公認心理師資格試験 過去問解説 第5回 午前 問63|Bordinの作業同盟と面接目標

公認心理師過去問第5回63 公認心理師試験

第5回公認心理師試験・午前問63は、教育相談の親面接を題材に、E. S. Bordinの作業同盟〈治療同盟〉に基づく対応を問う問題です。正答は③ 面接で何が違ってきたらよいかを尋ね、目標について話し合うです。

Bordinの作業同盟は、治療・支援における目標〈goals〉、課題〈tasks〉、絆〈bond〉の3要素で整理されます。本事例では、相談者と公認心理師の間で「この面接で何を目指すのか」が十分共有されていないことが中心です。

作業同盟を別の過去問でも確認したい場合は、第3回問127|作業同盟・治療同盟も参考になります

公認心理師資格試験 過去問解説 問127 作業同盟・治療同盟
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問題

45歳の女性Aは、小学4年生の息子Bの不登校について教育センターの公認心理師Cに相談しています。親子並行面接の親面接で、AはBの話をあまりせず、夫から受けてきたひどい扱いを軽い調子で話すことが多くなっています。CはAが傷ついてきたと推察しながら、その軽い話しぶりに合わせて聞き続け、次第に面接を負担に感じるようになりました。Bordinの作業同盟の概念から、Cの対応方針として最も適切なものを選ぶ問題です。

選択肢の要点

  1. Cを夫に見立て、夫に言いたいことをロールプレイする。
  2. Cが面接を負担に感じる気持ちを逆転移として自覚し、その気持ちを重視する。
  3. 相談に来ることで何が違ってきたらよいかを尋ね、面接目標を話し合う。
  4. 親子並行面接なので、Bへの関わり方だけに焦点を戻し続ける。
  5. 話の内容と様子の不調和を取り上げ、防衛への気づきを促す。

正答

③

Bordinの作業同盟とは

Bordinは、特定の心理療法理論に限定されない作業同盟の枠組みとして、目標への合意、課題への合意・協働、治療者とクライエントの絆という3要素を示しました。支援者と相談者が「どこへ向かうか」「何をするか」「一緒に取り組める関係か」を共有する考え方です。

3要素① 目標〈goals〉

目標は、相談や治療によってどのような変化を目指すのかについての合意です。支援者が一方的に決めるのではなく、相談者自身が望んでいる変化を言葉にし、双方で共有します。

本問の③は、「相談に来ることで、どんなことが違ってきたらよいと思うか」と尋ねることで、Aの望む変化を確認しています。これはまさに目標の共有をつくる対応です。

3要素② 課題〈tasks〉

課題は、共有した目標に近づくために、面接の中や日常生活で何に取り組むかという部分です。例えば、気持ちを整理する、親子の関わりを振り返る、具体的な行動を試すなどが課題になり得ます。

重要なのは、支援者だけが「これをすべき」と決めるのではなく、相談者がその活動を目標につながるものとして納得できることです。

3要素③ 絆〈bond〉

絆は、支援者と相談者の間の信頼、尊重、安心感などを含む関係面です。Aが安心して自分の体験を話せることは大切ですが、関係が穏やかに続いているだけで十分な作業同盟になるわけではありません。

本事例ではCがAの話しぶりに合わせ続けていますが、面接の目標が曖昧なままなので、C自身が負担を感じる状態になっています。

なぜ③が最も適切なのか

Aは息子Bの不登校相談として来室していますが、実際には夫からのひどい扱いについて語ることが多くなっています。ここでCが「息子の話だけしてください」と決めつけるのも、「夫婦問題を扱う面接です」と勝手に方向転換するのも適切ではありません。

まず、Aがこの相談で何が変わることを望んでいるかを尋ね、相談の目的そのものを話し合うことで、AとCの目標をすり合わせます。

選択肢① ロールプレイ

ロールプレイは具体的な技法であり、夫への感情や伝えたいことを扱う方法として役立つ場合があります。しかし、本問では面接の目的が十分共有されていない段階です。目標が合意される前に特定技法へ進むことは、Bordinの作業同盟の観点から優先されません。

選択肢② 逆転移を自覚する

Cが面接を負担に感じていることは、臨床的には重要な情報です。自分の感情反応を振り返り、スーパービジョン等で検討することには意味があります。しかし、設問はBordinの作業同盟に基づく「Aへの対応方針」を問っています。

そのため、C自身の逆転移を中心に扱う②より、Aと面接目標を協働して確認する③の方が直接的です。

選択肢④ 息子Bの話題へ戻し続ける

相談の入口はBの不登校ですが、Aが夫との関係を語ることには何らかの意味があるかもしれません。Cが「親子並行面接だからBのことだけ」と一方的に話題を制限すると、相談者との目標や課題の合意が弱くなります。

まずAにとって何を扱うことが重要なのかを確認し、Bへの支援との関係も含めて整理することが必要です。

選択肢⑤ 防衛への気づきを促す

Aはひどい扱いを軽い調子で話しており、内容と感情表現のずれにCは気づいています。そこから防衛機制を考えることはできます。しかし、面接目標が共有されていない段階で「あなたは感情を防衛している」と解釈的に介入することは、作業同盟を損ねる可能性があります。

「何を話すか」より「何のために話すか」

本問の重要点は、Aが夫の話をすること自体を正しい・間違いと評価することではありません。息子の不登校相談の中で夫婦関係を扱うのであれば、その話題がAやBにとってどのような意味を持つのか、何を目指して話すのかを共有する必要があります。

目標は固定ではない

相談開始時の目標が、そのまま最後まで変わらないとは限りません。面接の中で新たな問題が見えてきた場合には、相談者と話し合いながら目標を再設定できます。重要なのは、支援者の頭の中だけで方針を変えないことです。

目標と課題のつながり

例えばAが「息子への関わりを落ち着いて考えられるようになりたい」と望むなら、夫との関係で生じた傷つきが子育てにどう影響しているかを整理することが課題になるかもしれません。一方、Aが自分自身の安全や夫婦関係の支援を望むなら、別の支援資源への接続も考えられます。

絆だけでは足りない理由

CはAの軽い調子に合わせて聞き続けており、一見すると関係を壊さないよう配慮しています。しかし、同調するだけで面接目的が曖昧な状態が続けば、支援者も相談者も「何をしているのか」が分からなくなります。作業同盟では、良好な関係と協働する方向性の両方が必要です。

Cが負担を感じたことの意味

Cの負担感は、面接がうまく進んでいないサインとして利用できます。「自分が負担に感じるからAが問題だ」と考えるのではなく、目標・課題・役割が共有されているかを点検するきっかけにします。

親子並行面接での目標共有

親子並行面接では、子どもと保護者それぞれに支援目標があります。保護者面接が単に「子どもについて報告する場」になるとは限りません。保護者自身の心理状態や家庭環境が子どもの支援に関係する場合、そこを扱うこともあります。

試験での見分け方

問題文に「Bordin」「作業同盟」「治療同盟」が出たら、まず目標・課題・絆の3要素を思い出します。相談の方向性が曖昧な事例では、「何を目指すかを相談者と話し合う」という選択肢が、目標への合意に対応しているかを確認します。

作業同盟は「仲がよいこと」だけではない

作業同盟という言葉から、信頼関係だけを思い浮かべると本問を誤りやすくなります。Bordinの枠組みでは、良好な情緒的関係であるbondに加え、何を目標にするかというgoals、そのために何をするかというtasksへの合意が必要です。本事例では、AとCが面接目的を再確認することが、同盟を立て直す具体的な第一歩になります。

事例問題では文脈を優先する

用語や身体所見を暗記するだけでなく、設問が「最も優先」「最も適切」と尋ねている点を確認します。複数の選択肢が一定の意味を持つ場合でも、その時点の目的や安全性、理論上の焦点に最も合うものを選ぶことが、公認心理師試験の事例問題では重要です。

作業同盟は「仲がよいこと」だけではない

作業同盟という言葉から、信頼関係だけを思い浮かべると本問を誤りやすくなります。Bordinの枠組みでは、良好な情緒的関係であるbondに加え、何を目標にするかというgoals、そのために何をするかというtasksへの合意が必要です。本事例では、AとCが面接目的を再確認することが、同盟を立て直す具体的な第一歩になります。

事例問題では文脈を優先する

用語や身体所見を暗記するだけでなく、設問が「最も優先」「最も適切」と尋ねている点を確認します。複数の選択肢が一定の意味を持つ場合でも、その時点の目的や安全性、理論上の焦点に最も合うものを選ぶことが、公認心理師試験の事例問題では重要です。

作業同盟は「仲がよいこと」だけではない

作業同盟という言葉から、信頼関係だけを思い浮かべると本問を誤りやすくなります。Bordinの枠組みでは、良好な情緒的関係であるbondに加え、何を目標にするかというgoals、そのために何をするかというtasksへの合意が必要です。本事例では、AとCが面接目的を再確認することが、同盟を立て直す具体的な第一歩になります。

事例問題では文脈を優先する

用語や身体所見を暗記するだけでなく、設問が「最も優先」「最も適切」と尋ねている点を確認します。複数の選択肢が一定の意味を持つ場合でも、その時点の目的や安全性、理論上の焦点に最も合うものを選ぶことが、公認心理師試験の事例問題では重要です。

作業同盟は「仲がよいこと」だけではない

作業同盟という言葉から、信頼関係だけを思い浮かべると本問を誤りやすくなります。Bordinの枠組みでは、良好な情緒的関係であるbondに加え、何を目標にするかというgoals、そのために何をするかというtasksへの合意が必要です。本事例では、AとCが面接目的を再確認することが、同盟を立て直す具体的な第一歩になります。

事例問題では文脈を優先する

用語や身体所見を暗記するだけでなく、設問が「最も優先」「最も適切」と尋ねている点を確認します。複数の選択肢が一定の意味を持つ場合でも、その時点の目的や安全性、理論上の焦点に最も合うものを選ぶことが、公認心理師試験の事例問題では重要です。

まとめ

第5回午前問63の正答は③です。Bordinの作業同盟は、目標、課題、絆の3要素から成ります。本事例では、Aが何を望んで相談に来ているのかがCとの間で十分共有されていません。そこで「相談に来ることで何が違ってきたらよいか」を尋ね、目標を協働して確認することが最も適切です。特定技法や解釈に進む前に、相談者と支援者が同じ方向を向いているかを確かめることがポイントです。

参考資料

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