公認心理師資格試験 過去問解説 第6回 午前 問46|人事考課とストレスチェック結果

第6回公認心理師試験 午前問46 人事考課とストレスチェック結果の解説図 公認心理師試験

第6回公認心理師試験・午前問46は、昇進や配置などの人的資源管理で行われる人事考課の評価指標として不適切なものを問う問題です。正答は ⑤ ストレスチェックの結果 です。

本問のポイントは、ストレスチェックが「職場で実施する検査だから人事評価にも使える」と考えないことです。

ストレスチェックは、労働者本人が自分のストレス状態に気づき、必要に応じて面接指導や職場環境改善につなげるための制度です。

その結果は健康情報として慎重に取り扱う必要があり、昇進・配置・評価などの人事考課へ安易に利用してはいけません。

第6回公認心理師試験 午前問46 人事考課とストレスチェック結果の解説図

問題

昇進や配置などの人的資源管理で行われる人事考課において、事業者が労働者を評価する指標として、誤っているものを1つ選びます。

  1. 業績
  2. 態度
  3. 能力
  4. パーソナリティ
  5. ストレスチェックの結果

正答は ⑤ ストレスチェックの結果 です。

正答は⑤|ストレスチェック結果は人事考課の指標ではない

ストレスチェック制度は、労働安全衛生法に基づき、労働者の心理的な負担の程度を把握し、

  • 本人のセルフケア
  • 高ストレス者への医師面接
  • 職場環境改善

などにつなげる制度です。

一方、人事考課は、

  • 昇進
  • 昇格
  • 配置
  • 報酬
  • 人材育成

などの人的資源管理に利用される評価です。

ストレスチェック結果は、このような人事考課のために収集される情報ではありません。

したがって⑤が誤りです。

ストレスチェック結果は本人に直接通知される

ストレスチェック制度では、結果は原則として労働者本人へ直接通知されます。

本人の同意がなければ、個人のストレスチェック結果を事業者へ提供することはできません。

これは、労働者が、

「悪い結果が出たら昇進に不利になるのではないか」
「受検したら人事に知られるのではないか」

と心配して、制度を利用できなくなることを防ぐためにも重要です。

人事権を持つ者との分離

厚生労働省の指針では、本人の同意なくストレスチェック結果を扱う場合、人事に関する直接の権限を持つ者がその結果を扱わないようにする必要があります。

また、結果を取り扱う人事担当者についても、労働者の健康確保に必要な範囲を超えて人事に利用しないよう管理することが求められています。

つまり、制度設計の段階から、

健康情報と人事評価を安易に混ぜない

ことが重視されています。

ストレスチェック結果のみを理由とした不利益取扱いは禁止

厚生労働省は、

  • ストレスチェックを受けない
  • 結果の事業者提供に同意しない
  • 面接指導を申し出た
  • 面接指導を申し出ない

といったことを理由に、不利益な取扱いをすることを禁止しています。

また、

ストレスチェック結果のみを理由とした不利益な取扱い

も行ってはいけません。

したがって、ストレスチェックの結果をそのまま、

  • 昇進を見送る
  • 評価を下げる
  • 不利益な配置を行う

といった人事考課に利用することは、制度の趣旨に反します。

① 業績は人事考課で用いられる

業績は、個人や組織が設定された目標をどの程度達成したかを評価する指標です。

たとえば、

  • 売上
  • 目標達成率
  • 成果物
  • 担当業務の実績

などが含まれます。

人事考課では、成果を測定する業績評価が代表的な要素の一つです。

したがって①は適切です。

② 態度は人事考課で用いられる

態度評価では、仕事への取り組み方や組織行動を評価します。

たとえば、

  • 責任感
  • 協調性
  • 規律性
  • 積極性
  • チームへの貢献

などです。

ただし、評価者の主観が入りやすいため、実際の組織では評価基準や行動例を明確にする必要があります。

試験では「態度」は人事考課の代表的評価領域と整理します。

③ 能力は人事考課で用いられる

能力評価では、職務遂行に必要な知識・技能・判断力などを評価します。

たとえば、

  • 専門知識
  • 問題解決能力
  • コミュニケーション能力
  • マネジメント能力
  • 技術力

などです。

業績が「何を達成したか」を見るのに対して、能力は「仕事を遂行する力」を見ると整理すると分かりやすいです。

④ パーソナリティが正答ではない理由

パーソナリティは、業績・能力・態度ほど直接的な人事考課の代表3要素ではない場合があります。

しかし、人材配置や適性評価、管理職登用などでは、

  • 対人傾向
  • 行動特性
  • リーダーシップ傾向
  • 適性

など、パーソナリティに関連する情報が用いられることがあります。

本問で明確に不適切なのは⑤です。

ストレスチェックは健康確保のために実施するものであり、個人の人事評価へ利用する情報ではありません。

人事考課の代表的な3つの視点

試験対策では、人事考課を、

成果・能力・態度

で整理すると分かりやすくなります。

業績評価

何を達成したか。

能力評価

仕事を遂行する能力をどの程度持つか。

態度評価

仕事へどのように取り組んでいるか。

この3つは人事考課の基本的な分類として覚えておくと便利です。

人事評価と健康情報を混ぜない

企業には労働者の健康を守る責任があります。

一方で、

健康状態に関する情報を人事評価へ無制限に利用できるわけではありません。

特にメンタルヘルスに関する情報は、本人のプライバシーや不利益取扱いの防止という観点から慎重な管理が必要です。

公認心理師が産業領域で働く場合にも、

  • どの情報を誰へ共有できるか
  • 本人同意が必要か
  • 健康確保に必要な範囲か
  • 人事権を持つ者が直接扱ってよいか

を意識する必要があります。

集団分析は人事評価ではない

ストレスチェックには、個人結果だけでなく集団分析もあります。

たとえば部署単位で、

  • 仕事量
  • コントロール
  • 上司支援
  • 同僚支援

などの傾向を分析し、職場環境改善へ活用します。

この場合も、

特定の個人を評価するために使うのではなく、職場全体の改善につなげる

ことが目的です。

第5回問72「ストレスチェック」とつなげる

第5回午前問72では、職業性ストレス簡易調査票のプロフィールを読み、仕事の与えられ方への不満を確認する問題がありました。

問72では、

ストレスチェック結果を本人支援のためにどう読むか

が問われました。

今回の問46では、

その結果を人事評価へ使ってよいか

が問われています。

両方を組み合わせると、

  • 結果は本人の気づきと健康支援へ使う
  • 必要な場合は医師面接や職場環境改善へつなぐ
  • 人事考課へそのまま流用しない

という制度全体の考え方が理解できます。

第3回問27「職場のメンタルヘルス」とつなげる

第3回問27では、産業医、保健師、人事労務スタッフなどの役割が問われました。

人事労務スタッフもメンタルヘルス対策には関与します。

しかし、

関与することと
個人のストレスチェック結果を人事評価に使うこと

は別です。

人事労務部門は、労働時間、配置、職場環境などの改善に関与できますが、健康情報の取扱いには制限があります。

「配置転換」と書いてあれば全部ダメではない

ここも注意が必要です。

ストレスチェック後の医師面接で、健康確保のために必要と判断されれば、

  • 労働時間の短縮
  • 業務内容の変更
  • 就業場所の変更
  • 配置上の配慮

などが検討されることがあります。

これは「人事評価」ではなく、健康確保のための就業上の措置です。

したがって、

ストレスチェックに基づく配置変更は全部禁止

と覚えるのは誤りです。

重要なのは、

  • 医師の意見
  • 本人の状況
  • 健康確保の必要性
  • 不利益取扱いになっていないか

という手続きを踏むことです。

ストレスチェック制度の目的

ストレスチェック制度の中心的な目的は、メンタルヘルス不調の未然防止です。

具体的には、

  1. 労働者が自分のストレスに気づく
  2. 必要に応じてセルフケアを行う
  3. 高ストレス者は医師面接へつながる
  4. 職場環境の問題を把握する
  5. 職場環境改善につなげる

という流れです。

「誰が昇進に適しているか」を決める制度ではありません。

公認心理師が産業領域で注意すること

産業領域では、公認心理師が、

  • ストレスチェック
  • 相談対応
  • 復職支援
  • 職場環境改善
  • メンタルヘルス教育

などに関わることがあります。

その際は、相談者の健康支援と会社の人事管理を明確に区別する必要があります。

本人の健康情報が人事判断へ直接使われるような運用になると、相談関係への信頼も損なわれます。

試験での見分け方

本問では、

業績・態度・能力 → 人事考課

と整理します。

そして、

ストレスチェック → 健康管理・一次予防

と分けます。

「昇進・配置のための評価指標」として明確に不適切なのは⑤です。

まとめ

第6回公認心理師試験・午前問46の正答は ⑤ ストレスチェックの結果 です。

ストレスチェックは、本人のストレス状態の把握と健康支援、職場環境改善のための制度であり、人事考課のための検査ではありません。

試験では、

人事考課=業績・能力・態度など
ストレスチェック=健康確保・メンタルヘルス一次予防

と区別しておきましょう。

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参考資料

  • 一般財団法人 公認心理師試験研修センター|第6回公認心理師試験 午前問題・正答
  • 厚生労働省|ストレスチェック制度
  • 厚生労働省|心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針
  • 厚生労働省|雇用管理分野における個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項

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