【反芻】否定的な考えを繰り返す反芻思考について知ろう!
- 「なぜ?」「どうして?」とグルグル考えて苦しくなる
- 嫌な記憶を思い出したり、「自分は全部駄目だ」と考えてしまう
このような体験のことを、心理学では反芻思考(はんすうしこう)と呼びます。
反芻思考自体は病気ではなく、健康的な方から精神疾患の当事者の方まで広い範囲でみられる思考ですが、
気分の落ち込みや不安などのネガティブな気持ちと繋がることが多いです。
今回の記事は、この反芻思考をテーマにした内容となっています。
反芻思考の基礎知識
反芻思考とは
反芻思考とは、『否定的な考えを何度も繰り返し考える』ことをいいます。
グルグル思考とか、堂々巡りの思考とかともいわれますね。
最近の研究では、何もしていないときの脳活動が活発な人ほど反芻思考が多いともいわれています。
反芻思考自体は病気ではなく、何か問題に直面した際に誰でも生じる普通の反応とされています。
確かに、問題に対して考え続けることは問題を解決するためには必要不可欠な要素といえます❗️
一方で、反芻思考によって嫌な出来事やそのときに感じた気持ちを何度も体験することになるためネガティブな気持ちが強くなってしまうこともいわれています。
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反芻思考が問題の解決の邪魔をする
- 長く考えても解決策が浮かばないような場合
- 考えるだけで、行動を起こすことができていない場合
反芻思考はこのような場合では、問題の解決のためにあまり役に立たず、ネガティブな気持ちと繋がっていくとされています。
言い換えると、反芻思考が増えることによって問題解決のための行動に繋がっていかなくなり、建設的な問題解決の邪魔をしてしまうことが起きます。
反芻思考は学習された習慣
反芻思考は、過去の体験から学習された習慣ですが、時間が経つにつれて無意識的で自動的なものとなっていきます。
多くの場合、反芻することによってネガティブな何かを回避しようとする役割があります。
このように、反芻によって嫌なことが減る場合、反芻思考は回避行動としての側面を持つようになります。
嫌なことを回避できた当時の状況ではとても役に立った可能性が高いですが、他の状況では反芻思考は役に立たないかもしれません。
ここで重要なことは、反芻思考は学習されたパターンであり、修正していくことが可能ということです❗️
ちなみに、反芻思考と回避行動の両方を担う代表的な行動として先延ばしがありますね。
反芻思考の対処法
反芻思考への対処方法としては、以下の3つのポイントを抑える必要があります。
- 反芻思考に気づくこと
- 反芻思考を止めること
- 回避行動を再開させること
反芻思考に気づくこと
反芻思考は学習されたパターンであり、無意識かつ自動的に行われていくものです。
そのため、まずは自分自身が反芻思考をしていることに気づく必要があります。
最初のうちは反芻思考をしている最中に気づくことは難しいですが、落ち着いたあとであれば反芻思考をしていたことに気づくことが可能なことも多いでしょう。
その際に、簡単にメモしておくこともポイントです。
状況:いつ、どんなときに、どのような場所で反芻思考が始まっているか
サイン:反芻思考の起きるサイン(直前の気持ち、身体の感覚、浮かんでくる考え)
このように「状況」と「サイン」に注目していくことで、反芻思考の傾向がわかり、対策が立てやすくなります。
まずは反芻思考をしている最中に気づくことができるようになるのが大きな目標です。
記録をして、反芻思考の傾向を掴むことができたら、
- 反芻思考の起きやすい状況を変える
- 反芻思考のサインに早く気づいて別の行動をする
という2つの対策を考えていくことになります。
反芻思考を止めること
反芻思考への対処法をシンプルに考えると以下の2つとなります。
- 反芻思考の起きやすい状況を変える
- 反芻思考のサインに早く気づいて別の行動をする
反芻思考の起きやすい「状況」を変えること
反芻思考には起きやすい「状況」が必ず存在しています。
個人差はありますが一般的には、
- 寝る前にベッド(あるいは布団)の上で横になっているとき
- お風呂の湯船に浸かっているとき
- 車の中
などで多くみられます。
反芻思考は無意識・自動的な習慣となっているため、普段の日常のルーティーンとなっている活動や動きのなかで生じていることが多いです。
自分にとって反芻思考が起きやすい「状況」を確認して、その「状況」を少しだけ変化させることで、反芻思考が生じにくくなります。
たとえば、
- 寝る前にベッド(あるいは布団)の上で横になっているとき⇨普段と違う高さの枕で寝てみる
- お風呂の湯船に浸かっているとき⇨普段使わない入浴剤を使ってみる、湯船の温度や量を変えてみる
- 車の中⇨いつもと違った道順で帰ってみる
など、「状況」をマイナーチェンジさせることが大切です。
このような意識を持っておくことで、反芻思考を未然に防ぐことが可能になります。
反芻思考の「サイン」に気づいて別の行動を取ること
反芻思考に気づいた際には、反芻思考を止めるために別の対処法を取ることが必要です。
反芻思考は何もしていないときの脳活動の亢進が関係していると最初に説明しましたが、何か注意を向ける必要がある課題を行うときは、脳活動が切り替わることがわかっています。
そのため、集中・没頭できるような活動を行うことができれば反芻思考を止めることが可能となります。
活動に注意を向けるには、「難易度が簡単すぎず難しすぎない」「自分の興味がある」ような活動を選ぶことがポイントです。
また、具体的な活動でなくとも、すぐに試すことができるような以下の行動も反芻思考を止めるためにオススメです。
- 好きなものの妄想をする
- 書いてある文字を声に出して読む
- 指回し
- 片足で立つ
- 流れる水や空の雲を眺める
集中できるような活動をあらかじめリストアップしておき、反芻思考に気づいたら上から順番に試してみるのが効果的でしょう。
対処のリストを増やすためには、「①いつでもどこでも実施できる行動であること」、「②コストや始めるのに労力がかからない行動であること」を意識すると対処方法のレパートリーが増えると思われます。
回避行動を再開させること
反芻思考は回避行動の側面を持ちます。
そのため、「反芻の結果、何を回避しているのかということ」に注目することはとても重要になります。
たとえば、典型的な回避行動である「先延ばし」では、反芻思考が伴うことが多いですが、その場合は反芻思考によって『やるべき課題』を回避していることになります。
少し厳しい話になるかもしれませんが、反芻している間には課題をやらなくて済むわけです❗️
したがって、回避している活動を再開することによって、反芻思考を減らすことが可能です。
反芻思考は極端な結論に結びつきやすく、0-100の考え方に繋がることが多いため、回避している活動を再開させるときは、焦らず小さな段階を経て行動をしていくことも重要になるでしょう。
「先延ばし」でお困りの方必読!現役心理職夫婦が日々実践している「先延ばし」対策を公開します
まとめ
この記事のテーマは反芻思考でした🌀
否定的な考えを何度も繰り返す思考のことを反芻思考といい、嫌な出来事を何度も再体験することになるため、ネガティブな感情から離れることが難しくなってしまいます。
反芻思考への対処法の第一歩として以下のポイントを押さえておきましょう❗️
- 反芻思考の起きやすい「状況」や「サイン」に気づいて、①「状況」を変えるか、②対処行動を取って反芻を止める
- 反芻思考によって回避されている活動を小さな段階を踏んで再開させていく
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