第3回公認心理師資格試験 過去問解説 前半の良問セレクション

第3回公認心理師資格試験 過去問解説 前半の良問セレクション
この記事の内容
  • 第3回公認心理師試験の過去問(前半部分)から、良問を6つ選んで紹介します❗️

 

いずれも重要な内容が広く含まれていて、復習しておくと試験・臨床場面においても役に立つような良問です。

 

 

試験までの時間があまりなかったり、試験勉強の余裕がない方であっても、必ず押さえておいた方が良い問題をセレクトしました。

 

  • 問題の答えが具体的で明確なこと
  • 広い範囲の知識が必要なこと
  • 1つの問題で獲得できる知識が多い

などが評価のポイントになります。

 

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第3回試験 前半部分 良問セレクション

問7 統計的仮説検定(t 検定、相関係数)

問7 統計的仮説検定の説明として、正しいものを1つ選べ。

① t検定では、自由度が大きいほど、帰無仮説の上側確率に基づく棄却の限界値は小さい。

② 2つの条件の平均に有意な差が認められない場合、それらの平均には差がないといえる。

③ K. Pearsonの相関係数が0.1%水準で有意であった場合、2つの変数間に強い相関があるといえる。

④ 対応のない2群のt検定では、各群の標準偏差が大きいほど、有意な差があるという結果が生じやすい。

⑤ K. Pearsonの相関係数の有意性検定では、サンプルサイズが小さいほど、帰無仮説の上側確率に基づく棄却の限界値は小さい。

問7は統計的仮説検定、そのなかでもt検定相関係数に関する問題になります。

 

統計が苦手な方にとっては難しく、問題文の意味が解読できない部分が多いかもしれません💦

 

一方で、難しい文言を使用していますが、t検定に相関係数など心理学統計の基礎的な部分の範囲に位置する問題なので、統計を理解する良い機会になると考えられます。

 

統計に苦手意識のある方も是非問題に取り組んでみてくださいね。

 

問7の解説はこちらをどうぞ💁🏻

 

 



 

問18 健康・医療に関する心理学「心身症」

問18 心身症に関連した概念について、正しいものを1つ選べ。

① 慢性疼痛患者には、抗うつ剤は無効である。

② 結婚や進学は、気管支喘息の増悪に関与しない。

③ タイプA型行動パターンは、消化性潰瘍のリスク要因である。

④ 本態性高血圧症が心理的ストレスで悪化している場合は、心身症と考える。

⑤ アレキシサイミア<失感情症>とは、以前楽しめていた活動に対して楽しめない状態を意味する。

問18は「心身症」に関する問題です!

 

  • 心身症に含まれる身体疾患にはどんなものがあるのか?
  • 心身症とライフイベント(ストレスイベント)
  • 心身症に関連する性格特性
  • 慢性疼痛への薬物療法
  • アレキシサイミアとは?

など、解答するには広い範囲の知識が必要になる問題です。

 

裏を返せば、この問18をしっかり復習することで、心身症に関する概要を網羅的に学習することが可能になります。

 

問題の解説はこちらをどうぞ💁🏻

 

 



 

問28 産業・組織に関する心理学「F. Herzbergの2要因理論」

問28 F. Herzbergの2要因理論に関する説明として、正しいものを1つ選べ。

① 達成動機は、接近傾向と回避傾向から構成される。

② 職場の出来事で満足を与える要因を達成要求という。

③ 分配の公正と手続きの公正は、仕事への動機づけを高める。

④ 職場での満足を感じる要因は、仕事への動機づけを高める。

⑤ 職場の出来事で不満足につながる要因をバーンアウトという。

問28は産業・組織心理学領域のF. Herzbergの2要因理論についての問題となります。

 

  • F. Herzbergの2要因理論:動機づけ要因・衛生要因
  • 達成動機
  • 衡平理論:組織的公正(分配的公正・手続き的公正・相互作用的公正/対人的公正)
  • バーンアウト:情緒的消耗感・脱人格化・個人的達成感の低下

など、主に産業・組織領域に関連する知識が問われる問題となっています。

 

恥ずかしながら、この問28を解いてみるまでは、この問題で出てくる用語をほとんど理解していませんでした…という方でも、この問題を参考にして学習を進めてみると良いでしょう。

 

問題の解説はこちらをどうぞ💁🏻

 

 



 

問30 人体の構造と機能及び疾病「甲状腺機能低下症」

問30 甲状腺機能低下症にみられる症状について、正しいものを1つ選べ。

① 下痢

② 頻脈

③ 眼球突出

④ 傾眠傾向

⑤ 発汗過多

問30は甲状腺機能低下症と甲状腺機能亢進症の症状に関する知識が問われた問題です。

 

これらの疾患自体は医学的な治療が必要とされる疾患ですが、症状の増減に心理的な側面が関与している場合も多いです。

 

一方で、身体疾患の治療が行われていない状態だと、心理的な介入の効果が限定的となってしまいます。

 

また、公認心理師のもとに訪れたクライエントが、実は身体疾患がベースにあって、心の問題が生じている場合も少なくありません。

 

このような場合、心理面での介入よりも身体疾患の治療が優先されるため、適切な専門機関へのリファーが必要となってきます。

 

そのため、公認心理師が遭遇する可能性の高い身体疾患の一般的な知識について押さえておくことは重要となりますね。

 

問題の解説はこちらをどうぞ💁🏻

 

 



 

問69 摂食障害への対応(事例問題)

問69 16 歳の女子 A、高校1生。A は、食欲不振、るい痩のため1週間前から入院中である。高校に入学し、陸上部に入部した後から食事摂取量を減らすようになった。さらに、毎朝6時から走り込みを始めたところ、4か月前から月経がなくなり、1か月前から倦怠感を強く自覚するようになった。入院後も食事摂取量は少なく、「太ると良い記録が出せない」と食事を摂ることへの不安を訴える。中学校までは適応上の問題は特になく、学業成績も良好であった。自己誘発嘔吐や下剤の乱用はない。身長は 159 cm、体重は 30 kg、BMI は 11.9 である。
公認心理師の A への支援として、不適切なものを1つ選べ。

① 食事へのこだわりを外在化する。

② A の家族に治療への参加を促す。

③ 部活動への葛藤について傾聴する。

④ 栄養士の助力を得て食事日記を付けることを勧める。

⑤ 点滴を受けて、栄養状態を速やかに改善するように勧める。

問69は事例問題で、摂食障害当事者に対する公認心理師としての対応を回答する問題になっています。

 

いわゆる〇〇療法といった知識ではなく、対応の細かい部分の知識が必要となってくる問題になります。

 

また、選択肢の中にリフィーディング症候群といった身体的な問題についての知識も必要となるため、この問題を細かい部分まで理解できるようになれば、摂食障害当事者に対する対応を網羅的に知ることができるようになります。

 

問題の解説はこちらをどうぞ💁🏻

 

 



 

問73 自閉スペクトラム症の評価(事例問題)

問73 25 歳の男性 A、会社員。A は、上司 B と共に社内の相談室に来室した。入社2年目であるが、仕事をなかなか覚えられず、計画的に進めることも苦手で、B から繰り返し助言されているという。B によれば、同僚にタイミング悪く話しかけたり、他の人にとって当たり前の決まり事に気がつかなかったりすることもあり、職場の中でも煙たがられているという。会社以外での対人関係で困ることはない。この1か月は早朝覚醒に悩まされ、起床時の気分も優れなかったため、会社を何日か休んだ。BDI-IIの得点は 42 点、AQ-J の得点は 35 点であり、Y-BOCS の症状評価リストは1項目が該当した。
A に関する見立てとして、最も適切なものを1つ選べ。

① 軽度抑うつ状態

② 強迫症/強迫性障害

③ 社交不安症/社交不安障害

④ 自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害ASD

問73に関しては、自閉スペクトラム症が解答となっている問題ですが、さまざまな心理検査および得点の解釈が焦点となる問題となっています。

 

非常に実践に即した問題といえますね。

 

問題文に記述されている心理検査はいずれも臨床現場のスクリーニングで用いられる検査なので、それぞれの検査が測定している意味や得点の分布について理解するきっかけになるのではないでしょうか。

 

問題の解説はこちらをどうぞ💁🏻

 

 

 



 

まとめ

この記事では、第3回公認心理師資格試験の前半部分の問題から、復習しておくべき良問について紹介しました。

 

 

試験まで残された時間が少ない方は、是非この記事で紹介された問題だけでも取り組むことと良いかもしれません。