【心理学部生・大学院生向け】統計解説。「回帰分析」についてできるだけ簡単に解説します!
- 2023.01.10
- 臨床心理士 / 公認心理師
- 心理学統計, 若手心理職・大学院生
心理学部あるいは心理系大学院に入学した方の中で「統計」の分野につまづく方は多いのではないでしょうか。
この記事では、『回帰分析』について、できるだけわかりやすく解説します。
回帰分析とは
回帰分析(regression analysis)は、簡単に説明すると、「独立変数xによって従属変数yがどれくらい説明・予測できるか」を検討するための統計解析となります。
??となる方も多いかもしれませんが、この回帰分析は「因果関係の推定」に役に立つものといえます。
2変数の関係性を見るためであれば「相関係数」を見れば良いのですが、因果関係を推定するための条件があるため「相関係数」では因果関係を推定することはできません。
【因果関係を推定するための条件】
- XとYが共に変動している(関連して動いている) = 相関関係(量的)・連関関係(質的)などがあること
- XがYに時間的に先行している = Xの方がYより先の時点に起きていること
- XとYの関係が擬似的なものではない(第三変数の影響ではない) = XとY以外の変数の影響が除外されていること
回帰分析では変数や計算式を検討することで、上記3つの条件がいずれも満たされ因果関係の推定が可能となります(もちろん、必ずしも因果関係が証明できるというわけではありません)。
回帰分析の解説
回帰分析では、得られたデータがy=ax+bという線形(直線式=一次関数)の関係性をもつことを仮定します。つまり、実際に得られた複数の(x,y)というデータを散布図に並べて、並べたデータから関数関係を導くという仕組みになっています。
このときaは傾き、bは切片となりますが、この傾き(=a)のことを回帰係数と呼びます。
ちなみに、xは独立変数(説明変数)、yは従属変数(目的変数)です。
𝑦=𝑎𝑥+𝑏という式(一次関数)のaとbがわかれば、xの数値からyが予測可能になるというわけです。
例えば、中学生で習うような一次関数 y=2x+1 を例に考えてみましょう。
(x, y)=(1, 3)、(2, 5)、(3, 7)、(4, 9)・・・・
というように、xが決まれば自ずとyも導くことができます。
この関数関係がわかっていれば、xがどんな値を取ったとしても、yを導くことが可能となります。
因果関係の確認
さて、ここで因果関係に関しての確認となります。
因果関係とは「原因とそれによって生じる結果」がいつも成り立つ関係性を意味しています。
因果関係の最大のメリットは何かというと、「原因」がわかると「結果」が導かれるという部分にあります。
原因 → 結果
ただし、現実的に原因から結果を予測するためにはこのような二者関係では難しく、原因→?→結果となることで初めて予測ができるようになります。
原因 → ? → 結果
この辺は認知療法を例にとるとわかりやすいかもしれません。
認知療法では、「状況」→「感情」という関係ではなく、「状況」と「感情」の間に「認知」が介在することで「感情」が変化するため、介在している「認知」を扱うことになっていますよね。
状況 → 感情 × ⇨ 状況 → 認知 → 感情
因果関係を正確に推定するためには、「原因」と「結果」の間にある?(ブラックボックス)を明確で説明可能なものとしていく作業が必要になります。
回帰分析とは因果関係を推定するために、原因(x)から結果(y)を予測可能な回帰式(?)を作り、その式がどのくらい正確に原因(x)と結果(y)の関係性を予測や説明ができているのかを評価していく方法になります。
aの回帰係数の部分が大きいほどxが大きいとyも大きくなるという関係があるため、原因(x)が結果(y)に及ぼす影響の程度を示す指標になります。
導き出した回帰式の予測精度やyを説明している程度が高ければ、原因(x)と結果(y)により強い関係(因果関係)があるかもしれないと解釈していくことになります。
ちなみにこの一次関数の傾き(回帰係数)を求めるためには、数学Ⅱの強敵である微分の計算が用いられます。
さらに、xが複数の場合を「重回帰分析」と呼びますが、この場合はx、yに加えて、zという軸のある空間で表現され、数学Bの範囲であるベクトルが計算に使用されます(ここでは説明を割愛します)。
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