領域の制度問題として、特に長時間労働と健康管理のつながりが重要です。

長時間労働が続けば、

  • 睡眠不足
  • 疲労の蓄積
  • 循環器疾患のリスク
  • メンタルヘルス不調
  • 判断力や集中力の低下
  • 事故リスク

などにつながる可能性があります。

そのため、労働時間そのものを規制することは、過重労働による健康障害を防止するための重要な制度的介入です。

時間外労働の上限規制

働き方改革関連法による労働基準法改正では、時間外労働の上限が法律上定められました。

一般的な原則は、

  • 月45時間
  • 年360時間

です。

臨時的な特別の事情があり、労使が合意する場合でも、原則として、

  • 年720時間以内
  • 単月100時間未満(休日労働を含む)
  • 複数月平均80時間以内(休日労働を含む)
  • 月45時間を超えられるのは年6か月まで

という上限があります。

なお、業種・職種によって特例があります。特に建設業、自動車運転業務、医師などでは、2024年4月から特例を伴う上限規制が適用されています。

試験対策では細部を丸暗記する前に、

働き方改革関連法 → 長時間労働の是正 → 時間外労働の上限規制 → 過重労働による健康障害の防止

という流れを押さえることが重要です。

過重労働対策は「時間を減らす」だけではない

厚生労働省は、過重労働による健康障害を防ぐために、

  • 時間外・休日労働時間の削減
  • 年次有給休暇の取得促進
  • 健康管理体制の整備
  • 健康診断
  • 長時間労働者への医師による面接指導
  • 必要な事後措置

などを重視しています。

心理職が産業領域で関わる場合、本人のストレスや認知だけを扱うのではなく、労働時間や業務負荷という環境要因を見ることが必要です。

長時間労働者への具体的な対応は、第3回問144|長時間労働者の面接指導も合わせて確認すると理解が深まります。

① 健康経営の推進が正答ではない理由

健康経営は、従業員の健康保持・増進を経営的視点から考え、戦略的に実践する考え方です。

重要な取組ですが、健康経営そのものが働き方改革関連法に基づいて新たに制度化された取組というわけではありません。

働き方改革と方向性が重なる部分はありますが、設問では「法律に基づいた取組」を聞いています。

したがって①より④が適切です。

② ハラスメント防止が正答ではない理由

職場のハラスメント防止は非常に重要です。

ただし、パワーハラスメント防止措置の事業主義務は、労働施策総合推進法の改正などによって整備されたものであり、本問が問う働き方改革関連法の中心的な取組とは別に整理する必要があります。

試験では、

労働安全衛生・労働時間の制度

と

ハラスメント防止の制度

を一括りにしないことがポイントです。

③ 円滑な職場復帰支援が正答ではない理由

メンタルヘルス不調などで休業した労働者への職場復帰支援は、産業保健における重要な実務です。

しかし、「円滑な職場復帰の支援」自体を働き方改革関連法の代表的取組として選ぶのは適切ではありません。

職場復帰支援については、第4回問20|職場復帰支援で、正式な復職決定前の試し出勤や、主治医・産業保健スタッフの役割分担などを整理しています。

産業メンタルヘルスでは「予防段階」を区別する

産業領域では、制度と同時に予防の考え方も頻出します。

たとえば、

  • 一次予防:不調が生じる前の予防
  • 二次予防:早期発見・早期対応
  • 三次予防:再発防止・職場復帰支援

という整理があります。

長時間労働そのものを抑制する取組は、労働環境を整えて健康障害を予防するという意味で、一次予防的な性格を持ちます。

一方、高ストレス者への面接指導などは、早期発見・対応という二次予防的な側面があります。

この区別は、第5回問20|職場のメンタルヘルス対策と合わせて整理すると有効です。

治療と仕事の両立支援との違い

治療と仕事の両立支援は、疾病を抱える労働者が治療を続けながら働けるよう、本人の申出を起点として就業上の措置や配慮を検討する取組です。

これは長時間労働の上限規制とは異なる制度的文脈です。

第4回問58|治療と仕事の両立支援も合わせて確認すると、

  • 働き方改革
  • 過重労働対策
  • 職場復帰支援
  • 治療と仕事の両立支援

を混同しにくくなります。

2026年時点での注意

本問は2023年に実施された第6回試験の問題です。

その後も働き方改革関連法に基づく制度運用は続いており、2024年4月には、建設業、自動車運転業務、医師などにも時間外労働の上限規制が適用されました。

ただし、職種ごとに特例や適用条件があります。

試験問題を解くときは「第6回試験当時に何が問われたか」を押さえ、実務で用いる際は最新の法令・厚生労働省資料を確認することが必要です。

試験での見分け方

制度問題では、似た「良い取組」が並びます。

そこで、

その取組は、どの法律・制度に直接ひも付いているか

を確認します。

本問では、

  • 健康経営 → 経営的視点からの健康施策
  • ハラスメント防止 → ハラスメント関連法制
  • 職場復帰支援 → メンタルヘルス・復職支援
  • 過重労働防止 → 長時間労働の是正・上限規制

と整理します。

「全部大切だから迷う」のではなく、制度の根拠と目的を対応させることが正答への近道です。

まとめ

第6回公認心理師試験・午前問49の正答は ④ 過重労働による健康障害の防止 です。

働き方改革関連法では、長時間労働の是正が主要な柱の一つであり、時間外労働の上限規制などが整備されました。

試験では、

働き方改革関連法 → 長時間労働の是正 → 過重労働による健康障害防止

という対応関係を押さえてください。

参考資料

  • 一般財団法人 公認心理師試験研修センター|第6回公認心理師試験 午前問題・正答
  • 厚生労働省|「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について
  • 厚生労働省|過重労働による健康障害を防ぐために

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